ドイツのベルトルト・ブレヒトの有名な戯曲。1928年が初演だそうで、これは映画化としては一番古いバージョンでしょうね。名前だけは知っていましたが観ていない映画、戯曲でした。舞台をまったく知らぬ私でも10代の頃から名前を知っているくらいだからよほど有名なのだろうと思っていました。劇中歌の「マック・ザ・ナイフ」も映画と同じで名前だけは知っていましたがちゃんと聴いたことがないものでした。映画の内容を知って想像していたものとまったく違うことに驚きました。主役は夜の繁華街の顔役であり何人もの娼婦を侍らせているジゴロのメッキー(マック)。街中で一目惚れしてすぐに結婚した娘の父親は貧困ビジネスで儲ける乞食王だった。別れさせようと警視総監を脅す乞食王だがメッキーと総監は長年癒着してきた間柄で・・・というお話。想像とあまりにも違いました。劇中歌の「マック・ザ・ナイフ」も奇妙な歌詞ですが他の劇中歌の歌詞もかなり印象的な歌詞のものがある。皮肉たっぷりでまるで安っぽいロックの歌詞のようなのです。「生きていくためには悪賢くなることさ」とか「生きていくためには正直であることはない」などオペラということと時代を考証してもかなり辛らつな皮肉たっぷりの歌詞ではないかと思います。しかし私が劇中で一番驚いたのが「貧困ビジネス」の中身です。お金が欲しいと乞食王を訪ねると逆に金を要求され、払うと、障害者のふりをさせられるのです。うーんびっくり。作者のベルトレト・ブレヒトは共産主義者のようです。どちらの意味なのかは私はそういう世界とは縁がないのでわかりません。でも世界的に有名なオペラなんですよね。なんじゃこりゃと唖然とした有名オペラでした。