- Amazon.co.jp ・電子書籍 (14ページ)
感想・レビュー・書評
-
いとうせいこう氏とみうらじゅん氏、仏像マニアの二人が、仏像を訪ねて奈良、京都、東北、九州の寺を巡った旅のエッセー。いとう氏の文とみうら氏のイラストが冴え渡る。1993年刊行。
いとう氏の妄想気味の鋭い思索(「観光問題に突然興味を示したり、東北の政治性を語ったり、九州という交通空間に驚いたり」)、仏像をアイドルやロック歌手に例えるみうら氏のセンス、どちらも尋常でないところがとにかく面白い。なので、仏像に特に興味がなくても結構楽しめる本だ。
「渡来したものが、その違和の力を保ち続けている。そう思って、私は愕然とした。いかにも日本的なイメージをまといつつ、その実、仏像は帰化しないガイジンであり続けているのである」、「いわば、日本人は本来の色が落ちたものをのみ好んで、しかもそこに仏の本質を感じている。日本独自と人々がいう仏教の感覚は、時が洗った跡に根ざしているのかも知れない。だとすれば、それは時教だ」、「その複雑な回路(いったん自己を外国という幻想の鏡に映してから、自己自身を確立し、それに自信を持つ)は鑑真を招来した天平の頃から変わっていない。日本人は、自己をガイジンの目に投影しながら愛することが好きなのだ」等々、何と深い思索なんだろう。
それにしても、仏像に恋するって…。みうら氏は浄瑠璃寺の吉祥天女像、いとう氏は唐招提寺の文殊菩薩に特別な感情を懐いているようだが、この辺りの感性はさすがに理解不能だな(笑)。
本書、仏像の画像が全くないのが残念。言葉とイラストだけじゃなくて、仏像の写真も欲しかった(スマホでいちいち画像検索するの面倒なんだよな)。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
いとうせいこう氏とみうらじゅん氏が、寺ではなく、ひたすら仏(ぶつ)を見る旅。二人の仏像愛が溢れて出ている。
二人にとって仏は推しでとても身近な存在。細部まで書かれているので、今度仏を見る時は自分でも確認したい。そして、遠くから近くから寝転んで(勇気いる)鑑賞しようと思う。 -
長い間、お寺にある(いる)ので気づかないが、仏 = ガイジン、言われてみればそうだよなと思う。大仏様の螺髪も日本人の髪の毛とは全然違うし。仏像は本来拝むもので鑑賞するものではないと言った、凝り固まった思考をほぐしてくれる。 昨年末、数年かぶりに奈良、京都に行ったのだが、自分は何を観ていたのだろうか? 直ぐにでも再訪したくなった。
-
再読。今回はKindle版にて。以前読んだ時は仏像に関して興味があったのだが、今回はみうらじゅんといとうせいこうさんの組み合わせ(掛け合い)に興味を持つ。
-
-
-
2017/2/14
-
仏像の知識が全くないので、
仏の顔や体のイメージが薄らとしか出来なく二人の見物巡りに入り込めないが、
寝転んで仏を見る視点の驚きやトキメキは伝わってきた。
惚れてるっていいなぁ。 -
読んでも仏像にはそれほど詳しくなる事はないが
不思議と二人の世界観に引き込まれる -
日本全国の寺、神社を巡り仏像を見学する旅。仏像が作られた当時の思いを現在の文化に照らし合わせた比喩で解説するみうら、そんな解説者を観察することで自らを見つめ直すいとう。仏像に関する知識の深さに感銘する。