海底牧場 [Kindle]

  • 早川書房
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感想・レビュー・書評

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  • 深海での物理的・心理的な描写に圧倒的なリアリティがある。フランクリンが訓練生から牧鯨局の局長になるまでの出世物語とも言えなくはないが、背景には宇宙での事故により火星にいる妻や子供と二度と会えなったこともあり、フランクリンは地球(特に海)での仕事に邁進する。ラストの深海でのアクションはハラハラドキドキの連続で、読んでいてこちらの呼吸が止まりそうだった。物語はあっさりしている感じもあるが、伝わるリアリティが読者を物語に引きずり込む。

  •  福島正実さんのアブリッジ版は原作の一部分をクローズアップして翻訳。主人公主人公ウォルター・フランクリンとドン・バーレイとの人間関係やウォルターの成長に焦点を当てた熱血感動ものとなっていました。
     福島版を小学生の頃に読んだ少年少女は幸せですね。後で完訳版を読むと、もう一度『海底牧場』を新たに楽しむことができるのです。
     だから私は少年少女向けのアブリッジ翻訳には肯定的です。
     私もこの岩崎書店のSFこども図書館(エスエフ世界の名作)を始め、あかね書房の少年少女世界SF文学全集、少年少女世界推理文学全集など、アブリッジ全集をできるだけ多く読んでおくべきでした。

    20世紀少年少女SFクラブ
     海底パトロール 海底牧場 アーサー・C・クラーク
      https://sfklubo.net/the_deep_range/
       https://sfkid.seesaa.net/article/488807440.html

  • 2060年代、地球は急激な人口爆発のため、鯨の放牧で食糧を補っている。この設定、今の鯨保護からしたら驚くべきもの。発表の1957年当時は今ほど鯨保護はなかったのか。今は「あんなかわいい鯨を食べるなんて野蛮」という流れ、養殖ですら許されない雰囲気だ。それでもって主人公フランクリンの恋人はオランダ、ビルマ、スコットランドの血が混じり、「少し面倒なことに、日本生まれ」という。

    「都市と星」「2001年宇宙の旅」などは1人の人生というより、「宇宙の人生」みたいな壮大な流れだが、こういう1人の人生の物語もいい読み心地だった。

    火星航路の宇宙航海士だったウォルターは、航路中の事故で船外で修理中、宇宙空間に放り出され、広所恐怖症となり、治療と第二の職場として鯨牧場監視員となるべく、火星に妻と幼い子供二人を残し地球に来る。妻子は火星で生まれたため重力の関係で地球にはこられない設定。このウォルターの監視員としての練習生時代、監視員時代、鯨牧場の局長時代と、30年あまりの年月を描く。

    自身の過去を乗り越え、監視員の仲間との友情と分かれ、新しい恋人との出会い、鯨放牧に異を唱える仏教者との出現、子供が宇宙飛行士となる、という1人の人間の人生の紆余曲折。50も過ぎると、あの時そうならなかったら別な道もあったかなと思うことがあるが、過ぎた人生、まあ、今いる地点で納得するしかない。


    1957発表
    1977.2.15発行 図書館

  • 海底牧場 翻訳の古さを感じるが、こんな世界になったら良いのに、と感じさせられる一作。

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