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感想・レビュー・書評
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教科書で「汚れちまつた悲しみに…」を触れたことがあるので全部読もうと思ってみたのですが、全くと言っていいほど情緒を理解できず、何もわからなかった。
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何かで「汚れつちまつた悲しみに……」にだけ触れたことがあった。詩集として読むのはこれが初めて。
とっかかりとして青空文庫の存在が本当にありがたい。中身を読むのに充分としても、相当に気に入ったもの、よさげな装丁の本が出ているものには手が出ちゃう。これもそのうち紙の本で欲しい。
歌われているのは私だと、(あつかましくも)時折どうしようもなく感じて驚かされた。共感でありつつ、それ以前には一種の啓示を得たような感触がある。初めてその詩に出逢った時のその生々しい衝撃を一度きりで終えたくなくて、いっそ読むたびに、詩の内容もろとも積極的に忘れたいくらい。
孤高と郷愁、歓びと哀しみ、美と醜のように、一見相反するものがよく互いの影のように連れ添っているように思われて、たぶんそこにまず惹かれる。シニカルなのか悲観なのか、はっきりとはわからないながら、詩人の眼差しが想像されるのについドキドキしてしまった。
何より自分の内面を歌う詩に胸を抉られる思いがする。時々見える「懈怠」や「怠惰」が痛い。この願いと葛藤、どうしようもない感じを知っている、そう感じる。
「サーカス」「帰郷」「盲目の秋」「木陰」「汚れつちまつた悲しみに……」「無題」(こひ人よ、おまへがやさしくしてくれるのに、)「修羅街輓歌 関口隆克に」「羊の歌 安原喜弘に」「憔悴」「いのちの声」が好き。 -
たびたび描かれる夜の表現が好きです。夜を出発点とし様々なイメージを巡回する詩に、自分自身の眠れない夜を思い出しました。