暗いところで待ち合わせ [Kindle]

著者 :
  • 幻冬舎
4.09
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感想 : 65
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  • 暗闇の世界だけど我が家でミチルなりに心地よく生活していたのに、そこにこっそり住み着いてしまったアキヒロ。お互いを認識して、強くもなり弱くもなり不安定にはなったけど、それがいとおしい。

    台詞も少ない分、物音だったり部屋の空気感など感じられる文章でした。

  • 殻に閉じこもった2人が不思議な出会いによって少しずつ心を開いていく。

    お互いの存在がいつしか心の中で大きくなっていって、自分が感じた相手の良い部分をみて噂や偏見に流されないところがとても素敵な関係だと思った。

    表紙はインパクトあるけど、物語自体はゆるやかに流れていくんだなーと思った

  • ああ、こんなに閉じこもってはいけない!と言ってしまうのは現在の私。解るんだなーと思うのは幼き若い頃の私。遠き昔、人を避けてた事があった、あったっけ。

    今だって群れるのは嫌い、けれども楽しく認め合うのも大好き。人と付き合うのはとてもスリルのあることだと思う。めんどくさいこともあるし、考え込むような難しい場面もあるが、どうしたら他人といい付き合いが出来るか、考えるのは前向きで、力強い生きがいとなる不思議。

    つきあい下手な二人の若き男女が一緒に生活することになってしまったが、その結果思わぬ拾い物をすることになる。本間ミチルと大石アキヒロが知り合った場面は異常である。視覚障害すなわち目が見えない人が一人暮らしをしている家に、殺人事件の犯人として追われて、忍び込むアキヒロ。

    私は「網膜はく離」ですんでのところで盲目になる経験をしている。だから見えない人の感覚はものすごくよく知っている。気配は消せない、風のそよぎのような気配はものすごく重要だ。だから忍び込まれたミチルはすぐわかったと思う。そこから物語りは始まる。

    孤独はきびしい。常に対象を求める。研ぎ澄まされた感覚で侵入者を唯々諾々としてしまうヒロインに運命を感じる。誰かを持っていたのかもしれない、それが恐ろしい殺人犯が逃げ隠れにきても。

    その忍び込み犯とのやりとりがスリルでリアルである。けれどミステリーとしてはすぐわかってしまうかもしれない。(私はすぐ解かってしまった)でも、このような場面で人の孤独を描き出すアイデァはやはり斬新だろう。

    あまりにも静かなる、感動の結末が希望を垣間見せる。

  • 盲目の女性とその部屋へ忍び込んだ殺人犯の男性の話。そう聞くと恐ろしい気がするけど、そういうものではなかった。またこれが見せ方(読ませ方)がうまくて、女性の視点と男性の視点を交互に見せながら同じ場面を描いていくのが面白くて、視点が変われば見え方が違うのは当たり前だけど、いやホント凄くその世界に引き込まれた。文章が読みやすくて次々と読んでしまうし、先が気になってやめられないくらいだった。
    盲目の女性が叙々に誰かが部屋にいることに気付いていくんだけど、その描写も見事で、当たり前だけどお互い何一つ会話を交わさないまま静かにお互いを認知しあっていくのが、もうハラハラするしドキドキするし、なんなら胸を鷲掴みにされる程に掴まれちゃって、たまらなかった。サスペンスとしても、人間ドラマとしても充分満足できる作品かなと思う。面白い切り口なので、それだけで興味深い。

  • 好きです。とても好き。全てが良い。
    奇妙な関係、不思議な状況、にも関わらず流れる穏やかな時間。
    緊張感と安堵のバランスが良い。
    主人公2人の弱くも優しい心と明るい未来に元気を貰える。

  • ちょっと涙腺がバカになってるので、じわっと涙も浮かんだ。
    孤独なふたりの不思議な同居生活。アキヒロ、根が優しい人だから、職場にも馴染めなかったんだろうな…。
    読み終わって、すごい穏やかな気持ちになれた。2人の未来に明るい光がさすといいな。

  • 表紙は怖いが、ホラー要素は全くなかった。あらためて乙一さんの幅の広さに感服。とても読みやすく、それでいてミステリによくあるような「そうだったのか!」という感じも味わえる。この作品は小川洋子さんや川上弘美さんに近いような気もする。

  • 殺人犯のアキヒロが盲目のミチルの家に上がりこんだときはハラハラした。その後、ストーリーが進む中でお互いの距離感が少しずつ縮まっていることを感じたが、アキヒロが殺人犯であることだけが気がかりであった。しかし、ラストでアキヒロが無実であることに驚き、安心した。アキヒロはミチルに認められる、ミチルはアキヒロの存在に励まされ、とてもお似合いだと感じた。今後二人の距離がさらに縮まることを願いたい。

  • 悩みごとばかりの多感な時期に、この物語が不思議と寄り添ってくれた記憶がある。
    現在、奇しくも障がい者福祉分野を学習しているため、ぜひ読み直したい。

  • 乙一さんの文章は惹き込まれるものがありますね。

    目が見えない女性とその家に潜む男性の不思議な関係。
    表紙を見ると怖い話を連想しますが、心温まるお話でした。

    それぞれが持っている『暗さ』に感情移入しながら読みました。
    いつまでも心に残りそうな予感、傑作だと思います。

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著者プロフィール

1996年、『夏と花火と私の死体』で第6回ジャンプ小説・ノンフィクション大賞を受賞しデビュー。2002年『GOTH リストカット事件』で第3回本格ミステリ大賞を受賞。他著に『失はれる物語』など。

「2022年 『さよならに反する現象』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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