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- / ISBN・EAN: 4988001982883
感想・レビュー・書評
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日本が世界に誇る影絵作家による、宮沢賢治の代表作の「影絵劇」化。2007年に「初演から50年を経て、ハイビジョン撮り下ろし映像にて初DVD化」されたものである。
『銀河鉄道の夜』の映像化作品といえば、ますむらひろしの猫キャラを使ったアニメ映画版(1985年)が私は好きだが、こちらの影絵劇もたいへん美しくてよかった。かりに宮沢賢治本人が観たとしたら、気に入るのはこちらのほうではないかと思う。
『銀河鉄道の夜』については、主人公ジョバンニが賢治の分身であり、彼の親友カムパネルラには賢治の妹・トシの姿が反映されている、という解釈がある。
行方不明の父と病気の母をもち、同級生からもいじめられている孤独で貧しい少年ジョバンニ。そのただ一人の友カムパネルラ――そんな関係に、賢治とトシの関係が投影されているという見方である。
日本女子大学を優秀な成績で卒業した、当時の田舎では珍しいインテリであったトシは、賢治にとって最大の理解者でもあった。賢治の身近には、文学や芸術について思う存分語り合える相手はトシしかいなかったのだ。また、賢治の法華経信仰にほかの家族が反対であったなか、トシだけはあたたかい理解を寄せていた。
だが、かけがえない理解者であり最愛の妹であったトシは、「あめゆじゅとてちてけんじゃ」の「永訣の朝」に描かれたとおり、24歳の若さで病死してしまう。
いっぽう、トシの死後に書かれた『銀河鉄道の夜』で、夢から覚めたジョバンニは、カムパネルラが川で級友を救おうとして溺死したことを知る。ジョバンニが見た銀河鉄道の夢とは、カムパネルラの冥界への旅に同行することでもあった。
賢治は、トシを喪った深い悲しみと、彼女がいなくても1人で立派に生きてみせるという決意を、『銀河鉄道の夜』という物語に託したのだった。
そんなことをふまえて観ると、この影絵劇版『銀河鉄道の夜』はいっそう哀切だ。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
配置場所:摂枚視聴覚
請求記号:S726.8||F
資料ID:51100082 -
風吹ジュンのカンパネルラが舌っ足らずで可愛い。
最後、賢治の言葉が映し出される。物凄いメッセージだ。 -
初演から50年を経て初のDVD化。
これを、50年前に体育館とかで、大きな画面で見た子どもたちは、その美しさにびっくりしたでしょうね。
ただ、今の子どもたちには、ちょっとゆっくりすぎるかも。
当時の未来っぽさも、今見るとレトロな感じになるし。
それでも、銀河鉄道がサウザンクロス駅についた場面は、ハレルヤの音楽と相まって美しく切ない。
原作は、なんだか難しそうで、悲しそうなので読むのを避けてたのですが、藤城清治の影絵が見たくて図書館で借りました。
やっぱり悲しいお話でした。 -
影絵が美しい。
ジョバンニとカンパネルラの友情のものがたり。