読書の技法 [Kindle]

著者 :
  • 東洋経済新報社
3.74
  • (35)
  • (78)
  • (55)
  • (4)
  • (6)
本棚登録 : 582
感想 : 85
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・電子書籍 (238ページ)

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 速読には事前の知識ありきで可能な為知識を増やす為に読書をする。読書をしたら読書ノートをつけて知識として吸収していく。作者の最低毎日4時間の読書時間の確保はすごいなあと感じました

  • 著者・佐藤優氏は月に300冊から500冊の本を読むという。この桁違いの数に驚き以外の表現は見当たらない。単純計算で一日10冊以上、多い月には一日16~17冊を読むということになる。いったいどうすれば、そんな神がかり的なことを為しうるのか?

    佐藤氏は、熟読と速読(1冊30分程度で読む)と超速読(1冊を5分で読む)を使い分けるという。

    一方、本書の最後のほうで、著者自身の一般的な日のスケジュールを紹介していた。それは次の通りだ。

    5:00起床
    5:00 -5:30 入浴・朝食
    5:30-13:00 原稿執筆
    13:00-13:30 昼食
    13:30-19:00 読書・原稿執筆(途中約1時間散歩)
    19:00-21:00 食事と休憩
    21:00-24:00 原稿執筆とノートづくり・語学学習
    24:00-26:00 読書

    読書をしているのは、13:30-19:00のうち散歩を除いた4時間程度と24:00-26:00の2時間を合わせて6時間であり、例えば超速読×6冊=30分、速読×3冊=90分、熟読×1冊=4時間で合計10冊を6時間で読むというような想定は成り立つと思う。

    しかし著者は図書館の本は読まないらしい。自由自在に書き込みができないからだ。もちろんこの本への書き込みの仕方もまた著者の「読書の技法」の一部である。

    1月300冊=1日10冊は、仮に1冊のコストを1000円と想定しても、一日の予算は1万円となる。つまり月30万円である。この時点で庶民にはマネのしづらい技法ではある。

    そのうえ一日10冊の読書を実践して内容を理解するという頭脳面においても、一般的な読者にはハードルの高い内容であるかもしれない。

    はたまた作家とはこういうものなのかと思う。標準的な一日の中身が、読書か原稿執筆か語学の勉強である。食事時間に30分しかとらないあたり、食事を楽しむという考えは初めからなさそうだ。知のインプットとアウトプットの繰り返しの日々ということだ。こういう生活に耐えうるのか。

    著者は本書の中で、ギャンブルは絶対にしないと決めていると言っていた。また、失礼ながら見た目はスポーツが似合う風貌ではない。気分転換が小説やマンガを読むことであり、紹介されていたマンガの読み方さえ評論的であった。

    やはり「読むこと」「書くこと」「考えること」が著者の人生のほとんどの部分を占めているように思える。

    そしてまた一日の睡眠時間が3時間である。つまり1日21時間を「読むこと」「書くこと」「考えること」に費やしているのである。

    驚いたのは、ただ「早く読む」「たくさん読む」というのではなく、きちんとノートにとるために時間を確保し、理解を深め、記憶を定着させることにさらなる努力をしている点である。そういう手間暇を怠らずしての1日10冊であるのが、これまたすごいと感じる点である。

    様々な技法が述べられているなかで、常識を超える多読を現実のものとされていることのインパクトは非常に大きい。著者に特徴的な「速読」や「超速読」の技法があっての多読ではあるが、そういう「速読」や「超速読」は「熟読」の能力が備わっているということが前提であるという著者の言葉はもっとも印象に残った。

