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- / ISBN・EAN: 4988105058743
感想・レビュー・書評
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「恋をしてるのか、おまえは。」(寅さん)
久しぶりに無性に『男はつらいよ』が観たくなり(笑)、しかも、第42作『ぼくの伯父さん』がとても観たくなり(笑)、10数年ぶりに鑑賞しました。本作は実は3~4回は観ていて、シリーズ屈指の名作の1つであると思っているのですが、久しぶりに観てかなり忘れている部分も多く、また楽しむことができました。(笑)
本作はVHSビデオ発売当時、レンタルで観たのが初見でしたが、あれっ!「満男」が主人公?ではないのか!?と驚いた記憶があります。「寅さん」は一歩引く感じで、徳永英明の挿入歌が流れたりして、『男はつらいよ』というよりは、スピンオフの青春映画ではないかと思ったものです。(笑)そして今回、DVDのジャケット裏を読むと、しっかりと「満男篇」と出ていました。(笑)
あの当時、年に2作づつ制作されていて、『007』シリーズを軽く抜いて、マンネリズムの(あるいは「様式美」の)極致をひた走っている感もあったものですが(笑)、この頃から年1回の制作になり、山田洋次監督も『ダウンタウン・ヒーローズ』(名作!)や『息子』『学校』といった、家庭内の葛藤や青春物を制作するようになっていて、渥美清の体調問題もあったかもしれませんが、山田洋次監督が撮りたかった映画の一環だったのかもしれませんね。この新機軸路線は、『男はつらいよ』の外伝のような感じでしたが、しかし、こうした試みは誠に良かったと思います。
そうして改めて観てみると、オープニングの「寅さん」の夢物語も無くなっているんですね。シリーズのレギュラーとはいえ、ずっと脇役になっていた「諏訪家」の家庭内問題が赤裸々に語られるのは斬新でなかなか良かった。「満男」を心配する「博」の前田吟と「さくら」の賠償千恵子の両親役の演技も素晴らしかったです。脚本の良さといい、このまま独立したシリーズになっても良かったのでは、と思わせるような出来栄えです!
しかし、そこはやはり「寅さん」映画。「満男」の吉岡秀隆と「満男」を指南する「寅さん」の渥美清の掛け合いも面白いことこの上ありませんでした。(笑)特に2人の居酒屋でのシーンや、佐賀の旅館で偶然出会って「くるまや」へ電話するまでのシーン、翌朝の小野小町と深草少将の講釈シーンなど、もうサイコーです!(笑)そういえば、学生の頃、「寅さん」に教えてもらった酒の飲み方を真似してみたっけ。(笑)
吉岡秀隆とゴクミで次の世代へ!というのでも良かったんだがなあ。(←しつこい!)
ラストはいつもの「寅さん」で締めくくられましたが、しばらく大団円のあのテーマ曲が頭から離れそうにないです。(笑) -
"男はつらいよ"第42作。吹奏楽部の後輩への恋に悩む満男を寅さんがやさしくサポート。純な青春の悩みを吐露する満男とその悩みを静かに受け止める寅さん、二人のやり取りいいなあ。家族のみんなは寅さんをバカにするけれど、これまでの40作の積み重ねがあって、ついに寅さんも大人(父親)になった感じがする。
誰に何と言われようと胸を張って満男を肯定する寅さん。感動。 -
寅さんが甥っ子満男の初恋の為にひと肌脱ぐ。
寅さんと満男の絡みは確かにいいのだが、いやいや今作で寅さん恋してないじゃん。恋してない寅さんなんて『男はつらいよ』じゃない!
寅さんの高齢化を真剣に心配する一本。 -
寅さん、現役から退くの巻。
さくらと博がすっかりフケ役となり、「マドンナ」という愛称の意味が変質してしまうのは寂しい限りなのであるが、満男の台詞がすっかり増えたこの頃、「北の国から ’89帰郷」にてバイクが元でとんだ災難に巻き込まれてしまう頃と重なることを思う時、そちらはそちらで深い味わいが出てくる。富良野では彼が泉ちゃんの立場なのだ。広介こと古本新之輔の登場にはプチ興奮(笑)
檀ふみは第18作に登場した時の美しさを保ちつつ大人の色気を増してらっしゃる。寅さんとのからみももう少し欲しかったなとは思うものの、渥美清の没年からもう10年を切っているこの頃を思うに贅沢はもう言えない。夏木マリがあまりにもちょい役過ぎて少々不満であったものの彼女はこの先再登場するとのことで楽しみにしておこう。戸川純は姉妹出演達成。
満男はこの後ジャン・アレジに敗北を喫することになるんだよね(笑) -
帝釈天へと通じる道はすでに舗装されている。満男がテレフォンカードを使っているのに対して、寅次郎は相変わらず10円玉をせわしなく入れてて可笑しい。泉ちゃんの居候先で布団を並べて横になっている寅次郎と満男。満男は「伯父さん、今何考えてるの?」と尋ねる。寅次郎答えて曰く「お前と同じことよぉ」。満男は「あっ」と言って布団で顔を隠す。やっぱり不潔でいやらしいことを考えてるのかな。
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主役が寅さんから光男にかわったという点でエポックメイキングな作品。光男が惚れていた下級生の泉を探して光男は旅に出る。離婚した母と名古屋に住んでいたはずがそこにはおらず、佐賀の親戚の家に暮らしていた。光男は彼女を追いかけて佐賀へ行く。光男の反抗的な態度、恋愛感情、徳永英明の歌、夏木マリのバブリーな格好。当時を思い出して懐かしかった。すっかり感情移入した。にしてもゴクミの美少女ぶりはすさまじいな。演技は下手だけど。
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結果論だが「この作品で完結か!?」みたいな演出が随所にあった(現実は判らないが)。
そして寅さんだけでなく、寅屋の住人が皆元気がなかった気がした。
覇気というか毒気というか、これまでの定番の凄みが全くみられない。
タコ社長との絡みなど望むべくもない。
渥美さんの不調が現場全体に波及したのだろうか… -
寅さんが出てこないとだれますね。
でも、寅の向こうのおじさんへの挨拶はかっこよかった。
2017.1.3. -
純と満男の等身大の2つの連続するキャラクタがあった10代、20代の俳優人生ってどんなものだったのか、気になります。
う~ん、一本取られました(笑)!
