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- / ISBN・EAN: 4571264908587
感想・レビュー・書評
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アメリカとソ連の冷戦状態が続き、ソ連は隣国であるアフガニスタンへ侵攻した翌年である1980年。チャーリー・ウィルソン(トム・ハンクス)は、酒と女とドラッグに溺れるテキサス州選出の下院議員に過ぎなかった。その日も、「チャーリーズ・エンジェル」と呼ばれるストリッパーたちと、ジョグジーでのお楽しみを満喫していた。
そんな彼ですら、アフガニスタン難民たちの悲惨な姿をニュース映像を目にして義憤にかられ、立ちあがることを決意する。
アフガニスタン支援に充てている国防委員会の義援金がわずか500万ドルと知ったチャーリーは、それを倍額にするよう指示する。
そんなチャーリーに、反共産主義でテキサスの富豪であるジョアン(ジュリア・ロバーツ)が目をつける。
彼女は、アフガニスタン救済するためソ連を撤退させるようチャーリーをそそのかす。ジョアンの指示で、パキスタンの大統領と面会したチャーリーは、ソ連と対抗するためにはアメリカ政府からの支援が不可欠なことをあらためて認識した。
CIAのはみだし局員であるガスト(フィリップ・シーモア・ホフマン)と接触したチャーリーは、アフガニスタンへの武器弾薬を調達、ソ連を撃退するための計画を実行していった。
パキスタン、イスラエル、エジプトといった近隣諸国も巻き込んでのチャーリーの破天荒な闘いは成功して、ソ連はアフガニスタンから撤退する。
やがて、国際社会からも孤立したソ連は共和国としての崩壊へと至り、構成国は独立した。チャーリーは、その戦闘に勝利した。
しかし、ソ連の撤退によってアメリカからの支援が止まったアフガニスタンでタリバンの勢力が拡大して、2001年9月11日のアメリカ同時多発テロ事件以降、テロの首謀者を駆逐するため今度はアメリカがアフガニスタンを侵略することになるとは、その時の彼は夢にも思っていなかった。
CBSテレビのプロデューサー・ジョージ・クライルが、チャーリー・ウィルソンがソ連軍と戦うアフガニスタンのイスラム教ゲリラ・ムジャヒディーンを支援する極秘作戦を実行していたことを、暴露したルポルタージュ本を元にした映画。
チャーリー・ウィルソンは、女好き酒好きなハレンチ議員。ウィルソンに選挙資金を援助したスポンサーであり、チャーリーが惚れていた女の一人で政財界に大きな影響力を持つ億万長者の夫人ジョアン・ヘリングは、保守的なキリスト教原理主義者で共産主義者を憎んでいたこともあり、ソ連軍がアフガニスタンに侵攻していたことに危機感を持ちレーガン大統領にアフガニスタンのイスラム教ゲリラへの支援を求めたが、レーガン大統領は及び腰だった。
そこでジョアンは、ウィルソンにアフガニスタンのイスラム教ゲリラへの支援をしてソ連を倒すよう唆した。
ウィルソンは、ジョアンに良いところを見せたいのと、ソ連軍が侵攻していたパキスタンやアフガニスタンで女性や子供が辛酸を舐めていた現状に義憤を感じ、国防予算歳出小委員会を抱き込んでアフガニスタン支援のための極秘予算を通した。
ウィルソンは、アフガニスタンのCIA担当官ガストと組んで、パキスタン経由でイスラエルが捕獲したソ連製ライフルの中国製コピー品をアフガニスタンに密輸したのを手始めに、弾薬をエジプトから買うためにベリーダンサーを使ったエジプト国防相への接待、ソ連軍の武装ヘリ・ハインドに対抗出来るスティンガーミサイルの提供と、アフガニスタンゲリラがソ連軍を撤退させるまでの極秘作戦を実行した。
