リリィ、はちみつ色の秘密 (特別編) [DVD]

監督 : ジーナ・プリンス=バイスウッド 
出演 : ダコタ・ファニング  クイーン・ラティファ  ジェニファー・ハドソン  アリシア・キーズ  ソフィー・オコネドー  ポール・ベタニー 
  • 20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン
3.59
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本棚登録 : 71
感想 : 13
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  • Amazon.co.jp ・映画
  • / ISBN・EAN: 4988142875426

感想・レビュー・書評

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  • 可愛らしいタイトルに、夢見がちな少女の初恋物語かしら、
    と思って観たのですが、とんでもない!
    罪と赦しと、差別と受容を丁寧に描いた、大きな大きな物語でした。

    嫉妬に狂った父の暴力から母を救おうとして手にした銃で
    4歳の時に、誤って母を死なせてしまったリリィ。
    10年経っても、歪んだ愛情から体罰を繰り返し、亡き母を悪しざまに言う父と
    自分の唯一の味方である黒人メイドのロザリンを犬並みに扱う白人たちに嫌気がさして
    母がその昔住んでいたらしい街を目指し、ロザリンと共に旅立つのです。

    誕生日前日だというのに、父の命令で粗挽きトウモロコシを振り撒いた床に
    1時間ずっとひざまずかされ、膝小僧を傷だらけにしていたリリィが
    母の故郷のトウモロコシ畑を夢見るように歩くシーンに涙が溢れます。

    こうして辿り着いた街で、見るからにワケありの彼女達を受け入れてくれたポートライト家は
    リリィがこれまで訪れたどんな白人の家よりも立派で趣味の良い調度品が溢れ
    養蜂場を営む黒人三姉妹も皆、驚くほど教養豊かなのだけれど
    別天地と思えるようなその街でも、黒人差別は大手を振ってまかり通っている。

    映画館には白人用の扉と黒人用の扉が別々に設けられ
    リリィと黒人の少年がちゃんと別の入り口から入って、中で隣り合って座っても
    心ない白人たちにつまみ出され、「黒人のくせに」と少年は袋叩きにされるのです。
    良家の子女は、いまだに黒人の乳母の手で健やかに育てられているというのに。

    そんな中にあって、リリィに養蜂の手ほどきをしながら
    「ハチを叩かないで。 叩こうとも思わないで。
    大事なのはハチに愛を送ること。 ハチも愛されたいのよ」
    と静かに語る、ポートライト家の長女、オーガストが素晴らしい。
    彼女は、優しすぎて心を病んだ三女のメイの希望で、
    家の壁を目の覚めるようなピンクに塗り替えて不評を買うのだけれど
    その時口にした「家の色が何色だってかまわない。中の人が幸せなら」
    という言葉には、黒人迫害に目の色を変えている白人たちの
    つまらないプライドをかるがると飛び越える器の大きさがあって、胸打たれます。

    差別され、迫害され続けた黒人たちを悼み、祈りを捧げるために
    オーガストが庭に築いた「嘆きの壁」。
    4歳の頃の不幸な事故に始まり、今に至るまでの自分の物語を綴ったノートを
    その壁の窪みに預け、悲しい夢を見ても朝には自分を赦し
    いったんは自分を捨てた母を赦し、大人になりきれない父も赦して
    血はつながっていないけれど、私には三人も母がいる、と
    オーガストたちが待つ家へと駆けだすリリィの後ろ姿が
    いつまでも目に焼き付いて離れません。

    • kwosaさん
      まろんさん!

      おかえりなさい。
      長旅お疲れさまでした。

      おや、まろんさんの映画レビューとは珍しい。
      普段は未読、未見の作品に関しては、あ...
      まろんさん!

      おかえりなさい。
      長旅お疲れさまでした。

      おや、まろんさんの映画レビューとは珍しい。
      普段は未読、未見の作品に関しては、あまりレビューを読まないようにしているのです。
      でも
      「ようやくまろんさんのレビューが読める。しかも映画!」
      誘惑には勝てませんでした。

      >可愛らしいタイトルに、夢見がちな少女の初恋物語かしら、
      と思って観たのですが、とんでもない!

      タイトルは知っていたのですが、てっきり僕もそんな感じだと思っていました。

      >「家の色が何色だってかまわない。中の人が幸せなら」

      はっとさせられるセリフですね。
      こういうテーマの物語はなかなか一言で語り尽くせないものがありますが、まろんさんの愛あるレビューは心に沁み込むように伝わってきます。

      ダコタ・ファニング が出演しているのも気になります。
      これは観なければいけませんね。 
      2013/07/07
    • まろんさん
      kwosaさん!

