美術手帖 2012年 02月号

制作 : 美術手帖編集部 
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感想・レビュー・書評

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  • 松井冬子の絵はなぜか嫌いじゃない。幽霊や妖怪が好きだというのもあるけれど、まったく怨念が感じられない。「痛み」がない。
    標題からして、観念的で解剖学的な絵だと思う。痛覚を失った人間そっくりの人形がいて、皮膚を剥ぎ、内臓を取り出し、果てにはどくろにしてしまう。
    例えは悪いが、さんまの塩焼きの身を、ていねいに箸で剥いで食べるような、冷徹な視線を感じる。ぜんぜんグロテスクだとは思わない。

  • 松井冬子特集。
    彼女の独特な世界観と見るものを圧倒させる作品は素晴らしいと思います。
    にしても、彼女、美しすぎます。

  • 美術が美術であるためには創造力、主張、クォリティー
    視界からの痛みを共有できるか
    死に近い状況にある状態が生のエネルギーとなる。
    目を背けるのは防衛反応
    男性との差別・・・子宮をみせる。生命を生み出すもの

  • 横浜美術館でやっていた松井冬子展に行ってきました。彼女が描く新しい日本画の世界観を理解したくて借りて読んでます。

  • とてもよくできていて、話もすんなりとくるのですが、やっぱりわからないことがあります。なんというか理解されたがってないというか。
    友達になれるというのは反語だったってことなのか。
    同じ反語でも奈良美智がI DON'T MIND, IF YOU FORGET MEといったのとはだいぶ違います(ホントは反語ではありません)。

    自分から語らないと、なにも語ってくれなさそうで、オープンにしている部分もあると思うんだけどなぁ。

    うーむ、女の人のことはわかりません。わからないし、なれるわけじゃないからその分、敬意をもって接することにしてみます。

  • 松井冬子展 世界中の子と友達になれる
    主催:横浜美術館
    会場:横浜美術館
    会期:2011年12月17日(土曜)~2012年3月18日(日曜)
    観覧料:一般 1,100円
    観覧日:2012年1月17日(火)

    「本展では、代表的な本画の作品、試行錯誤の軌跡を伝える下絵、厳密に描き込んだデッサンなどに、本展のための新作を加えた約100点によって、松井冬子の全貌をご覧いただき、《世界中の子と友達になれる》―この出発点から、松井冬子がどのように自らの表現を突き詰めて来たかを検証します。」(ホームページより)

    うちのかみさんが好きな画家の一人なので、一度見ておこうと出かけてきました。
    みなとみらい線でみなとみらい駅で降りたのですが、いつもと違う出口に出てしまい、横浜美術館の位置が分からず、ちょっとあわてましたが、駅からの出口のそばに地図があったので、それを見てわかりました。確か1番出口から出てしまったので、一番後ろから出てしまったようです。
    入場者は、ほどほどといったところでしょう。
    会場に入ると「盲犬図」2005年、が迎えてくれます。お座りした状態の洋犬が左横から描かれています。首輪に突起物がついて何かぶら下がっています。これは何でしょう。

    展示のテーマは以下のように分けられています。
    第1章、受動と自殺
    第2章、幽霊
    第3章、世界中の子と友達になれる
    第4章、部位
    第5章、腑分
    第6章、鏡面
    第7章、九相図
    第8章、ナルシシズム
    第9章、彼方

    内臓をはみ出させた状態の女性を描いた絵が何枚もありますので、生理的拒否反応で吐き気がしてしまいました。実際に吐くまでではありませんが。
    人間の内臓を見るのが苦手な方は、見に行くのはやめておいた方がいいかもしれません。
    幽霊や骸骨などもありますので、心臓の弱い方にはちょっとお勧めできません。
    「世界中の子と友達になれる」と題された絵が2種類あります。2004年の作と2002年作です。藤棚が描かれているのは、2002年作の方です。この絵の下図もたくさん展示されています。完成図では、女性が左側、揺りかごが右側にありますが、最初の構想では、配置が逆になっていたようです。不安な感じは完成作の方がよく出ますので、さすがです。
    離れてみると、藤の花としか見えないのですが、近づいてみると大きな蜂が藤の花のあちこちにしがみついています。藤の枝先の方には、鉢が密集しています。ちょっとぞっとしてしまいます。「世界中の子と友達になれる」?、簡単には行きそうもありません。
    風景画と呼べるような大作があります。「この疾患を治癒させるために破壊する」2004年、です。千鳥ヶ淵の満開の桜が水面に映っています。水墨画といった感じです。白と黒の世界です。
    体の途中を食い破られた蛇を描いた物もあります。頭が二つあるので、二匹の蛇が争ったのかと思ってよく見ると尻尾の方は、一匹分しかありません。一つの胴に二つの頭の蛇だったようです。
    「自画像」と「自画像のための下図」2002年、も展示してあります。完成図では、白いベールに見えたものが、下図を見ると髪だったようです。
    3月の震災支援のために描かれた「陸前高田の一本松」2011年、もあります。木製の団扇です。
    力量のある画家だと思います。これからの活躍が楽しみです。
    (2012年1月21日・記)

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