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感想・レビュー・書評
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今ではその姿を見ない日はないほど、巷にあふれているくまモンデザイン。
ふなっしーと人気を二分する勢いです。
気がついたらいましたが、いつ、どうやって生まれたのでしょうか。
きっかけは、新幹線でした。
九州新幹線が全線開業をすることになり、九州が注目されるチャンスとなったものの、通過駅の熊本は目立たないかもしれないいう懸念から誕生したくまモン。
放送作家の小山薫堂氏が監修をして、県庁の職員が考案したキャラクターだそうです。
「チームくまモン」は、専門の部署があるわけではなく、複数の課にまたがるゆるい組織なんだそう。
プロモーションやメディア対応を経験した人はいない素人集団だそうです。
そうしたメンバーが、限られた予算の中で、どうやって全国的なヒットにつながるアイデアを出していったのか、気になります。
やはりこれは、複数の担当者が「チームくまモン」を構成しているからだと思います。
さまざまな意見交換を経て打ち出される広報活動。
担当者の担当がそれぞれ違うことで、幅広い見通しを持てることになったのではないでしょうか。
くまモンは、熊本PR営業部長として、公務員という肩書なんだそう。
「熊本者(モン)」が名前の由来で、熊のモンスターではないとのこと。
熊本に野生の熊はいないため、熊本=熊のイメージが増長されるとの反対意見もあったようです。
赤いほっぺは熊本民謡の「おてもやん」から来ているとか。
思い当たりませんでした。
ゆるキャラとしてヒットした理由は、ふなっしーにも当てはまりますが、動きの良さ。
ゆるキャラの中には一人では移動できない者もいるようです。
それは、はじめにイラストからスタートした際に、三次元化した時のことを想定していなかったからだそう。
動ける方が、人気がでるのは当然ですね。
奈良のせんとくんも、はじめは気味悪がられていましたが、活動性の高さから人気が出たと分析されています。
たしかに、実際に見たせんとくんは、動きが機敏でかわいく思えました。
バック転までできるプロ野球のキャラクターも人気です。
企業とのコラボレーションを熱心に行い、熊本県内の企業は申請したら商品にくまモンを使えることにしたため、さらに市場に浸透していったとのこと。
ちなみに商品化第一弾は仏壇だったそうです。
くまモンの仏壇。一体どんなものになったんでしょう。
ミッキーマウスのように100年たっても世界中から愛されるキャラにしたいというチームメンバー。
大きな目標ですが、明確なのでアイデアも出しやすそうです。
さらにディズニーのように版権を生じさせることなく、キャラ使用権を無償にしたために、さらに人気が広がっていきました。
結局それが大きな宣伝になったというわけです。
何パターンものくまモン名刺を配布したり、くまモン体操が考案されたり、話題に事欠かないのも不動の人気キャラへの道。
くまモンPRプロジェクトには知事も全面的に応援しており、県をあげての一大ムーブメントとなっています。
チームくまモンの予算は、年間8000万だそうですが、2012年のくまモン商品の売上はしめて293億円という驚きの額。
実際にはその倍にもなるという、莫大なPR効果をあげています。
ゼロの段階から地方のソフト事業を活性化させた成功例。
公務員は、とかく規則が多く、動きが制限されがちですが、いろいろな縛りにとらわれずにさまざまなアイデアを出していくことで、可能性が広がっていったというのは、担当職員にとっても仕事をする上での発想の変換があったことでしょう。
「決まりだから、ダメ」という、保守的でネガティブな反応から「どうすればできるようになるか」という自由でポジティブな考え方に変わると、それだけで創造性と戦略法が広がります。
発想の勝利だなと思いました。
インパクトが強いながら、それほど嫌味なくせのない見た目なので、どこで見かけてもそれほど違和感は感じません。
この一般性も、根強い人気を持つためには大切な要素だろうと思いました。
さんざんイラストでは見ていますが、まだ実際に見たことがないので、いつか実物に会いたいものです。
噂の名刺ももらいたいわ~。詳細をみるコメント0件をすべて表示