Jóhann Jóhannsson: Englabörn

• 4AD (2007年11月11日発売)

感想・レビュー・書評

[yugoさんの感想 · 2008年6月24日]

舞台劇のために作られたというだけあり、まさに聴く者を
物悲しい物語に惹きずり込むような世界観を持っている。

クラシカルな楽器と最低限のエレクトロ処理を用い、
泥深くにじわじわ沈んでいくような抑制の聴いた楽曲たち。
埃を被った古めかしいサウンドの様でいて、
耳を澄ませてみると底の方で沸々と太古の水が
静かに湧き出ているのが聴こえるような。

膨大な時間がゆっくりと流れるささやかな音もしくは
人々が思いを込めた遺跡が酸化し風化する音へのオマージュ、
みたいな詩的なアルバム。

冒頭と終幕で唱われるラテン語詩のメロディーは
ちょっとしたトラウマ。