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感想・レビュー・書評
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1984年の直木賞受賞作品。終戦直後の市井の描写に先ず引き込まれて、一気に読み終えた。
必要以上に文芸賞を崇めたてる必要はないと思うが、自分のような乱読者にとって直木賞受賞作品は、作品にある程度のクオリティが担保されているという点で大きな安心に繋がっている。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
大阪学検定をきっかけに読み始める。
大阪西成区にあった芸人たちの住んでいた地域を舞台に描かれた小説。
てんのじ村の顕彰碑は見たことが何度もあったが、本当にそこに住んでいる人が目の前にいるようなそんな小説だった。直木賞をとったのもうなずける。
夢のようなサクセスストーリーでもなければ、華麗な芸能世界の話でもない。最初から最後まで懸命に不器用に芸に生きる人間の話だ。生きる為に芸をするけれど、芸を極めることが素のまま生きる事の延長線上にある、辛すぎるようなこともあるのに、さりげなく人と人同士で寄り添いあって、笑いに変えて乗り越えていく、そんな強い姿に惹かれて一気に最後まで読んでしまう。
難波利三と言う名前はもちろん知っていたけれど、小説を読んだのは初めてだった。退屈かもと勝手に思っていたのだけれど、読んではじめてわかる。凄い人だ。
ちなみに解説は黒岩重吾が書いている。私からすると森鴎外の物あとがきを夏目漱石、というようなもので、軽く嬉しい悲鳴をあげそうになった。
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