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- / ISBN・EAN: 4988105055377
感想・レビュー・書評
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以前に観たことがあったためか、今回じっくりと細部まで目をやることができた。
「娘を嫁にやるまでの未亡人の物語」で、父親版はいくつも撮られているが、母親版はこれだけなのではないか。
主役はもちろん原節子と司葉子の母娘なのだが、彼女達を結婚させようといろいろ手を焼く亡き夫の友人達(佐分利信、中村伸郎、北竜二)のかけあいが面白い。粋でおしゃれな男達を実に楽しそうに演じている。小津の映画は脇役がイキイキとしているのが特色だが、この作品はそれが特に成功している。
同じく司葉子の友人役の岡田茉莉子も同様で、東京下町のアプレゲール風娘の役柄をうまく演じている。
司葉子は生真面目で潔癖な娘役にぴったりで、結婚前の女性の清楚な美しさにあふれている。立ち姿がすらりとして、半袖から出ているほっそりとした腕から指先がなんとも言えずしなやかで、時分の花という感じである。
もちろん原節子はなくてはならない存在感だ。この作品では終始着物姿で登場する。
原節子といえば、和装より洋装が似合う印象だが、立ち居振る舞いといい、所作といい、着物のさばきもさすがに完璧で、まさに人生の秋を迎えている女性の、成熟した美しさを表現している。
昔はこうして、なかなか結婚しない娘や息子をなんとか嫁がせようと、周りの大人達がやっきになってまとめようとしてくれたものだ。そうして人はいやおうなく大人の世界に仲間入りしていった。今、こういったおせっかいな人たちがいたらな…などと思いながら観たりもした。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
姉妹みたいで仲のいい母娘の話。会話の節々に深みを感じる。