機械との競争 [Kindle]

  • 日経BP
3.75
  • (4)
  • (11)
  • (8)
  • (1)
  • (0)
本棚登録 : 80
感想 : 8
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・電子書籍 (143ページ)

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • ここ数十年の統計(資本家と労働者の所得の推移、GDPと所得の中央値との関係など)から機械が雇用を奪っていると主張。

    その上で解決策として、テクノロジーを脅威ではなく、味方につけることを踏まえ、1組織革新、2、人的資本への投資をあげている。

    1については、起業家精神を発揮して色々な能力を持った人を組み合わせて、その試行錯誤を高速で回すというもの。そうして少数精鋭のマイクロマルチナショナルチームが組成されると主張

    2については、教育、スキル開発への投資の重要性を述べている。特にソフトスキル(芸術、リーダーシップ、チーム作り)などはスフとウェアでは難しいので特に重要とのこと。

    全体を通して感じたのは、やはり自分も1芸に秀でた専門性と起業家精神をみにつけること、Itを経営にどう生かすかという視点の醸成を痛感した

  • デジタル化の進展が経済、特に雇用に対して及ぼす影響について関心があり本書を手に取りました。率直な感想としては、まずメッセージがシンプルかつ明瞭であることに共感はもてたものの、満足できるほどの経済学的な分析にはなっていない、というものです。主張はシンプル。つまり現在はテクノロジーの進展が指数関数的に発達し早すぎるため、労働市場の適応がそれに追いついていない、ゆえに平均所得(正確には中央値の所得)が伸び悩み、分配面でも富める者と貧しい者の差が広がったとしています。これは感覚的に共感できましたし、多くの経済学者が信じている「生産性向上に負の側面はなく社会全体にとって絶対的にWin-Winだ」という主張に疑問を呈しています。生産性向上も需要を増やす場合と必ずしもそうではなく逆に減らしてしまう場合がある、という問題定義は極めて重要だと思います。

    しかし肝心の経済学的分析は?というとかなりお粗末で、著者もそれを意識してか、やたらとノーベル経済学賞受賞者の論文や発言の抜粋を持ってきてハクをつけようとしますが、内容の薄さは隠せません。ということで、問題定義は極めて重要で共感できましたが、分析面では物足りなさを感じました。

  • AI台頭論が全盛だ。

    AI革命がなんだかんだと、
    最近の日経にAIが取り上げられない日はなく、
    またその論調も半分位はAI脅威論として論じられている。
    どうやら人間は潜在的にロボットを恐れるようにできているらしい。

    この本は2013年の本なので少し古い本だが、
    テクノロジー失業というコンセプトを簡潔にまとめていて、
    立派に時代を先取った内容になっていると思う。

    少し古いソースだが、ネットで見たことある記事。
    http://gendai.ismedia.jp/articles/-/40925
    これも一時期話題になった。

    テクノロジーの進歩によって、
    10年後には無くなる仕事というのは、
    何となく見えてきつつあるのかもしれない。

    実際どの職業がホントになくなるとかは、
    一冊本を読んだくらいの私が
    どーのこーの言えないが、
    筆者のいう、テクノロジー失業という概念は、
    2017年の今では割とスタンダードになってきつつあるんだと思う。

    この筆者の例えはワクワクすると同時に恐ろしい内容だ。
    ムーアの法則(これも少し古い例えだが)を引き合いに、
    技術進歩は倍々ゲームであり、変化は少しずつ起こるのが常であり、
    変化の最初のインパクトは小さいが、
    ある日突然、目の前にとんでもない大きなインパクトとして現れるとのこと。
    テクノロジーによる失業もある日突然、
    我々労働者の前に大きな壁として立ち上がってくるのかもしれない。

    面白かったのは、
    機械化がしにくい仕事は何かという議論。

    お決まりの回答は、
    クリエイティブな仕事をしてれば機械に取ってかわられない!

    という、
    身も蓋もない回答が第1に来るんだけど。


    意外な内容としては、
    介護とか看護、建設現場での作業などは、
    非常に高度な情報処理に物理運動能力が組み合わさっているので、
    機械化が非常に難しいという話が書かれていた。

    機械化によって職を奪われる危険があるのは、
    概して中流階級の仕事が真っ先にターゲットになるのかもしれない。
    例として弁護士の仕事、会計士、経理の仕事。
    専門的な知識と
    高度な情報処理能力で食べてた彼らは、
    我々が想像しているよりも厳しい立場に置かれることになるかもしれない。かといってこういう人たちはそもそも能力が高いので食に困ることはなさそうだけど

    まぁ筆者のいうとおり、
    ほんとに10年後、20年後、
    テクノロジーのせいで大量の失業者が街に溢れるのか?
    答えはまだ未知数だ。

    自分がまだろくに勉強しない経済学部生だった頃。
    ゼミでの授業中、「機械が人間の仕事を奪っていくというコンセプトは、みんなの常識だ。」という私の何気ない発言に、経済の先生からは、ホントにそうか?ちゃんと考えたのかという指摘が入った。
    現実にはそんなこと起こってはいないというのが経済学としての考え方のようで、
    当時はそんなものかと感心したものだが、筆者は少し違うスタンスで論じている。

    ラッダイト運動の支持者たちが一八一一年に自動織機を打ち壊して回って以来 、労働者は機械に仕事を奪われるという恐怖心を抱き続けてきた 。たとえ古い仕事は失われても新しい仕事が生まれるから心配はいらないと経済学者は言い続け 、二〇〇年ほどはたしかに彼らは正しかった 。自動化によって何百万もの職が消滅したにもかかわらず 、二〇世紀の終わりまでは 、一〇年ベ ースで見てアメリカで就労者が減るということはなかった 。だがこの経験的事実は憂鬱な秘密を覆い隠している 。誰もが技術の進歩の恩恵に与れるという法則は 、経済学のどこにもない 。いや 、大半の人が恩恵に与れるという法則すら存在しないのである 。
    10年後、20年後の社会で、
    失業が溢れるかどうかはわからないが、
    技術進歩の恩恵を受け、相対的に豊かになることができるのは、
    技術を見極め、うまく使おうとした人間に限られるのは間違いなさそうだ。

  • ★経済政策をうってもいっこうに景気が浮揚しない理由はこれじゃないのか?労働者がロボットに置き換わったら、儲かるのは資本家だけなのだ。

  • 一番強いチェスプレイヤーが、機械と共存しているチームだったという部分が印象的だった。

全8件中 1 - 8件を表示

エリク・ブリニョルフソンの作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×