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感想・レビュー・書評
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南極大陸横断を目指している植村直己さんの、トレーニングのためのグリーンランドでの1年間を描いたノンフィクション。
デンマーク領グリーンランドは、大西洋と北極海のあいだに浮ぶ世界最大の島で、その面積は日本の六倍もある。夏でも気温はマイナス十度、島のほとんどが北極圏という極寒の地だ。
この島の北端のエスキモー部落にやってきたのは、南極大陸横断という夢の計画の可能性を確かめるためであった。 五大陸最高峰の単独登山を目標にしていた植村さんは南極横断の夢にとりつかれたのである。
『日本列島徒歩縦断三千キロをおこなったのも、南極横断距離の三千キロを、実際にこの足で確かめてみたいと思ったからである。南極の偵察行もやった。そしていま私は横断に必要な技術と、南極がもつ極地特有のきびしい気候に身体を順化させる能力さえつけば、この計画は不可能ではないと確信している。 私がグリーンランド最北の部落シオラパルクでの生活を計画したのも、きびしい極地気候への順化能力と、犬橇技術の会得を考えたからである。 こう言えば、中には「犬橇の訓練ならば冬の北海道でもカラフト犬をあつめてできるではないか」という人がいるかもしれない。しかし、北海道では、犬橇は生活に必要な交通機関としては使われていない。カラフト犬がいかに犬橇犬としての能力を持っていたとしても、家の中で主人に頭をなでられ、ペットとして飼われている犬では、イザというときに役にはたたない。子犬のときから空腹に目を血ばしらせ、ムチ打たれながら橇をひいたことのない犬では、真の犬橇技術の習得は望めない。それには極地に住むエスキモー部落にはいり、彼等といっしょに生活しながら学ぶのが、一番良い方法に思えた。それから私の候補地探しがはじまった。』
これくらい引用が長くなるくらい、なんでやるの?と人々から言われ、エスキモーにも理解はしてもらえないが、持ち前の笑顔と謙虚さと図々しさでエスキモーの中に溶け込み、生のアザラシの肉を食べ、悪戦苦闘しながら犬橇を操るのだ。本書ではトレーニングの1年間を描いているので、南極横断については描かれていません。
あとがきにあるが、現在では、氷が溶けてしまっており、植村さんが通ったルートは橇で移動出来ないらしい。気候変動や温暖化、エスキモーたちの生活についての貴重な記録であると言えるだろう。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
とても魅力的な人生を歩まれて羨ましいと思うと共に、ここまではできないなと身の程を知らされました。
とにかく凄まじい生き方。。
計画は綿密なのですが、実際にやっていることは想像を超えることばかりで、そのバランス感覚が冒険家としての才能なのでしょうね。
私の嗜好にはピッタリはまったので他の本も読んでみたいと思いましたね。 -
池袋の梟書茶房にて購入