ウィルソンが実行した極秘作戦の予算を通すために、キリスト教原理主義者のコネクションをジョアンを通して利用したり、ソ連軍が撤退するとウィルソンを除く他の国防予算歳出小委員会のメンバーはアフガニスタンに学校やインフラの整備に予算を使うことを渋ったこと、ソ連軍撤退直後からイスラム教過激派がアフガニスタンに流れていてタリバンの中核になったことなど、アメリカとアフガニスタンの関係を知るには必須なポリティカルサスペンス映画。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ロシアの好戦性と残虐性は、ウクライナ侵攻でも変わっていない。誰かが力づくで止めなければ、歯止めの利かないやりたい放題のならず者国家であるのは、ソ連時代からのミームである。侵略のために、子供を殺し、女をレイプし、民間人を虐殺する。一方的にアフガニスタンに侵攻したソ連を叩き潰したのが一人の米国下院議員の勇気ある行動だった。
『チャーリー・ウィルソンズ・ウォー』(原題: Charlie Wilson's War)は、2007年のアメリカ映画。マイク・ニコルズ監督、トム・ハンクス製作・主演作品。2003年に発売されベストセラーとなったジョージ・クライル(1945年 - 2006年)による同名のノンフィクションを原作とし、テキサス州選出の下院議員チャールズ・ウィルソンがCIAの諜報員と共にソビエト連邦によるアフガニスタン侵攻に抵抗するムジャーヒディーンを援助する模様を描く。
チャールズ・ネスビット・ウィルソン(英語:Charles Nesbitt Wilson、1933年6月1日 - 2010年2月10日)は、パーティー好きで陽気な人柄で知られ、地元新聞からは「グッドタイム・チャーリー」のあだ名を付けられ、プレーボーイ的なイメージの一方で、冷戦時代の英雄の1人でもあった。ウィルソンはCIA史上最大の極秘作戦を敢行した立志伝中の人物として知られる。旧ソ連のアフガニスタン侵攻を食い止めるため、ウィルソンは下院の国防歳出委員会メンバーとして動き、メンバーを味方につけて当時アフガニスタンを侵攻していた旧ソビエト連邦軍に対するCIAのアフガン支援の秘密予算の大幅増額を図る。当初500万ドルだった支援額は7年の内に10億ドルという空前の規模に達し、最終的に数十億ドルという多額の資金を調達した。これによる武器を供給などの支援によりアフガンのイスラム武装勢力ムジャーヒディーンは、最新の武器を手に入れ劣勢を跳ね返し、ソビエト連邦軍に撤退を余儀無くさせた。
ウィルソンはこの功績から、ソ連のアフガニスタン撤退を決定づけた影の功労者として、CIAはそれまでCIA要員にしか贈ったことの無かった功労賞を、文民として初めて秘密裏に表彰。この話を映画化したのが2007年に公開された映画『チャーリー・ウィルソンズ・ウォー』である。
しかしながら、アフガニスタンのイスラム武装勢力に行った軍事支援は、ソビエト連邦軍のアフガニスタン撤退以後アメリカにつきまとう災いの種となってしまった。ウィルソンが支持し、CIAから何百万ドル単位の支援を受けたアフガニスタンの軍閥たちは現在、国際テロ組織アルカイダなどとのつながりをもつ危険なイスラム原理主義者とみなされており、その中にはグルブッディーン・ヘクマティヤール元首相や、アフガニスタンの旧支配勢力タリバンのジャラルディン・ハッカニ司令官など含まれている。
しかしウィルソンはアメリカ同時多発テロ事件以後も、「われわれは悪の帝国(旧ソ連)と戦っていたのだ。(支援しないとすれば)それは第2次世界大戦中にヒトラーと戦うソビエト軍に供給支援を行わないのと同様だ。当時、タリバンなんていう名前を知っていた人間なんていただろうか?」と述べ、イスラム武装勢力たちの軍事強化に荷担したことを悔いることは無かった。
2010年2月10日にテキサス州の病院で心不全のため77歳で亡くなった。
第65回ゴールデングローブ賞で作品賞を含む5部門、第80回アカデミー賞ではフィリップ・シーモア・ホフマンが助演男優賞にノミネートされたが、いずれも受賞には至らなかった。(ウィキペディア) -
冷戦下の1980年、ソ連がアフガニスタンに侵攻する。
酒と女とドラッグに溺れていた下院議員チャーリー・ウィルソンはアフガニスタンへの武器支援がわずか500万ドルだと知り増額を指示するが…。
