現代語訳 論語と算盤 (ちくま新書) [Kindle]

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  • 内田樹先生と藤田一照老師の対談の中で、行という取り組み方の説明があった。その中で、人間のあらゆる行動は、行となりうるという説明の中で、科学という探究活動も行となり得るという発言があった。

    自我を去り、比較や被査定の次元を離れて、未知に向かって道をあゆむこと。歩み方としては、言葉やテクニックから入るのではなく、五感を使って身体的に、呼吸も含めて、師匠を真似て肉薄するという、修行をすること。それにより、調い、人ならざる大悟や強さにつながる。
    そんな話があった。
    全てが行として実践し調え得るのであれば、人と人の関係や、チームビルディング、商売などの営利活動、ひいては自然と共存する社会のあり方にも、行としての活動の仕方があるのではなかろうか。

    行として、
    ネイティブ・アメリカンや里山、先住民の自然観、それらを守るセイフガードなどの社会のあり方、
    個人として自然と向き合い調和する山伏の生活、禅的自然の生き方、
    をもっと深めていきたいとおもう。

    この本も、上の様な意識から読みたいと思う。

    商人道というところから、
    石田梅岩、稲盛和夫、松下幸之助、渋沢栄一。

    そして、自然との関係から、修験道などをの経験をしたいものだ。


  • 中田敦彦のyoutubeで座右の書として紹介されてから気になっていたが、遂に読んだ。
    最初は、youtubeで粗筋わかるからいいやーんと思っていたが、やはり原著を読むと
    その情報量に圧倒された。

    読んで良かった。そしてまた期をあけて読みたいと思う。
    内容は全然古くないし、寧ろ今こそ持たないといけないものと思う。
    自身の座右の書にもランキングされた1冊だった。

    そして為になるだけじゃなくて、話が面白い!修験者の話や、西郷さんの話。
    皆に読んでほしい一冊。

    # 心に響いたポイント
    - 「誠実さ」が最も大事
    - 趣味を持っている人間はかっこいい
    - 時代により環境は進化する。「道徳」も進化していく。
    - 成功や失敗は、カスにすぎない。その過程の充実が最も重要。そして大きな時間軸で見ると邪は滅ぶ
    - 現代(明治)は、民の道徳心が失われてる時代であると危惧している。
    - 「論語(道徳)」「算盤(経済活動)」の両輪が大事
    - 志を立てよ。 <= ただ立てればいいものでない。自分のことをよく見極めて立てる必要がある。生涯貫く気概で(身の程にも合わせる)間違えると回り道になる。渋沢さんも定まったのは、30頃「実業界に入ろう」
    - 社会と学問の両輪 (道徳も理論に徹してはならない)
    -上に立つものは、大きな物事をみて、決断したければならない。知らないことは知らんという。(西郷どんの話より)

    # 余談
    読みながらふとエルピクセルの不祥事のことを思い出していた。同じ業界を戦う大先輩だし、輝ける星として一目置いていた。そして今回の資金を私的に運用していた話。大変残念な気持ちだった。ただ、潰れてしまうのも惜しいと思ったし、中で働いている人はしっかり働いているのであろうと思うといたたまれない。ただ、この本を読んでいて思った。金が儲かっているだけでは意味がないのである。理念を失って仕舞えば会社の意味がない。自分がモヤモヤしていたことの原因はこれなのだと再認識した。トップ層の方に渋沢さんの意思が少しでも入っていればと悔やまれるばかりである。

  • ■■評価■■
    ★★★★☆

    ■■概要■■
    ○初版は1916年と、今から約100年前に書かれたものを、現代語訳として読みやすい形にした本。

    ○各界の偉人と言われる人々が、愛読書としてあげている本、論語と算盤。近代日本資本主義の父渋沢栄一が書いた本であり、論語に出てくることを学者のものとせず、実社会で活用することなどを自身の経験も交えながら説いた本。

    ○後世、日本資本主義の父、実業界の父と呼ばれてノーベル平和賞候補になるだけではなかった。いまから百年以上前に、資本主義や実業が内包している問題点を見抜き、中和剤をシステムの中に送り込もうとしていた。もともと資本主義とか実業は自分が金持ちになりたいとか、利益を増やしたいという欲望をエンジンとして前に進んでいく面がある。そのカウンター手段が論語である。
    ○どのように振る舞うのが人としてかっこ良いのかの指針として、論語を活用しようとしていた。

    ○孔子は論語の中で、清貧を説いているわけではなく、富と排反しないと考えるべき。本書の内容とも一致するものである。

    ○明治末期に書かれた本書で考察されたことが、そのまま現代に当てはまることが多い。大きな流れの中で、偉人と呼ばれる人が意識した、意識しないといけないと危機感を感じる事柄は、共通項があるのだと思った。

    ○単なる成功者としての側面だけで渋沢栄一という人間を語るのは、あまりにも範囲が狭い。成功や失敗の前に、自立して志と正しい行為の道筋を立て、行動し続けたということに価値を持つべきだとしている。それが価値ある生涯を送ることにもつながる。成功というのは目に見える結果であるが、その行動の残り滓にすぎず、目指すべきではなくついてくる結果にすぎないと考えるべきであると述べている。