まさかのチョイスですねぇ。
確かにとても出来の良い作品です。面白いですもんね...
う~ん、一本取られました(笑)!
まさかのチョイスですねぇ。
確かにとても出来の良い作品です。面白いですもんね!
見ていると、不器用な満男君をどんどん応援してしまって。
泉ちゃん目指してオートバイで疾走するところは、まさに青春映画でしたよ。
でも何しろ寅さんがそろそろ元気がなくなってきてます。
一作目のときのような怖いくらいの迫力はもうないし、声も張りがない。
いかにもどうも、それが寂しくてなりません。
その分、満男君とのからみは見所が多いです。
柴又に帰るとすぐ喧嘩になってしまうのに、満男君相手だと存分に良いところが出るんですよね(笑)
39作目だったかな。
【寅次郎物語】の中で満男君に「人間は何のために生きてるのかな」と聞かれたときの寅さんの答えや、44作目の【寅次郎の告白】で「おじさんは寂しくなることないの?」とこれも満男君から聞かれたときの答え。
それから47作目の【拝啓寅次郎様】の、有名な鎌倉高校前の会話。どれも心に強く残ります。
寅さんの受け答えそのものは、脚本を無視したアドリブ的がものが多かったそうで、どこまで本音だったのか、見返すと面白いですね。
この【ぼくの伯父さん】では、もうSLは走ってなくて、キハが走っていたのも印象的でした。
終盤の、寅さんが赤電話で「とらや」に電話する場面も出色で、なんだかほわっと気持ちがあったかくなってくるんです。
ああ~、また長々とコメントしてしまいました。
楽しくて、つい・・どうもすみません。
懇切なコメントを頂きありがとうございます!
久しぶりに観る『男はつらいよ』は初期作品にしよう...
懇切なコメントを頂きありがとうございます!
久しぶりに観る『男はつらいよ』は初期作品にしようか評価の高い作品にしようかと迷ったのですが、この前「満男」の話が出ていたので、この作品を選んでみました。(笑)この作品はいままでの『男はつらいよ』とは違い、スピンオフ作品のような感じで、「諏訪家」の物語は意外性があって面白かったのですが、nejidonさんの言われる通り、その分、寅さんの元気がいまひとつ無いのが気になる作品でもありました。弾けた元気さが無いというか、なんか落ち着いた感じになっていましたね。寅さんが甥っこの「恋の指南役」という役回りの時点で、世代交代を感じさせ、ずっと寅さんを見続けてきたファンにとっては寂しいところでもありますね。
『寅次郎物語』『寅次郎の告白』『拝啓車寅次郎様』はそれぞれ1回は観ているとは思うのですが、nejidonさんに言われて満男がそんな質問をしてたっけというのも何となく憶えてはいるのですが、そうですか、寅さんというか渥美清さん、アドリブで返答しておられたのですか。それは今度確認してみないと。教えていただきありがとうございます!次を観るのがまた楽しみになってきました。(笑)次は『寅次郎物語』にしようか、それともこのまま「満男篇」を継続しようか・・・。(笑)
最後はいつも心が温かくなるシーンですね。満男の帰還にみんな集まってきて笑顔で冗談を言い合い、そして、寅さんがそこに電話をかけてくる。「なんでお兄ちゃんだけここにいないの?」(さくら)切なくも温かい気持ちになれる名シーンです。今回はその後、泉と満男がまた再会していつも以上にハッピーエンドで、さらに心が温まりました!
と気がつくとこちらも長々と書いてしまいました。(笑)『男はつらいよ』の話なんてなかなかできないので自分も楽しいです。(笑)また、いろいろとネタを持って遊びにきてください。m(_ _)m (笑)