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感想・レビュー・書評
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三浦しをんの「きみはポラリス」の中の一作、「骨片」に登場してから気になってしょうがなかった一作。良い!嵐が丘という非常に狭い物理的環境の中で、死と生、愛情と憎悪、高慢と軽蔑、繁華と没落、などなど様々な相対性が文字通り嵐の様に渦巻く。まさしく振り立てのスノードームを眺めている様。物語の構成やキャラクターの設定も、常に相対性を意識しながら緻密に設計されている。また、複数の語り手が登場するだけでなく、語り手が更に別の登場人物の手記を伝えたり、独断と偏見というフィルター越しに物語を繰るスタイルは今の時代でも新しい。前半のヒースクリフとキャサリンの悲恋も相まって、最後の和解のシーンでは自然と涙が流れてしまった。若干キャラクターの行動には不可解な点もあったが、その違和感を覆す程の名作だった。好きな作品だ。
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