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- / ISBN・EAN: 4523215101295
感想・レビュー・書評
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アルベール・カミュは、1913年フランス支配下のアルジェリアに生まれた。父はフランスから渡った農業労働者であったが、翌年の第一次大戦に動員され帰らぬ人となった。そして、母は夫を失ったことで難聴を患い、まだ幼い兄弟を連れて、首都アルジェの実家に身を寄せる。お世辞にも豊かとはいえない貧しい暮らし。しかし、当時のカミュは不幸であったのではない。地中海は青く、太陽は高く、鮮やかな原風景がそこにはあった。むしろ、無学の貧民街にあって、一人、高等教育の道が拓けたとき、カミュの「不条理」は始まったのだ。第二次大戦の激動を経て1957年、戦後史上最年少でノーベル賞を受賞したカミュと、戦後最大の内戦に陥った故郷アルジェリア。フランスとアラブの共存を信じたカミュは思想的孤立から長く沈黙を守っていた。その日、再び重い口を開いたとき、多くの聴衆を前にして脳裏をよぎった故郷は、いったい彼に何を見せたのか。1960年、46歳の若さで事故死したアルベール・カミュの自伝的遺稿『最初の人間』(未完)の映画化。ふとした眼差しの交換と、時間の交錯が温かい。「作家の義務は、歴史を作る側ではなく、歴史を生きる側に身を置くこと」アルベール・カミュが生涯そこにいた不条理は、彼の誠実さそのものだったかも知れない。
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フランス映画。アルジェリアの歴史が垣間見える、北アフリカの風景が素晴らしい。
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アルベール・カミュの未完の遺作、自伝的小説を映画化した作品。
成功した作家が母のいる故郷アルジェリアを訪れ、フランスからの独立を懸けて戦争する故郷の現状を憂い、模索する様を描いています。
キリスト教徒とイスラム教徒が混在するアルジェリア。我々日本人単独民族国家には到底計り知れない苦悩と葛藤が渦巻いていて、考えさせられます。 -
この映画の原作は、作家アルベール・カミュの
自伝的小説…未完の遺作となった作品です。
静かな映画ですが、その背景となる奥行きの
深さが感じられてなりませんでした。
主人公コルムリ…フランスに住み作家として
成功している…故郷…アルジェリアに戻り…
過去を振り返り、そして今、さらにこれから
どうあるべきかに思いをめぐらせます。
1957年のアルジェリア…アラブとフランスが
反目しあっている…そこに帰郷したコルムリは
講話で、このように訴えます…
―作家の義務とは、歴史を作る側でなく
歴史を生きる側に身を置くことです。
自分が成長してきた過程を振り返り、
アラブとイスラムの共存を希う…ただ、
現実は、一筋縄ではいかない困難が、
積み重なっているのでした…
ラスト・シーンでコルムリは母に訪ねます。
―なぜ留まりたいの?
―フランスにはアラブ人がいない。
故郷とは?…を深く深く考えさせられたのです。 -
カミュの映画と聞いて、観ずにはいられなかった。最高に、つまらなかった。わざとつまらなく作ってるんじゃなかろうか。