法窓夜話 [Kindle]

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  • 2012年10月1日発売
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感想・レビュー・書評

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  • 昔の法律家は、学習意欲が盛んでその結果今の日本ができたのがおぼろげながら分かった。思えば自分は無駄な時間を送ってきたなと思う。
    〇たとえ殆ど起こり得べからざる事柄でも、事の極めて重大なるものは、その規定を設けておかなければならぬということは、大津事件および幸徳事件の発生によって明らかである。
    〇法の威力の真の根拠は、その社会的価値である。
    〇立法はすべからく堂々たるべし。
    〇番所にて「たばこ」を吞むことを固く禁じた。
    〇博士は、古は「ハカセ」と訓じたものであるが、現今では「ハクシ」と訓ずることに定まっている。
    〇相対主義者は、刑罰は社会の目的のために存しているという。なるほどそれには違いないが、その目的のなかには、直接被告人たる個人、およびその家人、親戚並びに間接被害者たる公衆の心的満足というものおも含んでいることを忘れているのは、確かに彼らの欠点である。
    〇遊女のことを「サンチャ」と称していたから、屋根船は旧くは「サンチャ船」というたそうである。
    〇刑事訴訟の起訴者が現今は国家であるが、往昔にあっては私人であった。
    〇ドイツの民族法などを始めとし、概して原始法は因果法の体裁をなしている。
    〇兵に依って創業し、法に依って守成するものは、その国必ず永く栄える。
    〇法は国民意識の表現であるという位であるから、一国の法を他国に継受することは、決して容易なことではなく、多くの心労と、多くの歳月とをもって漸くその民情に適し、その時要に応ずるだけを継受することが出来るものである。
    〇人を責めんと欲せば自ら正しからざるべからず。
    〇世人書を買わずして名を買う者の多きことよ。
    〇地位と収入とは必ずしも相伴わない。「俸給の額は、勤労の価値によって決せられずして、地位職掌に必要なる費用によって決定せらるる傾向がある。裁判官の受くるところが、その弁護士時代の収入の三分の一または四分の一に過ぎないことがあるのは、この理由に基づくのである。」
    〇立法家の須らく留意すべき点ではないか。杓子定規、琴柱に膠する(融通の利かぬことのたとえ)の類は、手腕ある法律家の事ではない。
    〇諺は長い経験から生じた短い言葉で、言わば「民智の粋」である。故に片言隻句の中にも深遠なる真理を含んでいるものが少なくない。

  • 7年程前に某民事訴訟のT先生に薦められていつか読もうと思っていたらキンドルでタダで読めるなんて良い世の中になったものだ。比較法や立法経緯に興味がある人は楽しく読めると思う。1章が短いので、細切れ時間にも読める。福沢諭吉の偉大さも感じることができるので、塾員にもお勧め。

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