悪人 スタンダード・エディション [DVD]

監督 : 李相日 
出演 : 妻夫木 聡  深津絵里  岡田将生  満島ひかり  樹木希林  柄本 明 
  • 東宝
3.62
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本棚登録 : 2670
感想 : 588
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  • Amazon.co.jp ・映画
  • / ISBN・EAN: 4988104065643

感想・レビュー・書評

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  • 温かい飲み物を用意して、腰を据えて観て欲しい種類の映画。静かな展開な映画だが、とにかく全ての出演者の演技が丁寧で細かくて胸に響く。

    不条理が不条理過ぎず、悪は悪過ぎず、しかし愛だけは最高の純度で描かれている。深津絵里さんの役の純粋さと妻夫木聡さんの役の純朴さがとにかく切ない。

    描写はとてもリアルだけど、夢物語にも近い愛の突き詰めた形に想いを馳せてしまうそんな映画でした。

  • この地方の閉塞感、地方在住者だからこそすんごくよくわかります。
    殺された人間、殺した人間、その親、身内、周りの人、経緯、あらゆる視点の人間の生きざまや考えが交錯して各々のやり切れない心情が風景と共に緻密に描かれていました。
    妻夫木君の「目の前が海だともうどこにも行けないと感じる」という一言と灯台から臨んだ切り立った崖と海のシーンが印象的でした。
    また、人間は生い立ちも選べないというのをまざまざと見せつけられました。どうにもできない環境と生まれが人を捻じ曲げたのかなあと。

    出演者たちの迫真の演技に目が離せなくなりました。個人的に好きなシーンはケイゴがモンキーレンチでガラスの装飾品を叩き割ったところ。

  • 土木作業員の清水祐一(妻夫木聡)は、長崎の外れのさびれた漁村で生まれ育ち、恋人も友人もなく、祖父母の面倒をみながら暮らしていた。
    佐賀の紳士服量販店に勤める馬込光代(深津絵里)は、妹と二人で暮らすアパートと職場の往復だけの退屈な毎日。
    そんな孤独な魂を抱えた二人が偶然出会い、刹那的な愛にその身を焦がす。
    だが祐一にはたったひとつ光代に話していない秘密があった。彼は、連日ニュースを賑わせている殺人事件の犯人だったのだ……。
    数日前、福岡と佐賀の県境、三瀬峠で福岡の保険会社のOL・石橋佳乃(満島ひかり)の絞殺死体が発見された。事件当日の晩に佳乃と会っていた地元の裕福な大学生・増尾圭吾(岡田将生)に容疑がかかり、警察は彼の行方を追う。
    久留米で理容店を営む佳乃の父・石橋佳男(柄本明)は一人娘の死に直面し、絶望に打ちひしがれる中、佳乃が出会い系サイトに頻繁にアクセスし、複数の男相手に売春まがいの行為をしていたという事実を知らされる。
    そんな折、増尾が警察に拘束されるが、DNA鑑定から犯人ではないことが判明、やがて新たな容疑者として金髪の男、清水祐一が浮上する。
    幼い頃母親に捨てられた祐一、をわが子同然に育ててきた、
    祐一の祖母・房枝(樹木希林)は、彼が殺人事件の犯人だと知らされ、連日マスコミに追い立てられていた。
    一方、警察の追跡を逃れた祐一は光代のもとへ向かい、佳乃を殺めたことを打ち明ける。光代はその事実に衝撃を受けるが、警察に自首するという祐一を光代は引き止める。
    生まれて初めて人を愛する喜びを知った光代は、祐一と共に絶望的な逃避行へと向かうのであった。
    やがて地の果てとも思える灯台に逃げ込んだ二人は幸福なひとときを迎えるが、その逃避行が生んだ波紋は被害者の家族、加害者の家族の人生をも飲み込んでいく……。
    いったい誰が本当の“悪人”なのか? それが、一番のテーマです。
    被害者の女性は、ナンパされた旅館の女将の息子と加害者の二股をかけていた。
    加害者の祖母に言葉巧みに健康食品を売りつけた男。
    被害者をナンパした軽薄な旅館の女将の息子。
    底の浅い正義感で被害者、加害者家族を裁くマスコミと世間。
    彼らに罪は、無いのか。
    加害者と彼を愛した女は、同じ種類の孤独と閉塞感を感じていた。どうしようもなく惹かれ合った彼らを責められるだろうか。自首しようとした加害者を引き止めた彼女は、悪人なのか。見た人に重い問いかけを突きつける問題作です。
    加害者の孤独な男を丁寧に内に秘めた孤独感を持った不器用に愛を求める人間として演じた妻夫木聡、加害者をひたむきに愛する女性を丁寧に自然体で演じた深津絵里、柄本明さんや樹木希林さん、加害者を幼い頃に捨てた母親を演じた余貴美子さんなど、素晴らしい演技を見せてくれます。
    ヒリヒリするような切ない映画ですが熱い感情を呼び起こす映画です。

