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感想・レビュー・書評
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子育てに追われる3人の女性の物語です。ちょっと露悪的ともいえる描写に陰鬱な気持ちになりながら、読み進めました。読み終わるのに時間がかかった。育児って壮絶だなぁ、と思いました。
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子育てあるあるよねと思って読み進めていったけど、途中から3人の女性それぞれに自分が感情移入して行って読むペース早まる早まる(笑)心をえぐってそれでも更にグイグイくる金原ひとみワールド堪能。泣いちゃうけど、心揺り動かされる、まさに文学って感じです。
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マザーズ / 金原ひとみ / 2011.10.29(25/77)
育児ストレスからのドラック漬け、夫との不仲から不倫、虐待、離婚、子供の死。。。これらは決して小説の中だけではなく、どこの母親にも十分に起こりうることがここには記してあると感じた。そして我々はいつ何時そのような事態の当事者になるかもしれない可能性を秘めているという点で、怖さがあり、また危機感を持った。我々の普段の何気ない生活、ありふれた日常は、あらゆるものの絶妙なバランスの元になり立っているものであり、ひとたび何かの均衡が崩れれば、何が起きてもおかしくないということだ。
しかし、これらのことを防ぐことはできるとも思う。それはやはり、夫婦仲が良いこと、二人で育児、家事にあたること、時には、両親、友人、公的機関等の外部の力を借りること。そして理想を高く追い求めないということ、なのだろう。
Kの大変さはよくわかったが、女性の内面をここまでリアルに、危険に描写したのは初めて読んだ。Kに対する接し方をもう少し改めないといけない。
子供を出産したとき、子供との関係性の中で私は圧倒的な自己肯定感を持ち、それ以上の自己肯定を求めずに済むと思っていた。それえもそれは空白をうめなかった。私はどこまでいっても、私の小説を未来永劫完璧に完全に完膚無きまでに認めてくれる人がいない限りみたされはしないのだとう、とうとう自覚した。
結局、旦那sにhちえも、医者にとっても、自分の母親にとっても、子供の問題など所詮他人事でしかない。ああしたら、こうしたらというだけで、子供の苦しみを自分の問題としては受け止めていない。それは、私の責任であって、自分せきにではないという立場から好き勝手に文句や意見を言っているだけなのだ。私は、誰かを頼りたいという気持ちこそが最も愚かで無意味な希求であると知った。
十代の頃のように、はらわたをひきづり出すようにしてすべてを吐露していた頃のようんば痛々しい人間関係を持つことはもうできないのだ。大抵のことにはわらって応え、悲しみや苦しみは体内で処理して、私は平気ですよという顔でまた外に出ていく。それはきっと、子供に見られたくない体。子供に見られたくないから、私たちは、影で泣き、陰で苦しむようになったのだろう。汚物を人目に晒さないようにトイレが進化したように、私たちは自分の負の感情を子供に見せないように、ある種の感性を麻痺させて進化したのだろう。でもシンデレラ城の裏が張りぼてであるように、子供たちが目にする優しい母親の裏には、ぞっとするようなマイナスの感情が渦巻いているはずだ。