人は感情によって進化した 人類を生き残らせた心の仕組み (ディスカヴァー携書) [Kindle]
- ディスカヴァー・トゥエンティワン (2011年6月15日発売)
- Amazon.co.jp ・電子書籍 (177ページ)
感想・レビュー・書評
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人間の感情を進化心理学で読み解いた書。『だまされ上手が生き残る~入門!進化心理学』の姉妹作。
「恐怖と不安」、「怒りと罪悪感」、「愛情と友情」、「好きと嫌い」、「嫉妬と後悔」、「自己顕示欲と承認」、「楽しさと笑い」、「悲しみと希望」、「信奉と懐疑心」、「驚きと好奇心」、「名誉と道徳観」、「幸福と無力感」を取り上げている。
自己呈示欲求は、「複雑な自己を集団の要求にあわせて簡単化し、集団に貢献すること」を目的にした欲求だという解釈、面白いな。
『人はなぜだまされるのか~進化心理学からせまる心の不思議』も姉妹書らしいので、読んでみようかな。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
面白かった。最後の方は人間の本質や生きる目的、幸福など、進化心理学の観点からしっかりとした根拠に基づいた説明による本質を描き出している。
結局私達は生きることを目的に幸福感をツールとしてここまで進化してきたわけで、私達がいまここに存在して、様々な感情に振り回されがちなのも、すべて遺伝的に生き残りに有利な個体や集団が優先的に子孫を残してきた結果だろう。
意識というものさえ、生きるためにまったく不自由ない環境下であれば存在しなかったかもしれない。植物や細菌は考えなくても十分に生きられるから意識がないように見える。意識や記憶は厳しい環境下で生き残るために必然なツールであっただけで、私達の意識も文明が進化して安全で快適な世の中になれば幸福が意識に介入しなくなるのではないかという結論。斬新だ。現に年収もある一定額を越えると幸福感も飽和するというデータがその理論を裏付けているようにも思える。
意識があるから、楽しさも幸せも感じられるから、人間として生まれてよかったと感じるが、実は人生を楽しむために意識が存在しているのではなく、複雑な思考能力が生きるために必要だったというだけだと気づかせてくれた。
要は幸せ=良いこと、というのは狩猟採集時代に生き残るために優位なことであり、安全が確保されている今は虚無感を感じ幸せを感じていないからといって、特に気にするようなことは何もないのだ。
そう考えると心が楽になる。リア充を羨ましがる必要なんかどこにもない。 -
進化心理学の観点で人類の進化を描いた一冊。
わかりやすくて面白かった。 -
多くの哺乳類が子育てのために愛情を示すという記載があったけど、昨今の離婚率やネットで見聞きするような夫婦関係などを考えると、人間だけはさらに進化して、子孫を生き残らせようという意志が消えていっているのではないかと思った
今多くの人が抱えているアイデンティティの問題について、現代社会のような状況になった生物がいないので心の働きが進化していないというのは興味深かった -
・人間の進化に伴って感情がどのように存在してきたかが分かる。
・自己呈示欲があるからこそ、集団で重要な役割を果たすことがあったが、現代では異なってきている
・利他的に行動することで、集団を通して利己的な利益につながる
・恐怖や不安は生き残るために必要な感情だった
・集団生活に起源する感情が多い -
人間の感情は進化の過程で環境に適応する形で複雑になっていったことを、進化心理学の観点から読み解いた本。
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文明化するにつれて、幸福感は希薄になった。だから農業をはじめる人が増えてきたのかもしれない。