裕福な白人家庭に育ち、大学にも進学したのに、わざわざ退学してベトナム戦争に従軍したクリス(チャーリー・シーン)が主人公。
当時は、職がない貧困層の若者(黒人が多い)が仕方なく兵隊になっていたらしい。クリスは両親の反対を押し切り志願したため折り合いが悪くなり、戦地からの手紙は祖母宛に綴られている。
クリスは対称的な二人の隊長? 班長? に出会う。気さくでベトナム人にも良心的なエリアス(ウィレム・デフォー)と、冷酷で情け容赦ないバーンズ(トム・ベレンジャー)だ。傍目には、エリアスのほうが断然いいやつで、バーンズは悪玉に見える。しかしクリスははじめバーンズを尊敬していた。戦場ではバーンズみたいな奴が頼もしく感じられるのだ。
バーンズが冷酷非道なのは彼の生来の性質もあるかもしれないが、戦場という異常な状況によるものなのではないかと思う。「フューリー」のドイツ市民たちもそうだったけど、どこに敵が潜んでいるか分からない状況で、エリアスのようにベトナム人をかばうことの方が難しいのかもしれない。ゲリラ戦に苦しめられた米兵の中から、とりあえず敵国民はみんな殺してしまえと短絡的に考えてしまう者が出ても不思議ではない。
やがて二人の対立は決定的となり、エリアスはバーンズの嘘によって敵地に取り残され、壮絶な死を遂げる。バーンズの嘘を知るクリスはエリアスの仇を取りたいと思い、最後に傷ついたバーンズを助けず射殺するが、それはもとよりエリアス的ではなくバーンズ的な行為だ。結果的にバーンズは自ら死を招いたが、バーンズやクリスにそうさせたのは、やはり戦争なのではないかと思った。
実はジョニー・デップがほんのちょっぴり出てる。最後まで気付かなかった!
ウィレム・デフォーは最初オネエ的な人かとおもた……