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感想・レビュー・書評
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「平家印」のロマンチック
平家の御曹司、平重盛に仕えた斉藤時頼は、身の丈六尺、その武勇を以って知られた美丈夫。その時頼が西八条殿の平清盛の催す宴で、あでやかで美しい舞姿をみせた横笛に一目惚れする。恋焦がれたはてに横笛を貰い受けようとした時頼であったが、身分違いの恋はその父の怒りをかい、世を儚んだ時頼は出家してしまう。横笛は自分のために全てを捨てた時頼を、独り嵯峨野の庵に追ってくるのだが…。
平家物語の斉藤時頼から想を得た高山樗牛が書いた最初にして最後の小説だそうです。23歳で失恋して早々に世捨て人となった時頼の恋の顛末が、開けてびっくり、原典顔負けの美文体でとうとうと語られています。時頼と横笛の恋の顛末というメロディーが平家滅亡の悲哀というリズムに載せて奏でられている。そう、奏でられているという表現がぴったりのこれは滅びの音曲なのです。
…という感じで終われば書評としては何やらかっこもつくのかもしれないけれど、
なんだかなあ・・・。
確かに美男美女の悲恋物語です。
「身分違いの恋」「三角関係」「美女の早逝」とロマンチックのてんこ盛りなのだが、パッケージに「平家印」と付いただけでなんだかなよなよどよーんとしてしまうのは私の偏見と思いたいが。平家絡みの作品というのは、どんなエピソードも最終的に滅亡、転じて無常頼みの悲哀というところが鼻につくと言えば鼻につく。
そもそも恋に破れたくらいで何故武士たるを捨てる?時頼。妻子恋しさにわずかに一人の供をつれて戦の最前線をとっとと退いてきた平家の大将維盛然り。水鳥の羽音に驚いて戦場を逃げ出したやつらばかりの所為ではないよね。平家は負けるべくして負けたと思うよ。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
いいですよこれ。