    また著者は、残された人生の時間を考慮すると、読める本の数が限られた数であるので、読む本を選ばなければならないというようなことも述べている。

    著者の何分の1しか読書に時間を割かない我々はさらにこれから読める量は限定的となるのであるから、著者の技法を活用しつつ、自分自身の読書を進めていきたいものである。

  • 元外交官の佐藤優が、文字通り読書の技法についてつづった一冊。

    新聞、雑誌、書籍と一通り書いてあり、彼のような多読は難しいものの、とても参考になった。

  • 月平均300冊、多い月は500冊以上、
    読書をするための、佐藤氏の超速読、
    普通の速読の方法が紹介されている。

    速読の目的は読まなくてよい本を
    はじき出すこと。

    (熟読)
    まず真ん中のくらいのページを読む。
    シャーペンで印をつけながら読む。
    重要な部分を囲んでノートに写す。
    結論部分を3回読み、再度通読する。

    (超速読(本の仕分け作業))
    序文の最初の1ページと目次を読み、
    5分でひたすらページをめくり、
    気になるところは印をつける。

    (普通の速読)
    重要部分を1ページ15秒で読む。
    残りは超速読。

    時間は大切なので速読は必要であり、
    読書の正しい道としてまず高校レベルの
    基礎知識を身に付ける。
    上級の応用知識をつけようと欲張らない。
    教科書と学習参考書で基礎知識をつける。

    <1日のスケジュール>
    5時起床26時就寝…
    原稿を執筆、読書に語学
    私には無理だ。

  • インテリジェンスとは何か。ということを、単に『知』だけではないと主張する佐藤優。『諜報』というものの持つ意味を日本は、あまり知らない。ジェームスボンドみたいな活躍を諜報と思いがちだが、もっと地味で、徹底した知識の体系を作り上げる中で、民族的問題やテロリズム、クーデターなどを理解することなのだろう。北のおぼっちゃまのパワーバランスは、トランプが表舞台を少し降りただけで、盛んに発揮されている。北のおぼっちゃまが、なぜ、元気なのか?腑に落ちる解説はない。まるで、オミクロン株に対するコロナ感染症の専門家の右往左往とよく似ている。
    さて、本書である。佐藤優は、1ヶ月に300冊読むという。1年ではないのだ。1日に10冊も読むって、どういうヤツだ。単なる速読では済まされない。
    「読むべき本を選ぶことであり、読まなくていい本をはじき出すことだ」という。
    結局、あるテーマがあったら、そのテーマに会う本をごそっと買う。そして、まずは超速読をして、熟読する本と普通に速読する本を分ける。この選別作業が重要だという。なるほど。やはり、完璧主義というか、全部読まないと気が済まない貧乏性とは違うわい。本棚を見てみると、数ページ読んで、そのまま本棚に飾ってあるのだから、その作業を自然とやっているのだね。
    ふーむ。なるほど、私は、関心のある本を、書評やブックレビューなどで選ぶが、その作業を佐藤優は自分でやってしまうのだ。300冊の中で、普通の速読が、50〜60冊。本当に熟読するのは、4〜5冊。熟読は、同じ本を3回読むという。まずは、2Bの芯のシャープペンシルで、線を引き読む。2回目には、ノートに重要箇所を書き写す。3回目に通読する。実に丁寧な熟読なのだ。確かに、しっかりした書評を書こうとしたら、それぐらいの努力はいるね。
    佐藤優は「基礎知識のない分野は速読できない」という。なるほど。
    知識をいかに「体系知」にするかが重要だ。その上で基礎知識は熟読でしか身につかないという。なるほど、この体系知を佐藤優がきちんと持っているのだろう。知識の切れっぱしを読み集めていては、体系知にはならないな。日本人の知的脆弱性はそこにあるかもしれない。情報を探す。情報を整理する。それは、体系知があって、より鮮明になるのだな。確かに、現在熟読しているピーターホール の『都市と文明』は、まさしく「体系知」に基づいた本である。それも、分厚い第3分冊まであるのだ。よほどの情報のインプットなくして、これだけのものをアウトプットできない。
    佐藤優はいう「気持ちを知り、整理するのも言葉、自分の思考や意志、思想を形づくるのも言葉、他者に伝えるのも言葉、読解力以上に表現力を高めることはできない」という。
    いいねぇ。あの佐藤優の目つきは、好きだなぁ。世界を看破する目だ。


