- Amazon.co.jp ・電子書籍 (312ページ)
感想・レビュー・書評
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直木賞受賞作‼️
なんだかほっこりする、人間模様。
いまとなってはあまり見られなくなってしまった風景や、時間の流れを味わわせてくれる作品。
ただ、全盛期ではなく、順風満帆ともいかない…
いつの時代もそうかもしれないが、目には見えない"時代"という大きな流れの中で生き抜いていこうとする人々。
本牧亭を取り巻く、強くて弱い人々を絶妙な筆致で描く本作品は、一昔前の日本を味わいたい方にピッタリ✨詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
巷談(こうだん)と講談をかけたのか、浅草の講談専門の「本牧亭」をめぐる人間模様。
歴史小説かとちょっと構えるも、基本的には戦後の話なので、お金の価値が10倍だか違っている以外は現代のような話。演者も観客も高齢化し、若い観客を見たら舞台の関係者。
そんな狭い世界の中で、偽の葬式を出してみたり、著作権がらみで訴えられそうになったりと、小さいがドラマチックなエピソードを、これまた講談調に叙述する。
古い小説でも有って、少々「これくらい知っとけよ」という投げやりな部分もあれど、半分近くになってくると、人を見分けることが出来てきて面白くなる。
また、舞台での専門的(?)な話から、休日にスケートをする話など、緩急も程よく、のめり込むほどのストーリーではないが、心地良い展開である。
かなり昔に直木賞を取った作品だそうで、賞を取ったなりに面白いし、変に気取ったり達観していないところは好感が持てる。
短編集のようなかたちであるので、電子書籍で読んでみるのもオススメだ。