- Amazon.co.jp ・電子書籍 (260ページ)
感想・レビュー・書評
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「なぜ、地球上には、多くのものを持っている国と、そうでない国があるのか」という問いに答える本。表題から、銃・病原菌・鉄によって、欧米人が世界を征服していく話かと思っていたが、それだけではなかった。人類が類人猿から進化したところから話が始まる。その後、各地に散らばった人類が、それぞれどのように発展してきたのかを考察する壮大な物語であった。銃・病原菌・鉄以外にも、食糧生産や文字などについても、わかりやすく書かれている。その過程で失われていった文化や言語についてはもったいないと思う。(文化については、奴隷制のように悪いものもあるので、一概には言えない。)文字については、少し前に「まほうのほね」を読んで甲骨文字に触れ、東京国立博物館の「古代メキシコ」展でマヤ文字を、「東洋文庫ミュージアムの「東洋の医・健・美」展で占いに使われた甲骨片を見て、最近はずいぶん古代文字に縁があって面白い。
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「エピローグ」のところが一番面白く読むことができる。自然科学から入って、言語学や歴史学にも通じていると言う特異な経歴を持つ筆者だからこそ書ける本、発信できるメッセージだと、最後まで読むと実感できた。「各地における自然環境と、そこから発生した食物獲得の方法から出発して人類史を読み取る」という、おそらくかつて存在しなかった試み(筆者以外に試せる人がいるとも思えない)であるという点だけをとっても、十分に読む価値のある本だった。せっかく学術書ではなく一般書として、わざわざ読みやすいように書いてくれてるわけだし。
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なぜ欧米人が主導権を握れたのか?
周りに家畜化や栽培可能な野生動植物が多様にあったこと。
それにより、食料生産、定住がはやくに起こる。
食糧生産により余剰作物の貯蓄が可能となり、それが非生産者階級の専門職を養うゆとりを生み出す。
これにより科学技術や政治体制が発展する。
人種による優劣はない。
上巻までと同じ主張を繰り返しているだけですね。
それでは同じく恵まれた条件の中国が覇権を握れなかったのはなぜか?
1450年当時、中国が征服者に最も近い位置にいた。
筆者は、中国が政治的に統一されていることが覇権を握れなかった原因だとしている。
艦隊派遣の廃止など、トップの誤った判断により国家が後退させていったのです。
欧州は政治的に統一されていないことが、良い方向に働いたと述べています。 -
壮大。エピローグがすごく大事だと思いました。ケースの方が考えやすいが抽象度が高いことによって見えるものがあることも事実。そのことに気づかされました。確かにユーラシア大陸は東西に長い。
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チェロキー文字とハングル文字の話がすごくおもしろかった
インドネシアからマダガスカルに移ってきた人たちもすごい そういう地図もないのに新天地に向かうのって船が沈んでダメだった人のほうが多そうとか考えてしまう 前の巻で紀元前何千年とかに地中海から東に出た舟(樽みたいな舟だったらしい)はどこにもたどり着けなかったとサラッと書かれてたし こわすぎ -
ヨーロッパ中心ではない観点で歴史を整理し直しているのがとてもよい。
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観察や研究、科学の進歩が、理不尽な差別意識をそぎ落とすことに如何に貢献できるかを知ることができました。
自分としても、今、世界でこのような格差が生じている原因が、心のどこかで人種的な優劣を感じてしまっていたのですが(日本人は細かい作業が得意、など)、それらを丹念な歴史研究、考察により、今この状況がなるべくしてなったものだという理由を、主に地理や環境によって説明され、世界の見方が変わったように思います。
…ただ、長い笑。もしかしたら翻訳のまずさもあるかもしれませんが、やたら回りくどい表現があったり、各章で重なる部分もあったり、
その辺りの文章をすっきりまとめると、半分とは云わず、3分の2ほどの文量になったような気はしました笑 -
オーディブルで読了。
結局白人が世界で覇権を取ったのは環境ガチャで良い大陸を引いたからであり、そして何万年も前の環境ガチャの影響は未だに世界に残り続けているという凄まじい結論。 -
下巻
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なぜ、人類の文明の発展に地域差が発生し、世界の富や勢力の偏在に至ったのか、さまざまな視点や学問で解明していきます。たくさんの事例とともにとても詳しく解説されています。
2000年頃の著書なので、日本の半導体が世界を席巻していたり、中国が発展途上だったりします。何千年もかかって発生した地域差が、現代では数十年でひっくり返るんですね。