  • ゆるい読み方だと取り込んだ知識は頭脳に定着せずあまり意味がないということについて、ただただ反省。これからは読書で得た知識をしっかりと自身の血肉とし定着させるにはシャーペンと付箋を有効活用しよう。
    私大文系出身者には数学では中学レベル以下が多い
    とのこと、まさに自分のことだ。本書で紹介された書で数学勉強してみようか。
    数学の習得にはは単に知識の詰め込みではなくテクネー(体で覚える)ことが必須であるということを忘れずに。
    最後にビジネスパーソンがねずみ男から学ぶべきところが多いという筆者の考えにはなるほどと思うと同時に笑えた。

  • 読書にどっぷりはまったころに読みました。
    このほかにも、読書の仕方、読書の方法、読書の意味など、こんなに本を読む時間に時間とお金を使うことが、無駄ではないのかと、考えたとき数冊そいうい本を読みました。どれもこれも、参考になったので、読むことが好きな方にはぜひたちどまって読まれるのも面白いかと思います。
    ほかそのとき読んだ本も本棚に入れました。
    そして、私なりの結論は、読みたいように読む笑
    そして、無駄な時間ではない!
    そして、今も悩むのはよんで共感して、身につけたいと思ってもなかなか身につかないこと。
    でも、本の全部じゃなくても、本当にここってところはふとしたときに、あんなこと書いてた本があったよなーくらいに思い出されたとき、読んでよかったと思うし、あまり、再読とかしないけど、新しい本が次々よみたいので、、、同じような物にであうこともあるし、それを感じられるのも少しは残ってるからと信じてます。

  • 読書の技法 2012

    書籍発行日 2012年8月9日
    電子版発行日 2012年9月1日
    著者 佐藤優

    本書は「週刊東洋経済」に2007年5月から連載中の「知の技法 出世の作法」のうちの読書に関する部分を大幅に加筆、編集した上で単行本にしたものです。

    佐藤優氏による本の読み方に関して述べた本。
    池上彰氏との各種対談本の中でもよく本の読み方については語っていて重複する内容もある。
    ものすごい処理量で常人には真似できない。
    ただ速読はあくまで読むべきでない本を弾くためのものだという指摘はやはりかと思う。
    書店でのざっと中身を確認してみる所作と似ている。



    印象の残った点

    モサドでも情報のための情報、分析のための分析が多すぎる。そういうことには意味がない。情報も分析も、国家と国民の生き残りのために使わないと意味がない

    読者にも、何人かでテーマを決めて、1週間に1回、書評の会合を行ってみることをすすめる。この場合、書評で取り扱う専門書を30~50冊にして、それらの本をすべて消化したところで、会合を終えることだ。恒常的な勉強会となると、組織維持にエネルギーを割かれる
    。これを避けるのだ。

    1流の詐欺師は、だました相手に「だまされた」という認識を持たせず、かえって感謝されるという。

    環境が変わると、効率も変わる。ただし、人にはそれぞれ場所の相性があるので、理想の読書環境は人によって異なる。

    大事なのは、自分にとっていちばん読書が捗る場所を見つけ、作ることである。

    2010年8月、箱根仙石原に新しい仕事場を作り、外交官時代にイギリス、ロシア、チェコで集めた外国語の本と、神学、哲学、文学関連の本や資料はこの仕事場に移動した。6万冊収納できるスペースがあるので、75歳まで仕事をするということであれば、雑誌までとっておこうと欲張らない限り、今ある本は全てそこに収まるはずである。

    (この辺は読書家だなと思う。一般人にはまず真似できない。2010年は電子書籍元年と言われた年で、まだAmazonKindleは日本に上陸していない。まあ、一般人はKindleなどの電子書籍をメインにして本や漫画、雑誌を保管するしかない。紙を中心に据えると誰もが立花隆氏のネコビルに行き着いてしまう。)

