- Amazon.co.jp ・電子書籍 (138ページ)
感想・レビュー・書評
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幼少期の経験とトラウマから"乳房"にこだわりをもつようになった男性が、研究の果てに"人間"を生み出す話。
アニメの前日譚を描いたノベライズらしいが、アニメは未視聴。
あらすじを書くと主人公はヤバい人に見えるが、各所のレビューでいわれている通り太宰治の『人間失格』を彷彿とさせる内容だ。文体も野﨑先生の他作品とはかけ離れており、自叙伝的語り口にふさわしい陰鬱とした印象を与える。ストーリーはそう目新しい展開ではないので、堪能すべきは文体のほうかと考える。
普段の"野﨑ワールド"の軽妙さから一転、純文学の香りただよう本作は、『人間失格』ほど古めかしくはなく、しかし己の因業に苦しむ青年の心を赤裸々に描いている。ジャンルとしてはSFだが、人間ドラマを好む方にもお薦めできる。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
【これを読んだ後に読みたくなった本】
・『ファンタジスタドール』:アニメ。
【感想】
一言で言うなら「オチが酷い‼」
古典の純文学的な文体、雰囲気のSF。
まどはこんなのもかけるのか!まど天才ですわ!
古めかしい文体で近未来の世界を描くから、
そのギャップでずっとこそばされている感じ。
もともとラノベの文脈の人だからか、
古めかしい文体といっても、そんなに読みにくいとは思わなかった。
むしろ読みやすいくらい。
子供のころから、ことあるごとに「女性」の学習に
「失敗」してきた主人公の物語。
学習の失敗は偶然的で、どうしようもなく、かわいそうになってしまう。
いかんせん頭がよかったせいで、こじらせにこじらせてしまう。
『ファンタジスタドール』というアニメ(メディアミックス?的な作品)
の前日譚的な位置づけらしいけど、
無料公開されてたアニメ第一話だけ見たら、
プロデューサーさんがかわいそうに思えてきた。
いや、むしろまどに頼んだお前らが悪い!
本当にオチが(2つの意味で)酷いから、
くだらないものが大好きな人にはとてもお勧め。
ただまど作品全般に言えることだが、
誰にでも気軽にお勧めできるようなものではない。
これをお勧めするということは同時に、
「私は変態です」と暗に言っているようなもの。
特に女性にお勧めするのはかなり勇気がいる。
最後の年譜も、年譜まで含めて完成するようになっているけど、
無駄にそれっぽく凝ってて、ばからしくていい。 -
野崎まどさんらしくて面白かった
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人間失格のオマージュ。導入から展開まで全て。ここまでやられると、人間失格をもう一度読んだみたいでしたよって。
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アニメ『ファンタジスタドール』の前日譚をSF小説で展開するのは理解できるとして、まさかの田山花袋風私小説!
いかにしてドールを開発するマッドサイエンティストが生まれたのかという話をそういう文体でやられると「少女病」とか「蒲団」とか思い出して楽しい(もっともあまりこの頃の小説読んでないので比べられるものがほかにないのだが)。
時代が進んでるのに文体が古いのは、パラレルワールドの日本語である、という雰囲気も出したかったのかもしれない。
後日『人間失格』を読んだら小説のフォーマットがよく似ていて、かなりそれを意識して書かれている事が分かった。