女の一生 (光文社古典新訳文庫) [Kindle]

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  • 修道院を出て、これからの人生に胸をときめかせるジャンヌ。でも、彼女を待ち受けていたのは、とてもとても辛辣な人生で…。ロマン主義、写実主義、自然主義へと進んでいく19世紀フランスの文学潮流を体現し、日本にも多大な影響を与えた一篇。

  • ・結婚当日に夫婦の認識の違うことが読者にはわかってしまう。ジャンヌは精神的なものを重視しているが、子爵の方は肉欲的なものを欲している。夫婦の両方がその違いに気づくことができればよかったのに。

  • 古典文学のイメージを払拭するギャグが満載の名作。

    いわゆる古典文学のイメージというと、常にインテリジェンスが感じられるというか、笑いについても品があるというものだった。
    本作では、コントのような笑いが散りばめられていた。
    楽しかったし、嬉しくもある。

    本作はチャタレイ夫人の恋人と対になるような感覚がある。
    機械文明ありきで人間として生きていくことを願い、戦っていたチャタレイ夫人に対し、本作の主人公ジャンヌは最初から自然とともにあり、自然を愛していた。機械文明に対する戦いは挑まない。ただ目の前にある自然を愛していたのだ。

    熱に浮かされたような陽気さがにじみ出る前半と、苦しみがのしかかってくる後半。息子ポールのバカさ加減も、ほとんど笑いの域に達している。

    生きるということはいいことばかりではないし、悪いことばかりでもない。
    まさにそういう本だった。

  • この年になって初めて読みました。なんつうか、ひでー話、で片付けられない、そう、いいものでもわるいものでもないのだ、という所に行き着くためにはこのような経験があるわけだな。

  • 不幸な女性には絶対になりたくない、そう思った。世間から夫から子どもからバカにされない為にも、女性は精神共に力をつけなければならない。2018.1.31

  • 貴族の娘として生まれた娘ジャンヌが、恋を知り、結婚し、子供をうむ中で、周囲に裏切られ、絶望していく一生を描いた作品。

    ふるーいフランスの田舎の貴族の話なんですけど、結婚に悩んだり、家柄にこだわったり、旦那が浮気したり、子供を溺愛しすぎてしまったりって、結構現代でも普遍的な悩みなんですよね。
    主人公のジャンヌはとても好奇心旺盛な少女時代とは裏腹に、極めて受動的な人間で、自ら積極的に動くことはすごく少ない。強いていうなら、母になってからは子供のためだったり、二人目を産もうと夫に働きかけたり、としたくらいでしょうか。
    夫に裏切られ、子供にも愛想をつかされ、どんどん周りから協力者が消えて行く中で最後に帰ってくるのは、夫の子供を産んだ元女中のロザリ。彼女は昔の義理を忘れなかった。

    ジャンヌの一生に救いはないけれど、最後に孫が現れるシーンは、やっぱり一つの光なのかもしれない。「世の中って、ねえ、人が思うほどいいものでも悪いものでもありませんね」というロザリのセリフが秀逸。一回は読んどいていい本です。

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著者プロフィール

フランス人。1850〜93年。母の友人フローベールにすすめられ文筆に転向。最初の成功作『脂肪の塊』(1880)で一躍新聞小説の寵児となる。短編約三○○、長編数作を書く。長編に『女の一生』(1883)『ベラミ』(1885)。短編小説『幻覚』や『恐怖』は戦慄させるほどの正確さで狂気や恐怖を描写し、この狂気の兆候が1892年発病となり、精神病院でなくなる。

「2004年 『モーパッサン残酷短編集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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