横道世之介 (文春文庫) [Kindle]

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  • 文藝春秋
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感想・レビュー・書評

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  • 途中でネットの情報を見てしまいネタバレしたんだけど、それでも面白さは変わらなかった。
    読むことによって、世之介という人間を知ることによって人生を得したような、ちょっと誇らしくなれるような。っていうのは、世之介の友達のセリフだったか。

    世之介のキャラクターによってほっこりさせられつつ、所々挟み込まれる死の影であったり、遠い世界の厳しい現実だったりが本当に巧みに織り込まれていて、突然感情を揺さぶられる。

    昔起こった実際の事件が題材・モチーフとなっていて、自分も覚えていた。

    もう一度時間が経ってから読みたい。続編があるということで読んでみたいが。とても好きな作品なので世界観が崩れないかが心配。

  • 再読。とっても好きな本。
    とっても面白いのだけど、最後は泣いてしまうの。

    加藤の言葉がとても印象的。

    世之介と出会った人生と出会わなかった人生で何かが変わるだろうかと、ふと思う。多分何も変わりはしない。ただ、青春時代に世之介と出会わなかった人がこの世の中には大勢いるのかと思うと、なぜか自分がとても得をしたような気持ちになってくる。

  • 普通に楽しめる作品。

    世之介の大学1年からの1年間を中心として描きつつ、世之介が関わって来た人たちの回想を交えて書かれている。

    世之介という人間の性格がヒシヒシと伝わり、自分らしさとは何か?と悩んでいた自分にはグサリと刺さった。

    読みやすく、4時間くらいあれば読み終わる。

    村上春樹ほど深さのある作品ではないけれど、読みやすさやなじみやすさでは村上春樹を上回る。

    ==追記==
    自分も他の誰かの人生の一部になっているわけで、入学式の時、サークルの時、デートの時などの過去の経験がフト蘇って、『あの人どうしてるかな…?』と感じることがある。

    自分が思うということは、他の人も思うわけで、そんな風に少なくとも、濃淡があるにせよ、人の人生に関わっているのだ。

    小説の中でも、世之介が死んだ時のシーンに描かれたのは数人だけだった。ページの兼ね合いもあったのかもしれないけれど、現実世界でもそんなもんだ。

    濃い時間を過ごした人しか思い出せないとは当然の事だ。

    この小説には、そういう人間関係の深さと儚さが描かれていて妙に気持ちが良い。

    自分も過去の女に振られた時、自分の事を覚えていてくれない、もしくはさっと忘れてしまう本人やその家族に嫌気がさした。

    でも、そんなもんだよねって受け入れたし、実際この小説でもそうだった。

    人間関係については皆んなに愛されようなんて考えるだけ無駄で、本当に大切な人達に愛される事の方が大事なのだと思う。

    月日が経っても、たとえ会わなくなっても、ヒョンとした事で思い出してくれる人達には感謝せずにはいられない。

    そういう事を感じたからこそ、この小説を書いたのでないか?と思った。

  • 読み出したら不思議と止まらない。こんな話を読むと学生時代に戻りたくなってしまう。

  • 2回目。やっぱ面白い。はじめ入学式の遅刻の場面だけはっきり覚えてた。性格、雰囲気が好きやなぁ。

  • ポリシーに反して映画を先に観ちゃったんだけど、原作読んでみたら、映画のつくりがかなり原作に忠実だったんでビックリした。
    そして映画のあの高良世之介のヘラヘラ顔をおもいだしてにやにやしながら読んだ。

    原作読んでみても、映画も良かったなーと改めておもえる作品。

  • Kindleで最初の読了本。
    一家に一台、いや友達に一人はいて欲しい世之介。

    けして親友のレベルではないんだけど、思い返すとぼんやりとなんとなく大したこと無いエピソードで思い出し笑いがこみ上げてくるそんな世之介の1年間。
    日常を切り取った12ヶ月分の大したことのないエピソードが心を和ませてくれます。

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著者プロフィール

1968年長崎県生まれ。法政大学経営学部卒業。1997年『最後の息子』で「文學界新人賞」を受賞し、デビュー。2002年『パーク・ライフ』で「芥川賞」を受賞。07年『悪人』で「毎日出版文化賞」、10年『横道世之介』で「柴田錬三郎」、19年『国宝』で「芸術選奨文部科学大臣賞」「中央公論文芸賞」を受賞する。その他著書に、『パレード』『悪人』『さよなら渓谷』『路』『怒り』『森は知っている』『太陽は動かない』『湖の女たち』等がある。

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