- Amazon.co.jp ・電子書籍 (177ページ)
感想・レビュー・書評
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ソクラテスが死刑となる不敬神裁判について、プラトンが対話形式で綴る一冊。
アテナイで実際に起きた知識人の処刑を、弟子プラトンが当時と後世に伝えるべく筆を執りました。
妬みや目障りであるという感情的な理由で登壇させられたように思える裁判ですが、彼を抹殺することは黄昏時であったギリシア世界にとってどのような効果があったのでしょうか。
古代民主制を長く布いていたアテナイでも、現代民主制と同様のくだらない理由で貶められることがあったという証明に他なりません。
しかし、この死によって後の哲学に熱が入ったことで今があります。
ソクラテスがどのように生きようが死のうが、多くの思想と力を残したことは確かです。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
kindle unlimitedで購入。
ギリシア哲学の古典を読むのはほぼ初めてである。
kindle unlimtedであること、および、現代訳に近しい内容のものが新しく出版されたことにより、手に取ってみた。
本篇は長くはなく、いわゆる古典らしい難解な表現はない。ただ、やはり背景や弁論術などに多少通じていないと難解であるように思われる。
また、この本が秀逸であるのは、本編が終わった後の解説である。本編でひっかかっていたところの解説が適宜加えられ、理解を助けるものとなっている。むしろ、こちらを先に読み、本編を読んで、再度解説に戻ってくる読み方の方が良いのかもしれない。 -
初めてプラトンを読んだけど、あまりの面白さに驚いた。ソクラテスの語る言葉はロジカルで、またいつの世にも人間には辿り着けない真理に向けた敬虔さを備えながらもそれに向かう向上心がある。
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半分は翻訳者の方の解説です。この解説がわかりやすかったです。諸説あるのでしょうが、理解を深めるのに役立ちました。「無知の知」、誤解していたのかもしれない。こういう言葉って案外多いんですよね。シンプルな言葉になって、本来の意味が伝わりにくくなったちゃう言葉って。
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伊坂幸太郎さんの「逆ソクラテス」を読む前に、ソクラテスのこと何も知らないのに、「逆」って言われても理解できるかな?…と思い、思い切って読んでみました。
「逆ソクラテス」自体にはちゃんと作品内で意味を説明してあるので、必ずしもこの本を読んで「ソクラテス」を知っておく必要はないのですが、結果的に読んでおいて良かったなあと思いました。
よく言葉では聞く「無知の知」。
ググれば簡単にそのおおまかな意味は分かるのですが、この考え方がどういう状況で説かれたのかを知ることで、その言葉の印象は大きく変わった気がします。
紀元前に書かれた古典ということで、ほぼエンタメ作品ばかり読んでいる私に理解できるか腰が引けてましたが、読みやすい訳のおかげで、ストレスなく、それどころか驚くほど楽しめました。
法廷ものとして読んでも、面白いんです。
結果は現代の私の感覚ではとても理不尽に感じますが、当時の裁判の様子、ソクラテスの考え、鋭い弁論の内容と読みどころたっぷりでほぼ一気読み!
心に響く言葉でいっぱいでした。
あちこちで語られる「生き方」論の元祖に近いのかな?
紀元前ですし…
読む機会を得られたことに感謝です。 -
「ソクラテスの弁明」のわかりやすい現代語訳とともに、その解説や読み進めるにあたってのキーポイントなど、翻訳者の丁寧なサポートが得られる著作。
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とても読みやすい。死についての話が面白い。
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プラトンが著した、ソクラテスが裁判で弁明していたときのやり取りを書いたもの。
哲学はプラトン(が書いたソクラテス)から始まると聞いていたので、読んでみた。
Primeリーディングで無料で読めたのもあり。
プラトンのすごいところは、対話型の問答になっているので、難しくないということ。だけども、しっかりと哲学をしている。まさに、哲学の入口としてふさわしい。あらゆる哲学者の中でも、ダントツで読みやすいものを書いてくれているなと思っている。
本著には、ソクラテスの弁明本文のみならず、訳者の解説が後半に掲載されている。これも、非常に勉強になる。特に、「無知の知」という単語が日本人の間では非常に有名であるが、ソクラテスは「知っている」はとは明言しておらず、知らないと「思っている」だけと記載しており、これを明確に区別しているのは、勉強になった。無知の知というゴロの良さとか、カッコよさではやるのはわかるけども。今後それを言っている人にドヤ顔できる。
あとは、ソクラテスの神託自体、プラトンの創作の可能性があることなど。
最後にプラトン著作の簡単な紹介などもあり、まさにプラトンの入門書、ひいては哲学の入門書として最適な作品だった。
最後に、日本語解説文から好きな文章を一節。
この「知る/思う」の明確な区別こそ、「知を愛し求める」(フィロソフェイン)営みとしての「哲学」の出発点となる。それは、ソクラテスのように自分がはっきりと「知らない」という自覚をもつ場合にだけ、その知らない対象を「知ろう」とする動きが始まるからである。
プラトン. ソクラテスの弁明 (光文社古典新訳文庫) . 光文社. Kindle 版. -
若者に人気の70代のお爺さんなんて、それだけですごい人。その本を書いてしますプラトンもすごい。いゃ〜しかし、昔の人よくしゃべるね。