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- / ISBN・EAN: 4988105053861
感想・レビュー・書評
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2023/01/18
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とても良かったです。
わりと万人におすすめ。
途中までは、「何これ、イングリッシュ・ペイシェントそのまんま!」と、まったく同じ設定であることに驚いていたのだが、まあこれはこれでおもしろいからいいか、などと思っていた。
でも、ラストは全く違う話になった。
途中まで本当にまったく同じ設定だったのに。
二度ビックリした。
この映画、主人公二人(看護師と患者)をとりまく周囲の人たちの、ものすごく「普通な感じ」がすごく良かった。
舞台は海に浮かぶオイル掘削所。事故があり、操業停止中。
ありがちな映画だと、固く閉ざされた主人公の心を溶かすのは、そこで暮らす普通からはみ出した個性的な人たち、となりがちなんだけど、この映画はそういう「変な人図鑑」みたいなことにはなっていなくて、登場するのは本当にごくごく普通の人たちばかり。
普通すぎて逆になんだかすごく新鮮。
ぐいぐい距離をつめてくるような人や奇行に走るような人は皆無で、穏やかでほっとする空気。
見ている私までが、静かな環境で、疲れた心をゆっくりとリハビリしているような気がした。
みんなで暇を持て余して、口ぱくコンサートで盛り上がるシーンは特に印象的だった。
なんだか不思議に心打たれた・・・
これも特になんてことない場面なんだけれど。
しかし、ティム・ロビンスがあんまり年老いていないことに驚いた。いったい何歳!?と思った。
奥さんの方が、すっかりおばあさんになっていた印象があったから余計に驚いたんだけど、そうか、ティム・ロビンスの方がけっこう年下だったな、と思い出す。
あと、主人公の女性は、「アボンリーへの道」のセーラなんですね。これはあとで知ったどうでもいいプチ情報。
そうそう、もう一つのどうでもいいプチ情報。
最後のクレジットにアルモドバルの名前が一瞬垣間見えて(プロデューサー?)、私はてっきりペドロ・アドモバル監督かと思って「あれ?珍しくヘンタイちっくじゃなくて良い映画だった!」なんて思っていたけど、ご本人じゃなくて弟さんでした。 -
無口な女性看護師と、油田で重傷を負った男。中盤まではこの2人の会話劇が中心で、やや退屈に感じていたところで、ようやく心を許した彼女が告白した「秘密」はあまりに衝撃的なものでした。
そして、これは現代の出来事であり、ロシアによるウクライナ侵攻を引き合いに出すまでもなく、ヨーロッパにおいては「戦争」は空間的にも時間的にも「地続き」だということわかります。極東の島国である日本では実感しづらいところです。
かように過酷な体験をした人の側で寄り添うことは容易でもありませんが、最後にティム・ロビンスが見せた勇気ある行動が素晴らしく、この悲惨な物語に光明をもたらしてくれました。
BS松竹東急「よる8銀座シネマ」にて。 -
イザベル・コイシェ監督の人生のトラウマと向き合い生きていくことをひとつのテーマにしたヒューマン系の映画です。ドライに構えている主人公とスペイン映画独特の情熱的な人々との関わり方や心の開き方にもまた魅せられるものがあります。
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ラブストーリーの要素もあるが、
ヒューマンドラマだと思う。
自分を語らない主人公に何があるのか?
謎というより、暗い感じ。
最後の最後まで
ハッピーなのかわからない。。。 -
ガーリーな雰囲気のパッケージから想像したよりもずっと深く思いテーマを、淡々としたタッチで描く作品。深い傷を抱えて心を閉ざすハンナを演じるSarah Polley、自身も悲しみの只中にいながら彼女の心を開くジョセフを演じるTim Robbins、二人の演技が圧巻。抑え目の演出が却ってテーマの重さ、抱える悲しみを語る難しさを実感させる。思いテーマを軽々しく解決せずに救いを感じさせるラストも好印象。
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どちらが「患者」だったのか、傷ついていたのは誰だったのか。
舞台は事故が起こって稼働をストップした北海油田の基地で、陸地から遠く離れて時間がゆっくり流れていく。主人公の最後の告白もショッキングだけど、同僚と同性愛の関係に陥る男が何も知らない主人公に向けて「俺にもあいつにも家族がいるんだ、人生は不思議だよな」って言う場面は、すごくいい秘密の明かし方だと思って観てた。
一度傷ついてしまったら、人間は元には戻らない。