    同じ読書でも、細切れ時間に読むのに向く本と向かない本がある。これは本の難易度とは直接関係はない。

    以前読んだ本をもう一度読み直すことで(読書時間も1回目の時と比べて半分以下になる)新たな着想を得ることがある。
    ちなみに、2000年代以降に出た近代経済学の教科書は、1970年代の頃のものと比較して、数学のウェイトが低くなっている。大学レベルの教科書の内容にも学力低下が如実に反映されている。「わからない内容のものは売れない」という市場原理が貫徹していることがよくわかる。

    毎日、最低数十ページは外国語の本を読むようにしている。これは基礎運動のようなもので、外国語に全く触れない期間が1ヶ月くらいあると、語学力は急速に減退するからだ。

    外国語の書籍は、易しい順に法律書、経済書、歴史書、哲学書、小説となる。最も難しいのが詩だ。筆者の場合、辞書を引きながら小説を読むと時間がかかるし、意味がまったくとれない場合があるので、外国の小説は原則として邦訳で読むことにしている。そして、「どうしても原語で読みたい」という思いが募る小説は、邦訳を読んだ後、原語で読むようにしている。

    総合誌や論壇誌でも、夜書いた文章はよくわかる。
    感情が過剰になって、論理の崩れが多くなるからだ。

    相手に自分を強く印象づけるために、短い期間に(筆者の経験では1ヶ月以内)に3回会うのだ。そうすれば、相手の記憶にこちらの顔が残る。また、重要な人脈を維持するためには、相手と3週間以上の空白をあけてはいけない。

    ベストセラーはどんな作品であっても、その時代の雰囲気をつかんでいる。

    論理的能力は、社会科学や哲学によってつけることができる。これに対して、犠牲にされる人々の痛みを感じ取る能力は、具体的な人生体験だけでなく小説を読み、他者の心理を代理経験することによって育まれるのである。

    作家自身がどこまで意識しているかは別にして、読者に支持される作品には、何かしら時代を映し出す部分がある。漫画を否定し、いっさい手につけないというのは、漫画で勉強しようとするのと同じくらい間違った考えだ。

    もちろん司馬文学は素晴らしいので、大いに読むべきであろう。ただし、それは娯楽としてとわきまえなければならない。歴史小説は、どこまでが史実でどこからが脚色なのか、かなりの知識がないと判断できない。「日本人は司馬遼太郎で日本史を学んでいる」と言われることもあるが、それは極めて危険な状態である。
    (まあ、この指摘はその通りだ。司馬史観は明治を礼賛し昭和を暗黒のように認識しているけれども、明治もそこまで立派なものでもない。ただYou Tubeなどで陰謀論の塊のようなネトウヨ歴史観を持つくらいならずっと司馬史観のままでいた方がはるかにマシだなと最近は思う)

    異議申し立て運動や改革運動は、経済的に困窮した状況においては起きにくい。そのような状況では、各人が生活を維持するために精一杯で、政治に目を向ける余裕がなくなるからだ。また、これらの運動が実際に困窮している社会の底辺の人々から起きるということもない。
    だいたい革命運動やテロを伴う国家改造運動は、知的エリートが起こす。現在の体制で、恵まれた地位を得ていない知的エリートが、困窮している人々の立場を代行して行うということになる。

    世界恐慌を、日本は満州国建設という植民地支配の拡大によって乗り切ろうとした。

    10冊の本を読み飛ばして不正確な知識をなんとなく身につけるより、1冊の本を読み込み、正確な知識を身につけたほうが、将来的に応用が利く。

    出世する上で重要なのは、自分の生活習慣から他人に嫌われるような要因を少しでも除去することである。そのためには自分がやられて嫌なことを他者に対してしないということが基本だ。

    (翻訳書の良し悪し)
    真ん中くらいというのは、実はその本のいちばん弱い部分なのである。あえて、このいちばん弱い部分をつまみ読みすることで、その本の水準を知るのである。

