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- / ISBN・EAN: 4988105059672
感想・レビュー・書評
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1983年公開の日本映画。原作・西村望「丑三つの村」。出演・古尾谷雅人、田中美佐子ほか。岡山県で起きた「津山三十人殺し事件」がモチーフになっている、と言えばいくつかミステリ作品を思い出す人もいるかと思う。およそ40年前の作品のため、俳優さんたちがとても若く新鮮な感じで観ることができた。
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戦時下の昭和13年、山あいに数十戸が点在する小さな、閉鎖的な村。村一番の秀才とほめそやされて青年・犬丸継男(古尾谷雅人)は、純粋に国を信じ、兵士として立派に戦うことに、自分の男としての生き方を見ていた。
が、結核と診断された彼は、その望みを完全に断たれ、そればかりか村人たちからもツマはじきにされる。
自分が生まれ育った村の、近親遠縁同士で契り合う汚れきった血、汚れきった人間関係をつくづくと知らされ、ぎりぎりのところまで追いつめられた彼は、銃をとり、たった一人の戦場に出て行くことでしか、自分の生を確認する方法がなかった。
「みなさま方よ、今にみておれでございますよ・・・・・・・」
ブローニングの改造9連発ショット・ガンと日本刀で武装し、ハチ巻きに2本の懐中電灯をツノのように立てた彼は、ついに大量殺戮の火蓋を切る・・・。
「八つ墓村」の元ネタになった「津山三十人殺し」と呼ばれる「津山事件」を元にした実録犯罪映画。
村一番の秀才と誉れ高い犬丸継男は、師範学校の教師か兵隊を夢見ていたが、徴兵検査で肺結核と診断され村八分にされ、今までチヤホヤしていた村人や自分に体を開いた女たちにまで嫌われて軽蔑され虐げられ、恨みを募らせ村人に怒りの銃弾を炸裂させるまでを、閉鎖的な村に苛立ち承認欲求とリビドーに悶々として村の女たちと乱れた関係を結ぶ前半部分は青春映画調で、村八分に遭い次第に村人に恨みを募らせ村人に怒りの銃弾をぶちこむまでは田舎実録犯罪サスペンスホラータッチで描くことで、秀才青年が次第に狂気を募らせる怖さがあり、クライマックスの三十人殺しは犬丸が冷静にターゲットを冷酷に殺害する冷徹な計画性と血まみれのスプラッタ描写があり、古尾谷雅人の鬼気迫る熱演もあり、傑作実録犯罪映画に仕上がっている。
「皆さま方よ、今にみておれでございますよ」 -
エモいですねえ。五月みどりと池波志乃と田中美佐子全員脱いでいて全員かわいいという奇跡。音楽がなぜかシンセポップなのも良き。虐げられし者が全員ぶっ殺すぜっていうのは第三者としてはカタルシス。
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1938年(昭和13年)5月21日に起きた津山事件のノンフィクション映画。
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「今も昔も人は壊されてしまう」
昼間のNHK第一ラジオでこの映画を紹介していたのでどうしても見たくなり借りてきました
驚きです!
映画にもNHKにも
NHKはおいといてとにかくこの映画
今巷で話題の(少し前)『ジョーカー』を彷彿とさせるほどの背筋ゾクゾクものでして
まー当然あの時代の日本映画なのであの方やこの方々が裸で体当たり演技をしており若かったら内容は頭に入らなかったでしょうね
『八つ墓村』の元になったある事件のドキュメンタリー的な作品で主人公が「何故?」そうなってしまったのか
どう変貌していき鬼にまでなってしまったのか
田中美佐子さん存在がこの作品の救いでもあるように思えます
都会でも田舎でも人と人が生きる以上何らかの衝突があるのでしょうがコレは怖すぎます、実話ですからねコレ -
八つ墓村のモチーフにもなった津山三十人殺しを題材にした話。
これも後味悪い系にリストアップされてたんで見てみた訳だが、八つ墓村経由でこの事件を何回か浚ってたから、話の流れとしては特に目新しいと感じる所は無くてだな。
しかし、上の学校を目指すことも出来たのに祖母一人孫一人の身の上であったが為、祖母の為に進学を諦め、ならば兵隊を目指そうとするも身体検査で肺結核が発覚してそれも叶わず、好きになった女との恋も叶わず、病気が元で狭い村社会で孤立して行き、色んなことが上手く行かなくなり鬱々としていく青年の様子が過不足無く描かれていて良い感じ。
正面アップ多めの構図に「もっと引きで見せてくれえ」ってなったりもしたけど、概ね満足。
津山事件を題材にって言うからには、最終的に主人公が武装して村の中を駆け回り、恨みのある人物をSATSUGAIして回るんだけど、本人も言っていたように一番重要な人物を殺し損ねてるのが、んもーーー!!
主人公の攻撃に無駄が多すぎるんじゃあ!!
監督の作風なのか、物語上仕方ないのかわからんが、やたらと肌色多めな画面なので気にならない方はどうぞ。
武装後、一人残す事は出来無いとばかりに祖母を真っ先にSATSUGAIするんだけど、その後に己を鼓舞するが如く、返り血を浴びたまま万歳三唱する姿がゾッとしてとても良いですよ。 -
津山三十人殺しは山岸涼子の漫画「負の暗示」で知っていたので事件の内容については前から知っていた。でも映像にするとやっぱり迫力がある。殺戮もエロスも。コンプレックスと疎外感から事件が起こったのは知っていたけれどこの映画ではより切羽詰まった感じが出ている。生存者が少なくて犯人も自殺しているので憶測の部分もあるだろうけれど、村八分になることは人生のお終いぐらいの意味合いがあったんだろうな。しかも結核で命の危機にも直面していたし。これだけの大量殺人を犯した彼がもし戦争にいっていたなら、敵兵を殺しまくって英雄になれていたのだろうか。殺戮後の満足げな主人公の愚かさが悲しい。
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全く気づかずに西村望作品の映画を続けて鑑賞。
シンクロニシティ。
ラストシーン、観客に向かっての古尾谷さん。洒落になりませんよ。 -
実際にあった事件が基になっているらしいが、近年見られるサイコパスキラーという描き方ではない。結核から戦争に行けず愛国者ではないと村八分にされた男と、集団で気に入らない者を自殺に見せかけて殺す村民の戦いというストーリーになっている。悲恋の末という実際の話もあるようだが、人づての話は脚色が加わるので知った気になるだけ無駄なことだ。この映画を見て一番感情移入したのはヒロイン役の田中美佐子演じる女性である。あくまで映画の中での話しだ。横溝正史の八つ墓村も視聴済みで同じ事件を描いた映画だが、同じ事件のものとは思えなかった。