苦役列車(通常版) [DVD]

監督 : 山下敦弘 
出演 : 森山未來/高良健吾/前田敦子 
  • キングレコード
3.05
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  • Amazon.co.jp ・映画
  • / ISBN・EAN: 4988003816346

感想・レビュー・書評

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  • 1986年。日雇い労働生活を送る19歳の青年、北町貫多(森山未來)。稼いだお金もお酒に消えて家賃滞納の日々。
    そんなある日、職場で新入りの専門学生、日下部正二(高良健吾)と知り合い意気投合、初めて他人と友達らしい付き合いをするようになる。
    やがて貫多は日下部に協力してもらい、秘かに想いを寄せる古本屋の女性、桜井康子(前田敦子)とも友達になることに成功、思いがけず人並みの青春を謳歌し始めるのだったが…。
    私小説作家・西村賢太の第144回芥川賞受賞作を、森山未來主演、山下敦弘監督で映画化した青春ドラマ。
    社会の底辺に生きる不器用な青年の恋と友情を巡る屈折した青春模様を赤裸々かつほろ苦いタッチで綴る。
    共演は高良健吾、前田敦子。
    皮肉屋でコンプレックスまみれでやさぐれた貫太を森山未來がナチュラルにユーモラスに演じ、堅物で友情にあつい貫太の親友を高良健吾が自然な演技で演じ、先が見えない日雇い生活の中で同世代の親友や異性の友達と不器用に絆を育てながら、孤独を埋めていく過程を、緻密な日常描写を積み重ねる中でリアルに描いていて、新しいテイストの青春映画の傑作として、楽しめました。
    特に、終盤の貫太が親友や仕事をなくして初めて真剣に原稿用紙に向き合って小説家になろうと決意する展開は、心が熱くなりました。

  • 原作者が徹底的に酷評する本作。とてつもない駄作であると興味津々で視聴したが。まったくの期待ハズレ。上出来である。感情のコントロールができない主人公。口を開くたびに人生の闇が広がっていく。進むべき線路の選択はなくなり狭まっていく。哀れと悲しみが重くのしかかってくる。文机に向かう後ろ姿に光は差さない。むしろ逆走するパンツの黄ばんだ染みに現実を見た。苦役列車の線路は果てしなくどこまでも続く。のどかで能天気なメロディーがペーソスを際立たせる。
    前田敦子は全然嫌いだったのに、印象は180度変わった。嫌い好きで言えば断然好き寄りになってしまった。落ち込みが深ければ深いほど自分の反発力は高まる。原作にも通ずる元気と勇気をもらえた。

  • この閉塞感と仕方ない感がたまらない。

  • やっと見た。
    森山未來も高良健吾も前田敦子も良かった。
    話もなかなか面白かった。
    森山未來の愛すべき馬鹿っぷりが本当に素敵でした。

  • ダメ人間を描かせたら、今の邦画界で右に出る者のいない山下監督。
    主人公、貫多のダメっぷりと言ったら。。。いやはや。
    周りにいたら、絶対に友達になりたくないな(笑)。
    そんなダメ人間を見事に演じきった森山未來が素晴らしい。
    前田敦子も最初、キャスティングを聞いたときは「え!?」と驚いたけど、なかなかどうして、違和感なく山下作品に溶け込んでましたね。

    ラスト、パンツ一丁でがむしゃらにペンを走らせる貫多の背中に熱いものを感じて、山下監督作品にしては珍しく、感動しちゃったりなんかしました。

    (2012年 日本)

  • 小説を読んでたことを思い出して観てみたくなった。
    貫太の役作りが見事で森山は役者だなぁ・・・と思った。
    小説を読んでイメージした絵にも近いものを感じた。
    かなりドープな内容な中にも若干の青春っぽさが混ざっていたが、小説はもっとただひたすらドープで暗かった印象だった。

  • 西村賢太原作の映画化。作者の私小説のような作品。
    小5のときに父親が性犯罪を犯し一家離散した主人公は、19歳になった今、日雇い労働で食い繋いでいる。人を信用せず、信用する方法や信用される方法も分かっていない。人生の転換期はどう訪れるのか。
    森山未來すごい。
    西村賢太、報われて良かったねえええって思える。

  •  映画版『苦役列車』がAmazonプライムビデオに入っていたので、観てみた。
     西村賢太の芥川賞受賞作を、 山下敦弘監督で映画化したもの。

     この映画版については、原作者の西村がエッセイなどいろんなところで酷評していた。観てみると、西村が気に入らない理由もよくわかった。

     この映画の半分くらいは原作の忠実な映像化といってよいものだが、残り半分はフツーの青春映画になっている。
     たとえば、前田敦子演ずるマドンナ役(古本屋の店番)は原作にないキャラクターだが、そもそも西村賢太の原作は、マドンナ的存在など入る余地もない、侘びしくもおかしい荒涼たる青春小説であり、そこがよいのだ。

     しかも、脚本のいまおかしんじの持ち味なのか、ところどころで妙にシュールな展開になり、そこが全体から浮いてしまっている。要するに、ディテールはともかく、全体としては原作とは別物なのだ。

     だが、それはそれとして、一編の青春映画として虚心に観れば、西村が言うほどひどい映画ではないと思った。
     北町貫多役の森山未來は、現在の西村賢太とは似ても似つかないが、本作を観ていると、「若いころの賢太はこんな感じだったかも」という気になってくる。体当たりの熱演はなかなかのものだ。

     西村賢太作品ではおなじみの鶯谷の居酒屋「信濃路」が何度か出てきたり、横溝正史の古本がストーリー上重要な役割を果たしたりと、賢太ファンにしかわからないくすぐりも楽しい。

  • 森山未來演じる主人公・北町貫多が、本当にクズで、ゲスで、カスな、どうしようもないやつなのだけど、そこまで突き抜けてクソ野郎だと思わせる森山の演技は賞賛に値すると思った。

    逆に言うと、高良健吾は、九州の上京してきたばかりのはずなのに、全然訛ってないし、なんていうか温室育ちのお坊ちゃんみたいな感じで、最初はそれに違和感があって集中できなかった。

    バブルが到来していたのか、それともその前夜だったのかわからないが、そうした時代にあっても、社会の底辺を生きる人間の生活というのはあった。北町のどうしようもない態度に感情移入する人は多くないかもしれないが、一般的とされる幸福にはありつけない中卒の野良文学青年が、そのルサンチマンを込めて、社会を睥睨し、罵倒する姿(「このコネクレイジーめ!」)には、どこか胸のすく気持ちがするものもあるだろう。

    現在、社会学者として活躍する本田由紀が、朝日歌壇賞の入選作として1989年に詠んだという、「炸裂する TOKIOの隅の六畳で 我は静かに狂いはじめる 」という短歌を思い出した。

  • 小説に出てきたような難解な言葉は一切なくストーリーは進んでいく。

    そうなった途端に深みのない薄っぺらな人生に見えてくる。

    本当は本を読み漁り、言葉を調べ、文学を研究していたはずなのに…そこは省かれて怠惰な生活を切り取った映画。

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