約束の日　安倍晋三試論 [Kindle]

著者 : 小川榮太郎

• 幻冬舎 (2012年9月3日発売)

感想・レビュー・書評

[toshi1231さんの感想 · 2013年2月13日]

お坊ちゃまで途中で政権を投げ出した弱い人。本書を読む前まで、私もかなりそのように思っていました。反省。

本書では、第一次安倍内閣は実は極めて本質的な問題提起とその解決に向けた具体的な成果をあげていたことや、特に憲法改正や公務員改革、教育改革において、既得利権者から空前絶後のバッシングと、それに呼応するマスコミから大衆への反安倍の凄まじい扇動がなされたことを時系列にそいながら生々しく紹介しています。

振り返ってみると、安倍さんの言っていた、「美しい日本」や改革については、特に反論すべきものはなかったのだけど、何となく絵空事のように感じさせられていた自分がいたことは事実。それがすべてマスコミの扇動によるものとは思いたくはないけれど、冷静に事象を見つめられてはいなかったとは認めざるをえない。

本書のスタンスは安倍さん賛歌一色で、この本が民主党政権末期に出されたことには少し政治的な香りもしないではない。でも、少なくとも、安倍さんが前記のような、お坊ちゃまで途中で政権を投げ出した弱い人ではないということは納得です。松陰と三島が出てくる終盤の話も興味深い。とにかく面白い一冊でした。

著者プロフィール

文藝評論家。一般社団法人日本平和学研究所理事長。昭和42年生まれ。大阪大学文学部卒業、埼玉大学大学院修了。専攻は音楽美学。論壇を代表するオピニオンリーダーの一人としてフジサンケイグループ主催第十八回正論新風賞受賞。アパグループ第一回日本再興大賞特別賞受賞。専門の音楽をテーマとした著作は本作が初となる。
著書に『約束の日　安倍晋三試論』『小林秀雄の後の二十一章』『戦争の昭和史』『平成記』ほか多数。

「2019年 『フルトヴェングラーとカラヤン　クラシック音楽に未来はあるのか』 で使われていた紹介文から引用しています。」