南朝全史 大覚寺統から後南朝へ (講談社選書メチエ) [Kindle]

著者 :
  • 講談社
4.00
  • (1)
  • (0)
  • (1)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 6
感想 : 1
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・電子書籍 (243ページ)

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 南朝に興味を持ったのは明治期の「南北朝正閏問題」がきっかけだ。
    歴史の授業では南北朝時代は室町幕府三代将軍足利義満の時代に、南北朝合体により京都の北朝が残る形で継続したと習っている。
    しかし、明治期になると「南朝が正統である」と政府がいいだすのだ。これはおかしい!?なにゆえ??というところから、南朝モノを読み漁ることとなった。
    本書は歴史的な文献をもとに鎌倉後期の大覚寺統の始まりから後醍醐天皇による建武の新政、その後の南朝から後南朝までのおよそ300年の通史が描かれている。
    ここで明らかにされるのは、北朝の系譜となる持明院統と南朝に引き継がれる大覚寺統の統治政策の違いである。
    大覚寺統はその始まりから軍事権も含まれた王権至上主義だったという。
    なるほど、そういうことかと。
    明治期に南朝を正統とする理由は天皇すり替えの陰謀論でもなく、歴史的な理由があったわけだ。
    天皇を中心とした統治体制の強化、さらには天皇の統帥権を含めて、明治政府が理論的な強化やその裏付けを図るには大覚寺統を源流とする王権至上主義の思想が必要だったと言うことか。

全1件中 1 - 1件を表示

著者プロフィール

1949年、長崎県生まれ。九州大学大学院博士課程中途退学。福岡大学名誉教授。文学博士(1985年 九州大学)。専門は中世日本の政治と文化。著書に、『太平記の群像』『闇の歴史、後南朝』『室町幕府崩壊』(角川ソフィア文庫)、『足利尊氏』『足利直義』(角川選書)、『南朝全史』(講談社選書メチエ)、『戦争の日本史8 南北朝の動乱』(吉川弘文館)、『後醍醐天皇』(中公新書)、『増補改訂 南北朝期公武関係史の研究』(思文閣出版)など多数。

「2023年 『足利義満』 で使われていた紹介文から引用しています。」

森茂暁の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×