夜波の鳴く夏 (角川ホラー文庫) [Kindle]

著者 :
  • KADOKAWA
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感想・レビュー・書評

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  • 【2024年101冊目】
    人なざらる存在である「ぬっぺほふ」ことおいらは、時代の変遷を経て、大正の今を人間であるコバト姫と共に生きている。コバト姫の存在がおいらの全てと言っても過言ではなかったが、その彼女が義理の兄と関係を持っていることを知り、その男を殺すことを決意する。そして出会ったのが見るだけで人を死に至らしめる絵「夜波」だった。

    なまづまの作者さんなので、油断せずに行こうと思いながら読み始めましたが、もうなんかいろんな意味でめちゃくちゃぬめり気のある話でした。そもそもぬっぺほふ自体がどろどろしてるんですけど(堀井さんがそういう人外じみたものが好きなのかもしれない)出てくる登場人物全員精神がどろっどろでこっちまで溶けてしまいそうでした、悪い意味で。

    文章や表現力が高いが故に、気味が悪いこと…途中これ一番まともなのはぬっぺほふではと思ったりしてましたが、そんなことはなかった。

    ナルセが描く絵がどうして人を殺す作用を持つようになったのか、彼の心情がもう少し知りたかったな〜と思いました。

    やー爽やかな春の陽気の元で読む本じゃなかったな笑

  • まだ妖怪が人と共存していた大正時代、ぬっぺほふに顔を「むちゃむちゃ」されると若返ることからぬっぺほふを飼うのが流行っており、コバト姫もその1人だった。だがコバト姫は義理の兄である秋信からぬっぺほふを隠したがっており、2人の仲が良いことに嫉妬したぬっぺほふは秋信を殺そうと考える。そんな時、芝離宮庭園で出会った真っ黒な絵を描く絵描き、ナルセ。彼の絵を手にしたものは呪われるという噂があった。その絵は「夜波」という名前だったー。

    これ私の性癖詰め合わせ本かな???というぐらい好きだった。「人間飴」とかいうワードもめちゃくちゃ好きだし、コバト姫の嗜虐と被虐が表裏一体な感じとか、秋信が普段優しいのにコバト姫に対して暴力的になるところとか、コバト姫が正巳にセミを食べさせるところも描写がリアルで大好きだった。
    最初はちょっと読むのがダルかったけど、秋信が出てきたあたりから夢中で読んだ。

  • 人物達の心理描写が面白いです。
    兎に角全員が病んでるw
    それでも現状維持で丸く治まっていたはずなのに、流石、妖怪の面目躍如。
    ぬっぺほふが見事に、そして、残酷に引っ掻き回してくれます。
    やはり妖怪なんかをペットにするもんじゃないですね……

    全体的にノリが軽くユーモラスで、ストーリーもとても面白かったです。
    ただ、身体を切り刻むとか、虫を食べさせるとかの残酷描写があるので、苦手な方は注意。
    あと、大正時代が舞台ですが、所謂「大正浪漫」な雰囲気はありません。

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著者プロフィール

1987年生まれ、東京都出身。文京学院大学人間学部卒業。第18回日本ホラー小説大賞長編賞を受賞した『なまづま』で、2012年デビュー。奔放奇抜な想像力と独特の世界観が光る気鋭の作家。

「2017年 『臨界シンドローム 不条心理カウンセラー・雪丸十門診療奇談 』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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