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- / ISBN・EAN: 4988111284327
感想・レビュー・書評
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1958年作ということで、60年近く前の映画だが、今見ても新しく、価値の衰えない力強い映画。
出演者達が、生き生きと、若さにあふれている。
キャラメル会社のライバルとの競争をテーマに、人間が非人間的になって、身を削っていく姿をコミカルに描く。
お金がすべてを狂わせる。愛情を抱きながらも、常に経済活動に縛られ、「食うか食われるか」の世界でぎりぎりに生きていく。
主人公の西洋介(川口浩)が、ライバル企業の先輩女子社員倉橋雅美(小野道子)と付き合うのだが、敵でいながら(社員としては、お互いをだまし合いながら)、愛しているという設定に、なかなかキュンとしてしまった。その設定が最後のシーンにいきてくる。
ドライブでのキスシーンの駆け引き、カットは、この時代としては相当かっこいいのではないだろうか。
冒頭の、火がつかないライターをカチャカチャこすり、火花が飛び散るシーンに、別の情景が二重写しになるシーンが、印象的。シュールな新しさを感じ、引き込まれていった。
このライターの火花のシーンは、たびたび出てくる。この映画のテーマの、売上を伸ばすために、激化する競争、あくせく働き、体を壊してまでも、常に焦って、人間性をなくしていくことを表しているのだろう。
コメディーとして、きちんと成り立っていながら、何か人間の業の深さのような、暗さがちらちらと見える、そのバランスが絶妙。
映画のテンポが良く、ぐいぐい引き込まれる。
初期のカラー映画として、色の美しさ(色が明るい!色の組み合わせ、コントラストなどが良い?)かっこいいカットが次々に出てくる(冒頭のサラリーマンの軍隊行進のようなシーン、学生が歩き、雑誌を見つけるまでの動きなど。)。
その後にフランスで出てくるヌーヴェルバーグの先駆けなのでは?と思うようなかっこいいシーン、軽やかさが満開。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
1958年増村保造監督作品。開高健の小説の映画化。
戦後13年、すでに時代はここまでになっていたのか。
高度成長期の行き過ぎた資本主義を揶揄する内容も面白かったけれど、なんといっても演出のスピード感に驚かされた。漠然と抱いている増村保造特有の淫靡さが少ない分?その演出技法が際立って目立っている作品と思う。
厳しい時代だったのだと思う。ゆとりの時代ではない。
でも溢れるほどの熱量は、確かにそこにあったのだ。 -
オープニングロールがくそおしゃなのでみんな真似してくれよな
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このスピード感は完璧。ある人と話して俺はまともに映画に向き合っていなかったことを思い知った。だからこれから観るんだ。だが衝撃を受けてもそれを記憶していられない。老いとはそういうものなのだよ。テクノロジーが補足する。あ…この映画はある意味SF映画のようでもあるよ。主題歌凄いわ。
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原作は開高健の小説。ワールド、アポロ、ジャイアンツ、3企業のキャラメル販売合戦(特に広告合戦)に焦点を当てた映画。ちょっと古さは感じるけど話はかなり面白い。ところどころ棒読みのシーンがあったけどそれがまた滑稽で良かった。いい映画だった。
<あらすじ>
キャラメルを主力商品とするワールド製菓株式会社では、売上の頭打ちに悩んでいた。重役たちはその原因を宣伝効果の不足にあると決め付け、同業他社に抜きん出た宣伝活動を宣伝部に求めた。野心に燃える宣伝課課長の合田(高松英郎)は子供の興味の傾向に注目した豪華景品を企画する。一方、無名の少女をマスコミ人脈を使って有名人にまつりあげたのち商品のイメージキャラクターとしてデビューさせる。
マスコミで顔なじみの“スター”がキャラメルをおいしく食べる!大衆はそれにつられてキャラメルを買うハズ…。
合田はマスコミの力を信じていた。現代の支配者として。
原作ではキャラメルという商品についての分析がされている。(原文通りではありません)
大正時代、西洋文化へのあこがれの象徴として登場したキャラメル。戦中戦後の窮乏な時期にはその古きよき大正時代の郷愁とされた。そして戦後十数年。さすがのキャラメルも“成熟市場商品”として扱われるようになっていた。
映画には“景品”候補としてソニコンバス(音波自動車)をはじめとして、当時のおもちゃも数点みられる。 -
1958年大映映画。
キャラメル会社3社(アポロ、ワールド、ジャイアント)の話。
野添ひとみさんのキャラクター島京子がとても元気がよくて面白かった。
映像がとてもレトロで映像を見るだけでも楽しめる映画でした。
最後のシーンがよかった。 -
これ58年ですよ?おしゃれ過ぎです。