天使のたまご Blu-ray

監督 : 押井守 
出演 : 根津甚八  兵藤まこ 
  • ポニーキャニオン
3.89
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本棚登録 : 24
感想 : 3
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  • Amazon.co.jp ・映画
  • / ISBN・EAN: 4988013428461

感想・レビュー・書評

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  • 考えれば考えるほど自分の趣味嗜好を決定づけた作品なので、くだくだしく書くことはない。
    ただ、アニメージュ文庫で出会ってから本編動画を見るまで、アニメージュ文庫や篠田節子「聖域」や天野喜孝画集やで十年弱妄想を膨らませていたことが、他の人とは違うところだろう。
    今回、絵本の「さかなさかなさかな」のページが好きな5歳の娘にせがまれて、amazon primeで一緒に鑑賞。
    一年前に同じ状況でBDで流したときはニ十分くらいで止めた記憶がある。
    今回も娘は途中で集中力が途切れていたけれど、卵こわしたらいけんねー、とか、少女の髪ながーい、などそこそこ楽しんではいた。
    その後関連本を数冊読み直して、やはり自分のルーツだなと。
    暴力的な外界から虐げられる少女の姿。
    はっきり暴力といっていい、性、年齢、無垢、無慈悲、の関係性。
    今回感じたのは、「あなたは、だぁーれ?」「きみは、だれだい?」という遣り取りは、まるで潮が満ちたり引いたりする応答のような、あからさまにエロティックな……。
    少女に幸いあれかし。
    肉体を失って列聖することの誉れを。

    押井守「天使のたまご」発売直前インタビュー(1985年) -ルパン三世・天使の化石・キリスト教・古典の捏造-
    https://soorce.hatenablog.com/entries/2007/08/23

    犬でも分かる押井守「犬・鳥・魚」講座
    https://www.asahi.com/showbiz/column/animagedon/TKY201201150090.html

    好事家ジュネ
    ……削除?? すばらしい動画なのに!!!

    今だから話せる『天使のたまご』の裏側【うのちゃんねる-vol.4】ゲスト:押井守
    https://www.youtube.com/watch?v=AagW2l-lPI0

    創造主"押井"の誕生神話/アニメ『天使のたまご』解説_前編 ときわあぱーと
    https://www.youtube.com/watch?v=FWQp6foxUUs&t=1519s

    • りまのさん
      knkt09222さん
      「天使のたまご」天野喜孝さんの画集や、アニメをずいぶん前に、見たことがあります。
      とても好きな世界観です。同じ趣味嗜...
      knkt09222さん
      「天使のたまご」天野喜孝さんの画集や、アニメをずいぶん前に、見たことがあります。
      とても好きな世界観です。同じ趣味嗜好の方がいて、嬉しいです。
      画集や絵本は、たぶん阪神の震災の時、なくしてしまいました。? 今度実家で探してみます。再読したくなりました。
      それでは。それでは……。
      2021/08/19
    • knkt09222さん
      りまのさんへ
      画集単体でも素敵ですよね。
      徳間書店のメディアミックス路線のおかげです。
      こちらこそ同好の士から声掛けいただき嬉しく思い...
      りまのさんへ
      画集単体でも素敵ですよね。
      徳間書店のメディアミックス路線のおかげです。
      こちらこそ同好の士から声掛けいただき嬉しく思います。
      2021/08/19
  • 1985年に発表された押井守監督のOVA作品。旧約聖書創世記に登場するノアの方舟のエピソードをもとにしたオリジナル作品です。80年代、90年代のOVAを代表する作品だと思いますが、面白い作品ではないです。色々と比喩表現が盛り込まれているようですが解説等を読んでいないとキツイかと思います。それでも映像美や天野喜孝によるキャラクターデザインは素晴らしい。この後、パトレイバーまで仕事の依頼が無くなったと言うのも納得。

  • §背筋が凍り付く程の退廃的雰囲気に満ちている。

    一般的な「アニメファン」には旧ソ連のユーリー・ノルシュテイン監督の「話の話」やカナダNFBのノーマン・マクラレン監督の抽象アニメ(例:色彩幻想)等と並ぶイミフのアニメだろう。

    しかし本編はストーリーを「解釈」しようとすれば、各自それなりに割と簡単に出来ると思う。本編は具象的な表現で観念的なのである。

    私に言わせると所謂「オタク」の心象風景ではないか。

    少女以外は外来者の少年兵と、魚の亡霊と猟師の亡霊しかいない廃墟の街。

    少女は住民が捨て去ったマンションの一室に残されたジャムの瓶、それに僅かに残されたジャムを指ですくって舐める。この実際に有りそうな「壊れ切った」生活感が恐ろしい。

    少年兵は少女が大切にしていた「たまご」を小銃で割ってしまうが、これは遠回しな一種の性表現とも取れる。

    全体として心を安らげ、温める様な内容は一切持たず、背筋が凍り付く様な冷たさと不気味で救いの無い退廃的な雰囲気に満ちている。

    本編を「芸術作品」であると捉えるならば、こうした面をも受け入れる、鷹揚さが鑑賞者には求められるだろう。クエイ兄弟のオブジェクティブアニメーションを知る人なら受け入れられると思う。

    或いは、本編をあえて好意的に捉えるならば、現実と妄想の区別を失い、生活感をも喪失し、オトナになる事を拒絶したまま歳を重ねて行く「オタク」達を、そうした人々を主たる顧客としている監督が遠回しに批判しているともとる事も可能である。

    しかし、(私では無く)私の友人は本編を「腐ってやがる!」と一言の元に喝破した。日々の暮らしに追われ、真剣に生きる人々からはこうしたストレートな評価が出る。本物の芸術と「お芸術」の違いだ。

    (★の数は資料性も含めてのもの)

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著者プロフィール

映画監督、作家。1951年、東京都大田区生まれ。
竜の子プロダクション、スタジオぴえろを経てフリーに。主な監督作品に『うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー』(84)『天使のたまご』(85)『機動警察パトレイバー the Movie』(89)『機動警察パトレイバー2 the Movie』(93)『GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊』(95)。『イノセンス』(04)がカンヌ国際映画祭、『スカイ・クロラ The Sky Crawlers』(08)がヴェネチア国際映画祭のコンペティション部門に出品。実写映画も多数監督し、著書多数。2016年、ウィンザー・マッケイ賞を受賞。

「2024年 『鈴木敏夫×押井守 対談集 されどわれらが日々』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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