心はどのように遺伝するか 双生児が語る新しい遺伝観 (ブルーバックス) [Kindle]
- 講談社 (2000年10月20日発売)
- Amazon.co.jp ・電子書籍 (252ページ)
感想・レビュー・書評
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ちょっと古いけど入門として良書。
「遺伝子決定論者」など存在しない、、、ですよね。専門家であればあるほど、遺伝子によって全てが決まっている等口が裂けても言わないはず。
遺伝というと親から子へ受け継がれるものという印象を受けるが受け継がれるのはあくまで「遺伝子」であり表現型は様々。「頭が良くなる遺伝子」や「性格が明るい遺伝子」が一対一のように存在するわけではない。
遺伝子(英語でGene)は創造するgenerateと同じ語源。中国語の「生成子」のほうがより適切か。つまり「形質そのもの」ではなく「形質を作り出すもの」。パーツを受け継ぎ、それで組み立てられるものは、別の形質であることが多い。
より遺伝的である身長や体重ですら、遺伝の影響は7割程度。
面白いのは、遺伝の影響は年を取るほど大きくなる。歳を取ると環境の影響が増えそうなもんだが。時間的遺伝子の存在。お花畑に咲く花が広がるように、徐々に広がっていく。歳を取ると「親に似てきたなぁ」という現象。
結局の所、はじめに持っていた形質・性質が普遍であるというのは遺伝子のふるまいからも否定的。遺伝子の影響は、静的なものではなく、想像以上にダイナミックである。(宿命論、決定論の否定)詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
「遺伝」という概念はともすると優生思想と結びつきやすい。事実、本書も「人間の個人差に遺伝的差異が影響することを無視してはならない」という。ただ、それと同時に「人間が生物として必ず持つ個人差によって、人間を差別してもならない」ともいう。この一見すると二律背反的な見解に学問的な知見からアプローチしたのが本書。遺伝=決定=運命=差別という呪縛を解放するための行動遺伝学の書である。
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双子の行動研究を通して遺伝が性格にどのような影響を当たれるかを考察。
非常にまじめに書かれた本で、それ故にビックリするような新事実は書かれていない。まあ、そんなものだよねを再確認する本か(^_^;