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感想・レビュー・書評
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映画が面白かったので読んでみたが、正直何が面白かったかよく分からなかった。
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解説まで読了
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いい。この訳、読みやすいじゃないか…と思ったら、『八月の光』で大絶賛した訳者、黒原敏行氏だった!!!ああほんと光文社古典新訳文庫は外れがない!!!!
これは『地獄の黙示録』の原作に当たるものだが、映画はベトナムで、原作はコンゴ。映画はタイトルしか知らないのでなんとも言えないが、当時社会問題を提起する問題作だった模様。でもこれ読んでみたら、社会問題とか歴史的な国の事情は完全に置いといて、人間の心をどこまでも深く見て行く話なんだと思う。象牙をとる会社の人間がコンゴの山奥の出張所にいる象牙を山ほどとってきて会社の人間が危険視するほどすごい人間がいる。彼が病気らしいと現場を確認に行くのだが・・・。
なんの予備知識もなく情景を思い浮かべて原住民といる「命が危険だ」という宙ぶらりんな状態をビリッと感じてほしい。そして成功する、崇拝される、あらゆる満足が緊張感の中で満たされていること。人間存在って、他者によって証されると思うけど、意思疎通困難な原住民たちに崇拝されるという証はどういうものなんだろう。自分が価値があると思っている文化外ということになる。リスクの伴う支配欲か。
なんとなく知らない世界に飛び込みたいという勢いで来たマーロウ、コンゴの山奥で象牙を集め続けるクルツ、最後に出てくるクルツの婚約者。
現地の人を支配するクルツにはどんな恍惚感があっただろう。それは恐怖と紙一重なのかもしれない。そういう闇を感じながら読むのだ。
黒人に対する差別的感情、表現はたっぷりある。でもそれは、社会的に「反省」するのではなくて、自分の中の差別するこころを炙り出すものなのだ。これはいい、悪い、自分はそう思わないを判断しないで受けとめてみることだと思う。
訳者あとがきにもあったが、この作品自体はコンラッドの体験を中心に書かれており、自分の中に起ったあるがままを書かずにいられずに書いており、きっと社会問題提起というような目的はなかったはずと。と思うと、わたしは映画をベトナムで撮ったというのはなんか違うかな~とも思うのだ。
『八月の光』がアメリカ文化の中での黒人差別であるとすると、『闇の奥』は原住民差別・黒人差別にあたることだが、生命の危機を感じる大自然の中で生きていく白人の視点から生きている黒人への感情を書いている。同じ文化の中じゃないってことだな。現にマーロウは操舵手をしてくれていた青年とある種の共有する感情が芽生えていた。彼が自分の隣で死んでいくのを見つめる中で起っていくこころの流れも生々しい。きれい事ではない。
ひとことでいうと、客観的に黒人を低く見ている差別からさらに奥の人間のこころを見るという感じ。生々しい闇。
訳がすごいというのはわかった。 -
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☆2.5。
よくわからなかった。巻末の解説は熱いのだけれど。
もういちど読む必要が。 -
再読。ところどころ原文を参照しながら読む。クルツがクルツが狂気に堕ちた神のようにもみえたり、また道化を連れたリア王のようにも見えたり。クルツが所属するイギリスの会社の社員が「巡礼」、言語ではpilgrim、と表現されているのは、キリストの正義を旗印にアジアやアフリカに進出していったヨーロッパの歴史を踏まえてなのだろうか。