風流夢譚 [Kindle]

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  • 志木電子書籍
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感想・レビュー・書評

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  • この作品の裏側に思想を持ち出すのはナンセンスじゃないかな。物語の内容としてはショッキングかも知れないけど、事件のきっかけとなった場面よりも夢の中の不条理さが面白いんじゃないのかな。

    でもまあ、こういうのを躊躇なく書けちゃうのが、深沢七郎らしい。

  • 好きか嫌いかで言うとこの短編小説は全然好きではない。文学作品として優れているとも思わない。
    けれど、言論の自由は何より大切な権利で、暴力によって委縮させられるのは全く間違っているので星を五つつけておく。

    主人公と皇后?の対話のシーンは、どこかの国の革命に関する小説か戯曲で似たようなシーンがあった気がして、その質の悪いパロディではないかと思ったけれど、肝心の元ネタを思い出せない。
    革命時に宮殿へ乗り込んだ労働者階級の主人公が、玉座の前で皇帝と対話するシーンのある小説または戯曲…縁があればそのうちに見つかるわね。

    戦時中を生きた人が、皇室の人間なんて殺してやればいいんだと思うのは、関心できることではなくても素朴な庶民感情として理解できる。
    宮内庁はこの作品に対して民事訴訟を検討したそうだけど、その動きも言論の自由の侵害だ。宮内庁がそんな動きをしなければ、死傷者までは出なかったんじゃないか。

  • む、むずかしかった…というか面白さがわからn… 文体が古いこともありますが、時代背景なんかを知らないからかもしれません。 最初の方に出てきた、“壊れた奇妙な腕時計”は何だったの?物語全体にどう影響してたの!? うーむ…

  • こんなちょろっとした作品なのに人が刺されるほどの大バトルが起きている、というのは興味深い。実際に読んでみるとわかるが、文体は読みやすくするっと読める。友人が、深沢七郎はバンドマンから作家になった人だったと言っていたが、やはりその点もよく理解できるパンクさがある。

  • 昭和天皇の治世、1945(昭和20)年8月15日をめぐる諷刺。降伏をしていのちをたすけてやったのは天皇のおかげだぞという皇太后に対し、終戦になって命が助かったのは降伏するようにと周りの人が騙すように天皇に説いたからだという応答が秀逸。

  • 発禁本。現在、電子書籍では読める。
    重い内容かと思っていたが、コミカルに読めた。夢という手法を使って、天皇制、経済や身分の不平等を批判している。
    後書きに水平社が書いてあって、なるほどと思った。

  •  
    ── 深沢 七郎《風流夢譚/ 20121013 志木電子書籍》
    http://booklog.jp/users/awalibrary/archives/1/B009SXCRSS
     
    (20160412)
     

  •  1960年にこれを掲載した中央公論社の社長宅に、翌1月に右翼青年が押し入り、ちょうど在宅していた家政婦が刺殺され、夫人も重傷を負ったといういわくつきの小説。作者の深沢七郎は復刻を拒否したが、死後、遺族の了解を得て電子書籍として出版されたもの。
     すべて主人公の夢の中っていう設定。東京で革命が起こって天皇、皇后、皇太子、皇太子妃が全部首をはねられる。で、主人公が最後に残った皇太后(もう死んでるはずなのに)と罵りあって取っ組み合う。好意的に見れば幻想的なのかも知れないが、4人を殺す意味がわからない。これに一番似てるのはつげ義春の「ねじ式」だと思うんだけど、「ねじ式」は漫画なので、その「気味悪さ」が作者によってコントロールされている。「風流夢譚」は読む人によって印象が違ってくるわけで、僕にはグロかった。皇太后とのやりとりも「糞ったれ婆あ」と「糞ッ小僧」の連続で、僕には必然性が理解できなかった。「皇族を殺す」っていうセンセーショナリズムに頼った駄作と言ってもいいと思う。
     ただし、僕はもともと夢野久作とかの幻想文学っていうのはあまり受け入れない方なので、「風流夢譚」も「作者の意図を理解できなかった」という可能性はあるかも。それと、60年安保でガタガタしてた当時の日本の「空気」と今の空気じゃ全く違うし。でも、優れた文芸作品って時空を超えるものだよねえ。
     で、ググったら、ネットで読めるって書いてあった。お金損したなw。 ttp://azure2004.sakura.ne.jp/s_hukazawa/huryumutan.htm 評価する人もいるので、そこまでの駄作じゃないのかも。短いので、興味のある方はどうぞ。

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著者プロフィール

大正三年(一九一四)、山梨県に生まれる。旧制日川中学校を卒業。中学生のころからギターに熱中、のちにリサイタルをしばしば開いた。昭和三十一年、「楢山節考」で第一回中央公論新人賞を受賞。『中央公論』三十五年十二月号に発表した「風流夢譚」により翌年二月、事件が起こり、以後、放浪生活に入った。四十年、埼玉県にラブミー農場を、四十六年、東京下町に今川焼屋を、五十一年には団子屋を開業して話題となる。五十六年『みちのくの人形たち』により谷崎潤一郎賞を受賞。他に『笛吹川』『甲州子守唄』『庶民烈伝』など著書多数。六十二年(一九八七)八月没。

「2018年 『書かなければよかったのに日記』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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