    重要なことは、知識の断片ではなく、自分の中にある知識を用いて、現実の出来事を説明できるようになることだ。そうでなくては、本物の知識が身についたとは言えない。

    基礎学力をつける段階で客観的な自己評価ができないと、間違った読書法をしてしまう。大切なのは、自分の知識の欠損部分を知り、それを補うことだ。

    それから、最新学説を追う必要もない。最新学説が学界で市民権を得るのに10年くらいかかり、それが入門書に反映されるのにさらに10年くらいかかる。したがって、入門書で得られる知識は20年くらい前のものであるが、それはそれでいいと腹をくくることだ。

    速読の目的は、読まなくてもよい本を弾き出す事
    一生で読める本の数は限られている

    最大月10冊を読んだとしても1年間で120冊、30年で3600冊にすぎない。
    3600冊というと大きな数のように見えるが、中学校の図書室でもそれくらいの数の蔵書がある。人間が一生の間に読むことができる本の数はたいしてないのである。
    この熟読する本をいかに絞り込むかということが読書術の要諦なのである。

    基礎知識は熟読によってしか身につけることはできない。しかし、熟読できる本の数は限られている。そのため、熟読する本を絞り込む。時間を確保するための本の精査として、速読が必要になるのである。

    「何をしないか」「何を読まないか」も大切な技法のひとつ

    外国語がそれほど得意でないビジネスパーソンから「ロシアで仕事をすることになるので、どうやってロシア語を勉強したらよいでしょうか」と尋ねられると、筆者は「200時間くらい集中して、日本人の先生からロシア語文法をきちんと教わることと、1500語くらいの日常生活に必要な単語を丸暗記することをおすすめします。その知識があれば、生活に困ることはありません。仕事で必要なロシア語についてはよい通訳を雇うことをすすめます。機会費用を考えた場合、これからロシア語を勉強することはすすめません。それよりも高校レベルの英語を復習するほうが役に立ちます。ロシア人もビジネスに従事する人たちは英語を解します」と助言している。
    正しい方法論には、捨てる技法も含まれる。

    2023/06/19(月)記述

  • - 読書のやり方を考えて見ようと思うきっかけになった本。
    - ***
    - 熟読法の要諦は、同じ本を3回読むことである。/// 基本書は、最低3回読む。第1回目は線を引きながらの通読、第2回目はノートに重要箇所の抜き書き、そして最後に再度通読する。
    - [第一読は]本を読みながら、重要と思う部分の欄外に線を引き、わからない部分については「?」マークを記す。重要な部分かどうか迷ったら、とりあえず線を引く。/// 読了してみると、今度はどの部分が本当に大切であったかがわかるので、不要な線は消しゴムで消せばよい。
    - 第二読にかける期間は約 10 日間。/// この囲みの部分をノートに写す作業を行う。/// 囲んだ部分のすべてを書き写すには及ばない。定義、数字、固有名詞などに言及がある部分と、重要とは思うのだが自分で意味がよくわからない部分を書き写すのだ。 そして、欄外に「わからない」とか「○○の言説と対立」といったような書き込みをしておく。読者自身の評価をノートに記すことが記憶を定着させ、理解を深めるコツである。要は写本を作ることが目的ではなく、理解するために抜き書きをするという原点を忘れないこと
    - 第三読にかける期間は3~4日である。もう一度、通読するのであるが、まず目次の構成をよく頭にたたき込んだうえで、結論部を3回読む。/// 本の著者は、結論を言いたいがゆえに執筆活動を行っているのであり、ここに最大のエネルギーが注がれている。
    - 筆者は速読を「普通の速読」と「超速読」に分けている。/// 「超速読」は、前述の書籍を5分程度で読む技法で、試し読みと言ってもよい。  
    - この試し読みによって、書籍を次の4つの範疇(カテゴリー) に区分する。
    - 熟読する必要があるもの
    - 普通の速読の対象にして、読書ノートを作成するもの
    - 普通の速読の対象にするが、読書ノートを作成するには及ばないもの
    - 超速読にとどめるもの
    - まず序文の最初1ページと目次を読み、それ以外はひたすらページをめくる。/// このとき文字を読まない。とにかくページ全体を見るのだ。/// 原則として、時間がかかるので一行一行、線は引かない。/// しかし、何か気になる語句や箇所が出てきたら、後でわかるようにシャーペンで大きく丸で囲むなど印をつけ、そのうえでポストイットを貼る。/// ポストイットを貼るのが面倒ならば、本のページを折る。 /// そして、結論部のいちばん最後のページをよむ。
    - 超速読の目的は2つある。
    - ひとつは、前述したように、「この本が自分にとって有益かどうか」「時間をかけて読むに値する本かどうか」の仕分けである。///
    - 超速読のもうひとつの目的は、「この本はこの部分だけを読めばいい」「この箇所を重点的に読めばいい」という当たりをつけることである。///
    - 超速読では、シャーペンで印をつけポストイットを貼るなど、本を「汚く読む」ことが重要だ。
    - 普通の速読で最も重要になるのは、繰り返し述べているように基礎知識だが、その次に大切なのは、本の内容を100パーセント理解しようという「完璧主義」を捨てることだ。  「時間は有限であり希少財である」という大原則を忘れてはいけない。速読はあくまで熟読する本を精査するための手段にすぎず、熟読できる本の数が限られるからこそ必要となるものだ。速読が熟読よりも効果を挙げることは絶対にない。/// その意味では、「もう二度と読まない」という心構えでのぞむことが大切だとも言える。そうした気持ちで取り組まないと、必要な情報が目に飛び込んでこないし、頭にも残らない。いい加減な気持ちで何回も繰り返してしまうと、結局、熟読したのと同じだけの時間がかかってしまうことになる。  また速読をする場合には、必要とする情報についての明確な目的意識も必要だ。/// 内容を大雑把に理解・記憶し、「あの本のあの部分に、こういうことが書かれていた」「あの箇所に当たれば、あの情報が出てくる」という「インデックス」を頭の中に整理して作ることが最も重要になる。

