ほあんさんの感想
2014年1月21日
ニュースキャスターという職業は、ニュースを「わかりやすく」伝えるのが仕事である。ただ、わかりやすいというのは一つの罠であって、ついそこで納得してしまって、その先や別の側面からのモノの見方を考えなくなってしまう。そういうわかりやすい説明の弊害を意識するようになってから、僕はニュース番組を観なくなった。 池上さんといえば、ザ・わかりやすさってイメージのお方である。こういう本を求める人の多くはこの本で納得してしまって、先には進まないないんだろうなと思うと、面白いほどわかっちゃうのはやはり問題なんだなと再認識した。ていうか、この本で止まるのは池上さんにとっても不本意で、本来は巻末の参考文献に進んで欲しいと願っているのだろうけど。
池上彰(いけがみ・あきら):1950年長野県生まれ。慶應義塾大学経済学部卒業後、73年にNHK入局。記者やキャスターを歴任する。2005年にNHKを退職して以降、フリージャーナリストとしてテレビ、新聞、雑誌、書籍、YouTubeなど幅広いメディアで活躍中。名城大学教授、東京工業大学特命教授を務め、現在9つの大学で教鞭を執る。著書に『池上彰の憲法入門』『「見えざる手」が経済を動かす』『お金で世界が見えてくる』『池上彰と現代の名著を読む』(以上、筑摩書房)、『世界を変えた10冊の本』『池上彰の「世界そこからですか!?」』(以上、文藝春秋)ほか、多数。 「2023年 『世界を動かした名演説』 で使われていた紹介文から引用しています。」