こういう話って、結構気になる人なので、安くなっていたらつい購入してしまう。本書も100円とかだったので購入。
正直、「で、何を伝えたいの?」と思った。本書で伝えたいことが全く見えず、風俗好きの自分がいろんな風俗嬢と話をしてきたのでそれを共有します、というだけの内容に感じられた。
そこに価値はない、とは言わないけど、でも大した価値があるとも思えない。何を伝えたいのか、読者にどう感じてもらいたいのか、そこにこそ著者としての価値を出せるんじゃないか、と思うんだけど。
著者が「特に印象に残った11人の女の子をピックアップした」らしいが、出てくる女性みんなが風俗好きで楽しんでやっている。お金の面もそうだが、既婚で夫の了解(?認識?)もあった上でやっているとか、変態的な行為が好きだとか、そういう人間が大半。一部、病気のことを伝えたがっているライターとか、女の子が安心して働けるお店を作りたいとか、そういう人もいるのだが、そこに割かれているページがあまりにも少ないと感じる。それ以外のところがやたらと多い。
ここに出てきている人たちって、良くも悪くも「マイノリティ」なんじゃないの?マイノリティばかりを出してくるところに著者のあざとさと底の浅さが出ているようで、残念。まるで「風俗嬢ってみんなこんな感じでスケベで風俗店での行為そのものを楽しんでるんですよ」と伝えたがっているように思える。
もっとマジョリティの声であるとか、ステレオタイプ的でも止むを得ずやっている人たちの声や、商売としてしか考えていないお店の話などの方をこそ、伝えたほうが良いのではないか、などと思ってしまう。
本書が「こういう人達もいる。ステレオタイプだけではない、ということを知ってもらうことも重要だ」というスタンスで作られているのであれば問題ないのだろうけど、そうじゃないだけに非常に残念。貴重なインタビューだとは思うのだが。
結局興味を持った男性に「風俗って、こんなにエロくてスキモノの女の子がたくさんいるんですよ、面白そうでしょ」という下世話な興味を増幅させるためだけに作られたんだろうな、と思う。
だったらコンビニで売られている風俗店情報誌にでもコラムとして書けばいいじゃん。
その程度の内容でした。残念。