  • 原文で読めなくて、面目ない…と思いつつ、超訳じゃなく、比較的忠実そうなこちらをチョイス。

    渋沢栄一すげー!って世の中でなってたので期待値が高すぎたのか、個人的には、うんうん、と思いつつ読んで、偉い人なんだなぁと言う感想。
    会って話してたり出てくる人物の名前が有名人ばっかじゃん!(当然)

    渋沢翁すごいな…と思うとともに、ビジネス書として有用かと言われると、時代が違うこともあり、そのままは無理だけどエッセンスは重要、と思う程度。
    時代の流れを感じる。

    先生、女性も大学に行けるようになりました。でも猫も杓子も大学に行けることになったはいいけど、奨学金の問題や、志の問題はやっぱり先生が言う通り、やたら進学すりゃいいってもんじゃないんだわ、とおっしゃる通り。

    士魂商才。

    武士ではないけど、もう軍事力がメインの時代ではないけれど、経済力をつけなければいけないと言われていた日本が、敗戦、国難を経て経済力をつけることはできたけど、まだまだあなたが憂いていた問題が形を変えて残っています。

    後の人に託されたそれらを解決していくのは後の人間。先人の知恵を振り返ることは重要。
    そう言う意味では、すぐ明日の自分の仕事に重要なビジネススキルの指南書ではなくても、本質は何か、と言うところが共感できれば、ためになると思う書でした。

  • 士魂商才-武士の精神と商人の才覚をあわせ持つ

    現状に満足することを知って、自分の守備範囲を守り、腰を据えてくるべき運命を待ちながら、コツコツと挫けず勉強するのがよい。
    世の中のことは、自分次第な面も多く、自分を反省して悪い点を改めて、本気で頑張れば、だいたいはその思い通りになるものである。

    欲望のままに振る舞っても、ハメを外さない

    「何事も誠実さを基準とする」

    得意な時も、失意な時も、いつも同じ心構えで道理を守り続ける様に心掛けていくことが大切。

    精神の向上を、富の増大とともに進めることが必要

    些細なことを粗末にするような大雑把な人では、しょせん大きなことを成功させることはできない。

    智(知識
    情(情愛
    意(意志

    普段の行い、生活のなかから学ぶ心がけ

    自分を磨くとは、知恵や道徳を完璧にしていくこと。精神面の鍛錬に力を入れつつ、知識や見識を磨き上げていく。自分1人のものではなく、貢献するものでなければならない。

    「賢者は、貧賤(ひんせん)な境遇にいても、自分の道を曲げない」

  • 友人に薦められて読んだ。
    日本人の道徳心のなさが教育から来ていること、また外国では道徳教育に宗教が一役買っていることがわかったことが学び。
    1900年代前半に書かれた本なのに、最近の若者は〇〇という文が出てきて驚いた。
    道徳心という土台に知恵を積み上げていきたいと思った。

  • 【奥田】
    定期的に再読したいと思う一冊です。出てくる論語の言葉は、全てうんうんと頷けるものばかりでした。ビジネスには、知性と感情と意志の「知情意」のバランスが取れていることが大切という、渋沢さんの考えを意識していこうと思います。今後読み返したときにもう少し深く理解できますように、、。

  • 新しい1万円札の人物として注目を浴びている渋沢栄一。私も名前しか知らなかったので、読んでみた。今の人間からすると、まあまっとうだよな、と思う部分が多いが当時の考え方としては珍しかったのかもしれない。

  • 渋沢栄一の名言を集めた本。
    論語を読んだことがあるので、似たような内容だと感じる。
    特に目新しいことは言っていない。
    この本が有名なのは何を言ったかではなく誰が言ったかが大事ということなのだろう。
    渋沢栄一でも子育てに苦労していたことは意外でした。

  • もともと渋沢栄一はお札の人という印象で具体的に何をした人か知らなかったが、志が大切という話が印象的だった。

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著者プロフィール

渋沢栄一:1840(天保11)年2月13日、現在の埼玉県深谷市血洗島の豪農に生まれる。幕末はのちの将軍・徳川慶喜に仕え、家政の改善などに実力を発揮し、次第に認められる。 27歳のとき、慶喜の実弟・昭武に随行し、パリの万国博覧会を見学するほか、欧州諸国の実情を見聞し、先進諸国の社会の内情に広く通ずることとなった。帰国後は「商法会所」を静岡に設立。その後、明治政府に招かれ、のちの大蔵省の一員として国づくりに深くかかわる。1873(明治6)年に大蔵省を辞した後は一民間経済人として活動。第一国立銀行の総監役(後に頭取)として、同行を拠点に、株式会社組織による企業の創設・育成に力を入れた。また、「論語と算盤」として知られる「道徳経済合一説」を説き続け、生涯に約500もの企業にかかわった。さらに、約600の教育機関・社会公共事業の支援や民間外交に尽力。実業家のなかでは最高位となる子爵を授爵する。1931(昭和6)年11月11日、多くの人々に惜しまれながら、91歳の生涯を閉じた。

「2024年 『渋沢栄一 運命を切り拓く言葉』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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