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- / ISBN・EAN: 4988135832306
感想・レビュー・書評
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✲\† 5つの大罪を犯し終え… †/✲
→(タイトルより続く)若手刑事ミルズを、最期の罪を犯す人間へと仕立て上げる幕引きは見事。
ジョン・ドゥ(スペイシー)が総てを計算し尽くし犯してきた殺戮。それは咎められて然りにも関わらず、どこか崇高なものさえ感じてしまうのは何故だろうか。
スペイシーの淡々とした表情や、落ち着いた“悟りの境地”に至っているような穏やかな発声の仕方は、まさに身震いさせらる程の怪演。
サマセット(フリーマン)とミルズ、このふたりの刑事の“老若の対比”で展開していく捜査が興味深くて面白い。
ブラピが何気に鈍感男、ややお馬鹿に描かれている。
サマセットとふたりして廊下で待たされている間、長椅子でミルズが(ぱッカ~ン!)と大口を開けて爆睡状態に在る様に、それが表現されていて笑えた。
フィンチャー監督は、シーンで雨を降り続けることに《世紀末を象徴させたかった》とのことらしい。
その演出が本作の沈鬱で重たい、猟奇のイメージ効果を高めることに成功している。
ミルズの妻トレイシーを演じたパウトロウの存在が、本作の中で唯一、穢れを知らない清らかな者として輝いているのが何とも象徴的。
トレイシーがサマセットに相談を持ちかえるシーン、「実は孤独で居た堪れないの…」という心の叫びを吐露する彼女が傷ましい。
見知らぬ地に付いて来て、刑事である夫の妻として、
妊娠していることへの不安と喜び…
そんな彼女のガラス細工のような心の叫びを、
真摯に聞いてあげているサマセットが、大人の男としてひじょうに頼もしく素晴らしいと感じた。
■やがてミルズに
“深い悲しみと激昂(憤怒)”が襲うーーー
その日が、土砂降りとは打って変わり晴天となったことにも、監督が何か意図するものがあったのではなかろうか?と、ふと知りたくなった。
★実際のところ、このラストにあっては《別の終幕も用意されていた》らしいのだ★
退職を間近に控えたサマセットが、若いミルズに成り替わり自らを犠牲にしジョン・ドゥを撃つ…
それが、お蔵入りにさせた「別のラスト」だったらしく。
★フィンチャー監督いわく、
「僕は、観た者に傷を残したいんだ」
そういう監督の強い想いから、現行の終幕が選ばれたと聞いたのだが。
この選択はこれで大正解であったように思える。
◆6番目の罪=『ENVY(嫉妬)』◆
これ即ちジョン・ドゥ自身(幸福な者を妬む)であり、
◆7番目の罪=『WRATH(憤怒)』
これ即ちミルズ(最愛の妻を殺害された)だったのだ。
引き金に指を掛け、自分の中の自分と猛葛藤するブラピの表情演技は見事の一語に尽きる!
サマセットが心の中で、
ヘミングウェイの言葉を呟く…
『世界は素晴らしい、戦う価値がある』
彼が、〝後の部分だけを認める〟というこのエンド。
刑事という職務に果敢に挑んできた"男の気概"を感じてひじょうに魅かれると共に、
ストーリーから離れたところでもこの言葉の引用は、
心に一石を投じられた。
【追記】
おぞましいシーンの多い本作品ではあるが、
《一定周期をもって何故か再見したくなる作品》なのは、本作の持っている《特異な魅力》たる所以だろう。
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冒頭からただならない雰囲気に引き込まれる。ずいぶん昔の作品ですが、全く色あせない。サスペンスの傑作ですね。名優の競演もさることながら、この映像のセンスの良さは非凡です。フィンチャー監督の功績は大きい。
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猟奇殺人。キリスト教の「七つの大罪」をモチーフにした連続殺人事件の犯人を追う。この手の映画は、あまり気持ちのいいものではないけど、目が離せなくなってしまう。最後に・・・え~!!!
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噛み合わない2人の刑事が奇怪な殺人事件を追う、やや宗教色のあるミステリー・サスペンス。
“噛み合わない2人の刑事”といえばコメディ色の強い作品を連想しますが、本作は重い内容です。
アクション性がメインの作品ではないですが、ブラッド・ピットの銃撃シーンは迫力が感じられました。
そしてモーガン・フリーマンが渋い!
よかったらチェックしてみて下さいな♪ -
想像通りの先にあるもの
7つの大罪をモチーフに連続殺人行う凶悪犯を逮捕すべく、奔走する刑事二人。
一人はまだ若く、感情で動くミルズ(ブラッド・ピット)刑事
その相棒は定年を来週に控えたベテラン刑事サマセット(モーガン・フリーマン)
海外ドラマ「スーツ」のような掛け合いが楽しめる前半。
今まで出てきた中の誰が犯人なのか、それはわかるわけもない。
大事なのは犯人じゃない。
犯人の動機でもない。
この映画の一番の見所は、誰が死ぬか、決められる「神」のような存在が居て、
その存在を捕まえるのは一体どういうことなのか。
運命を握っている人と、運命を変える人は違うということ。
正直後半になるにつれ展開は読める。
そして最後の決断がどっちであれ、起こった事実は覆せない。
その選択をしたのは自分で、誰かのせいにしたって、何も変わらない
その非情な現実を最高の演技で見せてくれる二人がこの映画を傑作にしたと思う -
元々はブラット・ピットが大好きで見始めた作品でした。でも暗いんです。監督デヴィット・フィンチャーが「セブン」のテーマは、「邪悪に触れれば、邪悪に染まる」とおっしゃていたようでしたがまさにそのテーマ通りに暗いのです。
映画ラストの「ヘミングウェイが書いていた。『この世は素晴らしい、戦う価値がある』と。後半の部分は賛成だね。」も無く試写後評判が悪かったため付け加えたほどだったとか。
本当にこの映画が語る生物学的理論と言うのでしょうかーどちらが強くてどちらが弱いーこんな事に囚われることは本当にムダなことだと感じました。
それを示したいがためだけに卑劣な犯罪を行う犯人ジョン・ドゥを食い止めようと警官ミルズは戦うわけです。その結果(監督は不本意ではあったものの)その一部始終を見た隠居生活を送ろうと決めていたサマセット刑事の人生観を変えることができたのです。
でも監督が伝えたかったー邪悪に触れれば、邪悪に染まるーまさにこれが醍醐味の映画でこの映画があって本当に良かったなと思いました。 -
胸糞悪くて、最高な映画。退職間近のベテラン刑事サマセット(モーガン・フリーマン)と、血気盛んな若手刑事ミルズ(ブラッド・ピット)が、キリスト教の七つの大罪になぞらえた連続猟奇殺人事件を追う。2人は容疑者を割り出すが、その人物に逃げられる。更なる殺人事件が続いた後、驚愕の事態が。
最悪の結末、救いようのない絶望感ゆえに、観る人を悪魔的に魅了する不思議な作品(「もう二度と観ない!」と言う人もいるでしょう)。刑事役2人の演技力、犯人役の気味悪さも見所。ラストシーンだけ晴天という、絶望感の演出法が秀逸。 -
まあまあグロくて、事件ものにしては珍しい結末だった。
その結末に対する伏線もちゃんと張ってあるから、構成はきれいだったし、オチに納得感はあった。