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感想・レビュー・書評
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トロッコに乗りレールを走る土工たちの姿。
そこにあるのは労働の世界だ。
8歳の良平は、風を切り走るトロッコに乗ることに憧れていた。
不安を抱きながらも進む。そんな感情を描く。
以下、ネタバレ有り。(備忘録)
ある日、若い労働者がトロッコを押しながら坂道を登るところに、良平も一緒に参加させてもらった。上り坂を越え、下りでトロッコに飛び乗り、また坂を越える。
気付けば遠くまで来てしまった。
大人はこれからまだ仕事が続くためそこに留まるが、良平は家に帰らなくてはならない。不安の中に踏み出して走った。
不安の中、暗くなる道を一人駆けた。
孤独で泣きそうになりながら。
大人になった良平は妻子を持ち、東京へ出て来た。
そして今でもトロッコの体験を思い出す。
形を変えながらも、不安への一歩は続いている。
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子供の頃に何かにワクワクしたりした事を思い出し、大人になってから泣きたくても泣けなくなっている事に気付かされた。
安心して気が抜けた瞬間にブワッと涙が襲ってくるあの感じ、子供の頃にあったなぁ… -
妻子と東京に出て雑誌社に勤める良平(26歳)は、暮れなずむ空を眺めるうちに、少年時代のほろ苦い思い出が沸々と甦ってくるのでした。良平が八つの年に、小田原熱海間での軽便鉄道の敷設工事がはじまりました。トロッコが線路を上り下りするのを見るうちに乗りたくなり、二つ年下の弟と隣の子の三人で村外れのトロッコ置場にあるトロッコを押しては、登り降りする面白さに有頂天になるのでした。「この野郎 勝手に触るんじゃない!」と叱られて逃げ帰った十日ほど後、良平が線路を眺めていると、若い土工の押すトロッコが近づいて来て・・・。
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オモコロの記事をみて、気になったので読んでみた。
みくのしんの影響もあってか、想像力が掻き立てられて楽しく読めた。心情や情景を感じることができる文章で読みやすかった。終わり方がなんだか苦しかった。 -
この「新聞紙に包んだ焼き菓子」ってのが気になるわー。石油の匂いが染み込んだお菓子私も食べてみたい。
お腹空いてきた。 -
昔、昭和50年代だが、田舎ではこういう大人との交流があったなあ、と思いながら読み返した。
おじさんやおばさんがおやつくれたり、機械に触らせてくれたり。いまなら、不審人物として、通報されるのかもしれない。
良平はいまは東京で働いている。時代が変わったこと、都会に住んでいることから、このような経験が身近でなくなったのかもしれない。それだけに、あの時あの場所での体験が強烈に蘇ってくるのだろう。 -
又吉直樹の読書体験の話題のなかに、この本を読んだときのことが書かれていたので、サブルーチン的に読んでみた。超短編。
短編ながら、ドラマを感じました。
青空文庫ありがたい。 -
みくのしんのせいで読みたくなって読んだ。
確かに表現力ヤバいし終わり方すごいな。
https://omocoro.jp/kiji/385809/ -
芥川龍之介の作品で初めて読んだ作品。ここまであることを好きになったということは尊敬するべきこと感じた
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少年はトロッコが大好きだった。ある日、そんな大好きなトロッコに乗ることができ、少年は喜び舞い上がっていた。
大好きなトロッコに乗ってどこまでも行ける…どこまでも行きたい、そんな胸躍りわくわくとした冒険心。
だけれどもちろんそんな事ができるはずもなく、どこなのかさえ分からないほど遠くに行き、優しいと思っていた大人はそこで泊まるから一人で帰るようにと言われ、突然一人ぼっちにさせられた時のなんとも言えない悲しさは、幼かった頃ふと急に一人でいることへ不安を覚えた、あの時の感覚を思い出しました。