  • 暗い、切ない、可愛そう、、、な作品。
    本で読んだら、また何か違う感想になるのかな。。

  • 序盤から人間の嫌な部分を露骨に披露。暗い雰囲気が果てしなく、引きずったままエンディング。
    深津絵里の救われなさが辛い。鬼過ぎる。
    迫真の演技には引き込まれたけど、それゆえに田舎の閉塞感が伝わってきすぎて、2人がくっつくことは仕方ないと感じてしまった。
    それにしても、出会い系ってそんな出会えるんだな。

  • 「2008本屋大賞 4位」
    九州産業大学図書館 蔵書検索(OPAC)へ↓
    https://leaf.kyusan-u.ac.jp/opac/volume/761579

  • 寂れた県の、中核市とはいえ寂れた市の、国道沿いとはいえ田んぼばっかりで、通るのは通り過ぎる車ばかり。
    夜が更ければ真っ暗な中を、紳士服フタタと下宿を自転車で数十分かけて往復する生活。
    思えば中学も高校も近くにあり、似た生活を送ってきた数十年……深津絵里演じる馬込光代のいわゆる「同じ国道を行き来するだけの人生」(34号線)。これ、わかるわ……。

    また、仕事で佐賀市にも唐津市にも福岡県は博多にもよく通っていたので、それぞれの土地の距離感がまざまざと蘇るようにわかった。
    しかも原作2007年映画2010年ということなら私は25歳前後。まさに作中、妻夫木聡演じる清水祐一や、満島ひかり演じる石橋佳乃、岡田将生演じる増尾圭吾と、数年くらいの幅の中にいた……映像に一瞬映った佐賀駅南口。
    ひょっとしたら私が佐賀駅南のサガシティホテルの暗い照明で陰陰滅滅と「20世紀少年」を読んでいたころかもしれないし、駅北のアパホテルで酔った挙句全裸で部屋を出て我に返ってフロントマンに助けを要請したころかもしれないし、ホテルグランデはがくれや四季彩ホテル千代田館や佐賀大和ICより北の登龍園の窓がない部屋に泊まっていたころかもしれない。
    佐賀市から博多に向う峠は数回通ったことがあるし、佐賀大和ICから唐津への道は何度も何度も通った。彼女が通った高校は佐賀北高校か北陵高校か高志館くらいかしらんと目安がつくし、彼が高校に通ったなら唐津青翔だろうなぁ、とも。
    翌日追記・「通った小学、中学、高校も職場もすべて国道34号沿いにあった」ということは、致遠館かな……。

    と、ついチラシの裏に書いてしまった。
    演出は結構ウェットで、控えめに叫んだり、結構泣いたり。
    とにかくウェットで過剰な演技を忌避したい私にとっては、ややウェットすぎるかな(ポン・ジュノの作品は血と反吐と口紅と得体のしれない水とであふれているのに、画作りはドライ……そのほうが好ましい)……でもギリギリのところかな……逃避行の果てを描くのに灯台と草原というのはなかなか悪くない(がトラン・アン・ユン「ノルウェイの森」のほうが数段上だ)、と、及第点なのに上に突き抜ける要素がない……惜しい。
    君に会うまで殺人を何とも思っていなかった、とはっきりと「罪と罰」のソーニャに対するラスコーリニコフの心情を語り始めるが、やや唐突。あるいははじめっからソーニャのことを考えながら本作を見たり原作を時間をかけて読んだりすれば、違うのかもしれないが。

  • 自分をさておいて相手を想う気持ちが自分の孤独を救うんだな。色々考えて、思って、泣きました。

  • 本当の悪人は誰なのか。
    吸い込まれるように見ることができる作品。

  • 駄作。殺す/殺される双方の当事者、家族に事情や立場があるわけで、その埋められなさを持って「悪人」とはなんぞやって相対するって。。。わざわざやらんでもあたりまえすぎへん?キネ旬1位やからいやな予感はしとったんやけど、やっぱなー。考えさせる風味シネマだった。被害者をビッチキャラにして、天秤のバランス取るやり口も何だかなぁやし、大学生を犯人よりなんかあかんやつみたいにしてんのもアホかおもう。当事者でもなく、親父の行き場のない気持ちの吐口になった彼が一番可愛そうやろ!被害に絡んだとはいえ、二十歳すぎた男女の痴話喧嘩で、「何でおろしたんだー!」って、完全にやつあたりだよな。きもちはわかるが、大学生は親父に生き様を全否定されるほどひどいことはやってないわな。良くある痴話喧嘩の範疇のゲスさで、犯罪でもなんでもない。犯人や深津の空虚感?それ、増幅して意味あるんかいいな。そこかてあんまうまくやれてるとはおもわん。其々の立場を丁寧に提示しているとこはいいが、テーマがつまらんし、駆り立てる切迫感に説得力もないし、駄作と評するしかない。

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