- Amazon.co.jp ・電子書籍 (368ページ)
感想・レビュー・書評
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ぼくはあまり頭はよくなかったけれども、小さいころからマイペースだった。だからこの作品中の小学四年生〈ぼく〉には少なからず共感をした。
ぼくの妹は最近になって「◯ちゃんはいつも気がついたら何処かへんな処に行ってしまって落ち着きがなかった」とのたまった。だから「◯ちゃんは隠れアスペルガーよ」と言った。そうじゃない。ぼくは「世界的な発見」をしている最中だったんだ。
ぼくはある日、人はみんな死ぬ、ってことに気がついた。隣のヒゲのおっちゃんがある日死んで小さな葬式があったので気がついたのである。ちょうど〈ぼく〉のように、そのことに気が付いたのは小学四年生の頃だったと思う。
〈ぼく〉のように、ノートに詳しくつけて「研究」することはしなかった。毎日うじうじ悩み、時々こわくなった。
〈ぼく〉は普通に突き詰めれば世界的な発見(不思議な異次元的な裂け目のこと)をたんたんと「研究」する。あたりまえかもしんない。その頃は「世界的な発見」はそこらかしこにあった。
〈ペンギン・ハイウェイ〉も〈世界の果ては折りたたまれて、世界の内側にもぐりこんでいる〉ってことも、〈お姉さんの顔がなぜ完璧に出来ているのか、なぜお姉さんのおっぱいが気になって仕方ないのか〉も、全て「世界的な発見」だ。きっとそうだ。ぼくもほんとうは「発見」していたのかもしれない。でも〈ぼく〉のように素早くノートにとる技術を持たなかったから、もう忘れているのかも。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
Kindleで読了。
登場人物の描写が丁寧で引き込まれてしまう森見登さんの作品。
"大人"になる日を夢見て、日々研究に励むアオヤマ少年。この少年の周りでは、想像だにしない出来事が起きる。1つずつ仮説を立て、その謎に立ち向かう少年。やがて研究仲間が増え、点と点が繋がり、線となって解決への糸口も見えてくる。
甘酸っぱく、焦ったい恋物語でもあり、ファンタジーでもあり、また何とも憎めないキャラクターたちに魅了されてしまうお話。 -
小学4年のアオヤマくん、好奇心旺盛でこの世界の不思議について研究することに興味津々。
歯科医院のお姉さんのおっぱいについても気になる年頃w
主人公と同じ年の頃、私は友達とまっすぐ行ったら何処まで行けるかって遊びしました。実際はまっすぐ行けない所もあるのでその時は右折して次の交差点を左折して気持ちまっすぐっなんですが。学区を越えたあたりからドキドキしながら歩いてこれ以上は帰れなくなるところまでが世界の果てとゆうことで満足してたんです。
大人になって検証してみたら自宅から5kmも離れてなかったけど小4の自分には大冒険だったなあって・・
アオヤマくんたちはもっとすごい。データとりながらグラフ書いたり仮説を立てながら謎に挑んでいる。
ペンギンが出てきてSFファンタジーな世界になってくるけど不思議な世界にハマってしまいました。・
「怒りそうになったら、おっぱいのことを考えるといいよ。そうすると心がたいへん平和になるんだ。」ってとこが各心部かな、小4の頃の私は異性に興味なかったんだけど、
死後の世界について考えると怖くなったりはあったなぁ。
少年よ大志を抱けって感じでした。 -
どんな内容かまったく知らないまま、手に取った作品。タイトルからもどんな内容かまったく想像できませんでした笑
10歳のちょっと頭が良くて、研究とおっぱいが好きな男の子の一人語りで進行する物語です。
おっぱい好きに共感して、瞬く間に読んでしまいました(//∇//)
内容はSFというかファンタジーというか現実にはありえないんだけど、ずっと透明感のある世界を漂っている心地よさがありました。
オススメです♪ -
「この謎を解いてごらん。どうだ。君にはできるか」
小4の僕は研究する。
街ゆくペンギンを、
いじめっ子帝国を、
裏道の先の草原を、
海の呼吸の理由を、
お姉さんと僕の夏を。
世界は次々謎を出す。
だから僕は、
日々忙しくするものである。 -
途中、何度もギブアップしたくなったが、とりあえず最後まで読んだ。面白く感じる部分もあったし、素敵なお話だと思う。私に合わなかっただけ。
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【2021年36冊目】
なるほどSFか、と読んでいる途中で気がつく。森見登美彦さんらしい、なんとも不思議な物語。1日1日を過ごす度にどんどんかしこくなっていく、という考え方はとても良いな、無限に時間のある小学生の時に私もそんな考え方ができれば、アオヤマ君みたいになっていたのでしょうか。物事の考え方、小さい文字で1つの紙に書いて、見つめ続ける、なんてのは何歳になっても有効な方法なんじゃないかと思ったりして。不思議な話でした。