      岐阜に発つ前夜、
      「ああ、留守中また録画がいっぱい溜まっちゃう!録り溜めておいたのを観なくちゃ!」
      と慌てて観た映画だっ...
      kwosaさん!

      岐阜に発つ前夜、
      「ああ、留守中また録画がいっぱい溜まっちゃう!録り溜めておいたのを観なくちゃ!」
      と慌てて観た映画だったのですが、これが素晴らしくて。
      生きていく上で大切にしたいことが、ぎゅうっと詰め込まれたような作品なのですが
      それでいて急いだ感じが全くなくて、豊かな流れに身を委ねているような。

      ストーリーも映像も、ダコタ・ファニングの意志を秘めた瞳も素敵ですが
      観終えたらたぶん、三姉妹の長女オーガストに抱きしめられて頭をぽんぽんしてもらいたくなります!
      もう、幾つになったとか、男女の別関係なしに。
      kwosaさんがどんな感想を持たれるのか気になってしかたがないので
      いつの日か観られたら、ぜひぜひレビューを読ませてくださいね!
      2013/07/10
    • まろんさん
      gumi-gumiさん☆

      いえいえ、こちらこそコメントありがとうございます。うれしいです!
      包容力のかたまりのような長女オーガストがとにか...
      gumi-gumiさん☆

      いえいえ、こちらこそコメントありがとうございます。うれしいです!
      包容力のかたまりのような長女オーガストがとにかく素晴らしいのですが
      優しすぎて他人の悲しみまで引き受けてしまうような三女のメイもとても素敵です。
      女性たちがそれぞれ魅力にあふれていて勇気づけられる作品なので
      機会があったらgumi-gumiさんもぜひご覧になってくださいね(*'-')フフ♪
      2013/07/10
  • 黒人が公民権を勝ち取った1964年のひと夏の物語です。乏しい制作費と情熱で作り上げたそうですが、とても上質の文芸作品でした。そして、キャストの素晴らしい演技に感動しました。とりわけ、深い心の傷を持ったまま思春期を迎えるダコタ・ファニングと思慮深く、愛情を持って家族を包むクイーン・ラティファの演技は必見です。

  • せつな良い話でした。
    ダコタ・ファニング可愛かった。

  • 頭デッカチな薄ら気持ち悪い映画。
    黒人姉妹の次女の演技が酷い。
    悲劇の原因を父親に押し付けてるけど、当時の片親としてはちゃんとやってる方だと思う。

  • いつも気持ちが落ち込んだ時や、泣きたい時に観ます。みんなで歌いながらビーナスに触れるシーンは、気持ちが揺さぶられたのを覚えてます。
    虐待、人種差別など色々な要素を盛り込んだ話ですが、脇を固める俳優が素晴らしいので、ただの暗い話にはなってません。

  • 2014/4/28 ダコタ ファニングを始め 有名な女優さんが出演してました。人種差別の根深さを感じつつ 映像は綺麗で センチメンタルジャーニーって感じ…。でも、考えたら 父親の存在も虚しくかわいそうな気がするけど…

  • ストーリー自体はわりと普通。だけどこの映画の素晴らしいのは1シーン1シーン登場する人達の行動やセリフ、そして風景を含む映像そのものから常に温かさを感じ、映画全体を通し心地良かった点。
    ちなみに隣で観ていた嫁は「自分の中の何が引っかかったのか分かんないけど涙が止まんない」って大号泣してたw

  • はちみつを壁にドーーン!!!

  • ヘルプに次いでこちらも黒人差別問題が描かれていました。
    なんて重たい話。ダコタファニングが時々、安達祐実に見えた。

  •  1964年のサウスカロライナ。偶然に母を射殺してしまった過去を持つ少女リリィはメイドのロザリンが白人達にリンチされかけたことをきっかけに家出をし、黒人の女性達が営む養蜂場に住むようになる。

     つらい過去を持つ少女の再生と当時の黒人の(しかも女性の)力強く生きる様を重ねて描く。面白いのは父親(白人で男性)の視点だ。彼も実は深く傷ついていたという視点は人種差別を考える上で興味深かった。
     ダコタ・ファニングはすごい女優になるんだろうなぁ。。。

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