  • 概要
    「正しい方法を身につけることが読書法の鍵となる。」「読書の要諦は、基礎知識をいかに身につけるか。」という著者の主張のもと、読書ノートの取り方、熟読、速読の技法、小説や漫画の読み方等、筆者の体験を交えつつ解説していく。

    メンタルマップ
    ・本の内容を理解するための準備が整っていないと感じているから
    ・読書人生を送っていくにあたり、本の内容を自分のものにしていきたいから
    ・読んだ内容を忘れない方法を知りたい
    ・今よりもっと多くの本を読む方法を知りたい
    ・アウトプットを充実させたい
    ・読んだ内容を忘れないようにし、今よりもっと多くの本を読み、アウトプットを充実させ、人生を豊かにしていきたい

    雑感
    ・速読の第一の目的は読まなくてもよい本をはじき出すこと
    ・知らない分野の本は「超速読」も「普通の速読」もできないというのは、速読法の大原則
    ・読書の要諦は、基礎知識をいかに身につけるか
    ・クレヨンしんちゃんの考察
    ・イスマイル・カダレ『死者の軍隊の将軍』と拉致問題解決に向けた環境整備
    ・村上春樹『1Q84』と沖縄米軍基地問題のアナロジー
    ・「学術」的な道+「心情」的な道=体系知
    ・第5章国語についての解説。哲学的で難しいことをあそこまで平易に解説してくれるとは。「文脈を読む」ということがとても大切。

全85件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1960年1月18日、東京都生まれ。1985年同志社大学大学院神学研究科修了 (神学修士)。1985年に外務省入省。英国、ロシアなどに勤務。2002年5月に鈴木宗男事件に連座し、2009年6月に執行猶予付き有罪確定。2013年6月に執行猶予期間を満了し、刑の言い渡しが効力を失った。『国家の罠―外務省のラスプーチンと呼ばれて―』(新潮社)、『自壊する帝国』(新潮社)、『交渉術』(文藝春秋)などの作品がある。

「2023年 『三人の女 二〇世紀の春 』 で使われていた紹介文から引用しています。」

佐藤優の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×