ソ連をアフガニスタンから撤退させ、冷戦を崩壊させた影の功労者チャーリー・ウィルソンの実話。
チャーリーがソ連撤退後に提案した支援が実現されなかったばかりに、後々アメリカがどれほどの苦境に陥っていくか当時の人々は知る由もなかっただろう。
今の決断は確実に将来を変えていくのだ。 -
F**k offメリケン!中村哲医師を見倣え。
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アメリカとアフガンの歴史の勉強にちょうどいい映画です。
こういう歴史があって今のアメリカとアフガンの関係が出来上がったのか…ということがお勉強できる。教科書より分かりやすいし。
出演者は豪華だけど、淡々と話が進むから娯楽映画が好きな人には向かないかもしれないけど。
チャーリー・ウィルソン下院議院のキャラクターが素敵。
そして、ジュリア・ロバーツは年老いても美しい。 -
実話だから、興味があった。歴史のひとつ。
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世界の警察を自認した「アメリカ帝国」もかつての威光も衰え、そんな時代に冷戦時代のアメリカの活躍を描いた作品が作られるなんて、なんかイヤな感じです。ソ連のアフガニスタン侵攻の裏で1人のアメリカ下院議員が動いていたというエピソードは興味深いですが(ややストーリーは複雑で理解しにくい)、どうも「アメリカの正義」を描いたプロパガンダに思えてしまいます。
でもトム・ハンクスはいいですね。軽さと重さを兼ね備えたような役柄は適役。ジュリア・ロバーツはちょっと気持ち悪かったなぁ。フィリップ・シーモア・ホフマンはさすがの貫禄ですが、彼はもっとアブない役が似合います(笑) -
Charlie Wilson's War
この映画、最後考えさせられるけどその他部分はまさにハリウッドって感じ。彼らはヒーローが好き。共産主義は嫌い。
"All these things have happened, and they were glorious…and then we fucked up the end game" -- Charlie Wilson
彼の働きかけでアフガニスタンのソ連軍は撤退した。でもその後アフガニスタンはイスラム過激派の温床になり、アメリカが提供した武器、CIAが訓練した人たちはこれらイスラム過激派を逆に助けるかたちになった。9.11も彼らが関わっているために間接的に自国に攻撃する力を与えてしまったことになるのではないかとも言われている。
でも、ガスもチャーリーもその後のインフラ整備の重要性を主張していたし、最後に委員会が学校建設のためのたった100万ドルの支出を拒んだが為に現在のアフガニスタンの状況があると暗に示唆している。
もしもあのとき...なんて結果論を語っても仕方がないけど、歴史から学べることはあるよね。
For it is God's will that by doing good you should silence the ignorant talk of foolish men. Live as free men, but do not use your freedom as a cover-up for evil; live as servants of God. (1 Peter 2:13-25) -
無名の人々によって、世界や国家が裏側から動かされているという事実を実感できる作品
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実話をもとに、たったひとりで米ソの冷戦を終結させたテキサス州の下院議員の活躍を描くコミカルなポリティカル・ドラマ。
お酒!美女!金!と、善良なイメージとは程遠い政治家チャーリーだが、
確かな実績を残し、様々な状況を打破していく。
爽快でコミカルな国際政治ショー。
この人の存在自体が実話ってすごいな。
有限実行、頭脳明晰、そしてユーモラス。とても魅力的なキャラだった。
ラストがとても良いテーマと余韻を残してくれたなー。