NHK「100分de名著」ブックス 孔子 論語 NHK「100分de名著」ブックス [Kindle]
- NHK出版 (2012年2月23日発売)
- Amazon.co.jp ・電子書籍 (160ページ)
感想・レビュー・書評
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儒教的な解釈の論語というより、孔子の論語、という色を強く感じ新鮮だった。自分が充実していれば周囲との関係もよくなりひいては人間社会がよくなるという孔子的自己チューの考え方は示唆深かった。また、本書とは関係ないが、古典は無理して原文を読んで退屈になるより、現代語訳を読んで、そこから新たな視点や考え方を得ることを意識した方が有意義だと思った。
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お客さん(70代、男性)が勧めてくれたので、せっかくだから読んでみた。
孔子が身長2メートル超の偉丈夫というのが意外。オーラがすごくてそう見えただけなんじゃないのか。
「夫仁者己欲而立人、己欲達而達人、」(自分が出世したければ、出世したいと思っている者の手助けをすることだ。成功したければ、成功を求める者の手助けをすることだ)
イイネ! -
- 論語に対するとっつきにくさ、ハードルを下げて導こうとしてくれる良書。
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- 「義 を見て 為 ざるは、 勇 なきなり」(為政 第二─二十四) (正しいと分かっていながらやらないのは臆病者だよ。正しいことが分かっているんだったら、あくまでもやるべきだぞ)
- 「力足らざる者は 中道 にして 廃す。今 女 は 画 れり」( 雍也 第六─十二) (力が足りないのなら、やるだけやって途中で倒れればよい。やりもしない前から「できません」と言うのは、自分で自分を見限っている証拠じゃないかね)
- 孔子の教えは、道徳的ではありますが、世捨て人の学問ではないからです。儒教的解釈のために『論語』というと消極的・禁欲的な〝 修身の教科書〟を連想してしまいがちですが、もともと孔子が言っていることはそういうものではありません。 むしろ、孔子の教えは積極的に社会参加していくためのものであり、それゆえに現世的であり、ある意味では俗っぽいほどなのです。
- 金儲けも出世も有名になることも、それ自体が悪いことでも否定されるべきことでもない。ただし、「目的」と「手段」、「結果」と「過程」を混同するなと口をすっぱくして教えているのです。
- まず自分が充実していれば、周囲との関係もよくなり、ひいては人間社会全体もよくなる。要するに、何をおいても、まずは「自分をきちんとする」のが最優先ということです。
- 教育によって、物事を自分で正しく判断できる人間を作っていくことが、孔子の目的だったことが分かるでしょう。そこでワタシが思い出すのは、 福沢諭吉の『学問のすゝめ』です。
- 「故 きを 温めて新しきを知る、 以 て師と 為るべし」(為政第二─十一) (古典や古い学説を学び、そこに現代的な解釈をつけ加えてみるといいよ。そうすれば行動の指針になるからね) じつは、ここに、孔子の教育論のエッセンスが集約されています。彼は、先人への共感と追体験の中に、学問の大きなポイントがあると考えたのです。 〝真の創造性〟とは、無から有を生み出すことかもしれませんが、凡人にはそれはチト無理な話です。一から十まで自分で考えろと言われてもできない。でも、過去に誰かが言っていることをもとにして自分なりにアレンジする、というのだったら、できそうじゃないですか。 物事を考察する時は、まず、すでに評価が定まっているなんらかの価値にひっかけて考えてみる。これが「温故」。そして、その上に新たに自分流の解釈をつけ加えてみる。これが「知新」。それが、孔子流のやり方なんです。
- 彼がめざしていたのは、みんなが信頼しあえる温かい社会、人と人がだましあったり裏切ったりすることのない社会です。
- 「汎 く衆を愛して仁に親しみ、行ないて余力あれば、則ち以て文を学ぶ」(学而第一─六) (まずは心を豊かにし、まわりの人たちを愛せるようになることだ。学問はその後からで十分だよ)