かのこちゃんとマドレーヌ夫人 (角川文庫) [Kindle]

著者 :
  • KADOKAWA
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感想・レビュー・書評

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  • KindleUnlimitedで読了

    出た時から気になっていて、ぼんやりしてるうちに一度Unlimitedから外れて、今回ご縁が結べた本。

    小学校1年生の少女、かのこちゃんと、かのこちゃんちの飼い猫、マドレーヌ夫人の、春から2学期の始めまでを描いた、優しい物語。内容を知らぬまま読み始めて、これは、夏休みに読むのにぴったりの本だと思った。まだ今日は8月29日で、私の通っている大学は、9月いっぱい夏休みだ。でも、夏休みと言ったらやっぱり、8月までが正統派の夏休み?だと思うから、今日読んでよかったのだ。

    マドレーヌ夫人はアカトラのねこ。玄三郎という、かのこちゃんちの飼い犬とは、相思相愛のしっとりした夫婦だ。このことはねこ社会では大事件らしく、夫人の品格を押し上げるのに、一役買っている。かのこちゃんも、ひねくれていない、素直な小学一年生で、ああ、懐かしいな、とも思うし、親友との関わり方なんか、作中に出てくる通り、『赤毛のアン』を思わせる。

    大事件が起きるわけではないのだが、ひとつ季節が移ろうこと。大事な誰かと別れても、ちゃんと明日もあさっても日々は続いてゆくこと…が、丁寧に綴られていて、良い。なんだか大変で、泣きそうだった昨日から読み始めて、読了すると、すとんと据わりのいいところに、自分の心が置いてある。

    お夜食のクッキーが甘くおいしかったおかげもあるかもしれないけれど、この物語のおかげで、ちょっとだけささくれが抜けて、自分から優しくしなくちゃなあ、と思っている。物語の効験、かくあるべし。

    このお話、大人でも、お子さんでも、楽しく読める。誰でもが自分に合った目線で楽しんで読めるって、良書の大きな条件と思うので、強くお勧めしたい。

    ところで、かのこちゃんのお父さんが、とっても素敵で、いいな、と思った。すごく好きな感じ。かのこちゃんと、親友すずちゃんの、夏祭りの場面や、おとなのお茶会もいい。アニメで観たい気もするし、いやこの香気は、文章、読書ならではだ、とも思う。こう、大事にしまっておきたい、夏の思い出になった。

  • 物語はかのこちゃん目線であったり、マドレーヌ目線であったり。
    かのこちゃんやすずちゃんの子供らしい言動には、読んでいてフフッと笑ってしまうほど。
    鼻てふてふ…笑
    自分も子供のころは不思議な行動ばっかりだったんだろうなぁ。

    マドレーヌのかのこちゃんや玄三郎への優しさや愛は、読んでいて胸が熱くなった。そして玄三郎のマドレーヌへの愛ね。彼の意思が町中に広がるシーンは涙が出る。素敵な二匹。

    読み終わった後しばらく余韻に浸ったけど、すぐに再読したい気持ちになった。

  • 最近色んなことを学び始めたかのこちゃんはもうすぐ小学生。彼女の家にはおじいちゃん犬の"玄三郎"と、その奥さんの"マドレーヌ"がいる。"外国語"を解するマドレーヌ夫人と夫人を支える夫、そしてかのこちゃんとの交流を描いた物語。

    成長期に情緒の育成をしくじった身ゆえ、本や映画を観て涙することはほぼないのだが、この本は泣いた。ブクログ開始して以来初めてではなかろうか。
    子どもの視点から見る世界、猫の視点から見る世界、いずれも丁寧に描かれ、さらりと綴られる日々の描写には無力感や惜別が密かに滲んでいる。
    マドレーヌとかのこちゃんの接し方が猫と飼主の範疇を越えていないのも良い。会話や意思疎通まで可能だったら、童話かファンタジーになっていただろう。

    ★4にしたが、可能なら4.5をつけたい。

  • ほのぼのとして、とてもよい。動物の話には弱いので、少し泣いちゃいました。

  • 万城目学さんは物語の達人なのでしょうね。
    どの作品でもそうですが、日常と「訳のわからない世界」とを一緒に、しかも爽快感を持って語ってくれるってすごい文章力だと思います。
    笑って、泣いて、ほろっとしちゃいます。かのこちゃんみたいな娘がいたらなぁ。でも鹿男にはなれそうもないけど。

  • 一生懸命な子どもの心と、ネコとイヌと。

  • 薄いのでサクッと読み終えた。
    紹介にある、キラキラとした日常というフレーズはぴったりだと思う。
    しゅららぼんと同じく、異能力物ではあるけども、それは大した問題ではなかった。
    たまに思うけど、小説というのは登場人物が成長すればよい、流れを感じるのだが、この作品はそれだけに止まらず、変わっていく事を止めることは出来ない、もの悲しさを受けた。
    マドレーヌ夫人の猫らしい生き方というのは、自由な一方で、ある意味頑固だと思った、かのこちゃんのマドレーヌを待ち続ける心のゆとりを持った成長には、対となるテーマ的なものを感じた。
    また、別れのバリエーションとその美しさを今になってしみじみ感じてます。

  • 天真爛漫な小学校1年生の「かのこちゃん」
    外国語(犬語)がわかる猫の「マドレーヌ夫人」と
    その夫 老犬の玄三郎

    不思議で愉快でドキドキな毎日

    マドレーヌ夫人の猫又騒動も素敵

    万城目節は、こういう掌品でも全開!

  • かわいいなぁ。かのこちゃんは、小学校1年生の子で、マドレーヌ夫人は、その飼い猫である。登場する大人は皆、やさしく賢く、子供は良い子で、ちょっと悲しいことはあるけれど、嫌なことや理不尽なこと、ドラマも波乱もない。ホッとする感じ。身近な、沢山の優しい人たちを思った。

  • 初万城目氏。めちゃくちゃ面白かった。茶柱のくだりは思いっきり笑えた。楽しくて、そして切ない。

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著者プロフィール

万城目学(まきめ・まなぶ)
1976年生まれ、大阪府出身。京都大学法学部卒。
2006年、『鴨川ホルモー』(第4回ボイルドエッグズ新人賞受賞)でデビュー。主な作品に『鹿男あをによし』、『プリンセス・トヨトミ』、『偉大なる、しゅららぼん』などがあり、いずれも文学賞ノミネート、映像化等など、大きな話題を呼ぶ。また、エッセイ集に『ザ・万歩計』、『ザ・万遊記』、対談本に『ぼくらの近代建築デラックス!』がある。

「2013年 『ザ・万字固め』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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